ゆっくり進みながらも振り返ろうとする心情を、人は愛と呼ぶのです

はるた

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日常

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大学生とはやることが多いように見せかけてそうでもない、人生の中で最も自由な時間を得ることができる四年間だと大人たちは言っていた。

もちろん学部や学科によっては毎日みっちり座学と実技で埋まり、サークルやバイト、ゼミに教授の手伝いなどを率先すれば、忙しく濃密な時間を送ることになるだろう。

だが、特に何か目標があるわけでもなく、最後の春を楽しむだけであれば時間なんて有り余る。それを自由と取るか暇と取るかはそれぞれだが、優吾の場合はとにかく楽しむをモットーに日々を過ごしていた。

「あ、いたっ」

視線を上の方に向けてキョロキョロと顔ごと動かしていれば、カフェテリアの奥まったソファ席に目立つ金の髪が目に留まった。
思ったよりも低い位置にあったと心の中だけで笑いながら、優吾はその目立つ金糸に近付き、手持ちのノートパソコンに集中している彼の名を口にした。

「ケイン!」
「……優吾?」

ケイン —— 本名は皇 謙すめらぎ けん —— だが、皆からはケインと呼ばれていた。

理由は単純明快。百九十近い身長とすらりとした手足、淡い茶の瞳に整った顔立ちと高い鼻梁、極めつけは日本人にはあり得ない、長く美しい金の髪を持っているからだった。
彼自身日本生まれの日本育ちだが、父方の祖父母どちらかが北欧の人で、その隔世遺伝により髪だけはそっちの色をしているのだとか。

優吾としてはそれ以外にも日本人離れしてるぞと言ってしまいたかったが、容姿について指摘するのは失礼だと思い、あまり言及したことはない。

それに、彼の良さは容姿もさることながら、その性格だと優吾は思っていた。
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