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クラーク公爵は暴走し、夫人は楽しむ
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その日城から帰ってきたクラーク公爵の顔色は青白く、屋敷内に浮遊霊かのように彷徨っていた。
オリヴァーも公爵夫人も面倒くさいことが起きそうな気がして、刺激を与えないよう静かに傍観することを選んだ。
だが、夕食の席で面倒くさいことは起きた。
「・・・・・うう、どうしよう。」
ボソッと呟く公爵。二人はとりあえず聞こえないフリで食事を続ける。
「なぁ、オリヴァー。」
えっ!僕?!!
オリヴァーは口の中のものをごくんと飲み込んだ。
「お前は親の我々が、政略結婚ではあるけど実は恋愛結婚というのは知ってるよな?むしろ恋愛が先で曖昧な関係をはっきりさせたくて正式なお付き合い申し込もうとしたら政略結婚の話が王命としてきた。」
「何度も聞かされてますよ。そもそも父上の本来の家系が消えたレイルズ国の王家な訳で。アドリウス国と一緒になった時、クラーク公爵家と同等の筆頭公爵家扱いとなってますが、本来ならば同等ではなくもっと上でしょう。レイアルズ公爵領がありえないくらい広いのはレイルズ国土そのものだから。戦争で生き残った元レイルズ貴族が領地の色んなところを管理してくれてるんでしょう?と、いうかレイルズ国があればそのままレイルズ貴族としてそれぞれが管理しるはず形。
普通に公国状態じゃないですか。もしくは連合国レベル。経済も当時アドリウスが介入して助けたとはいえとっくに回復してる。他国に侵略されそうになって抵抗した戦争の傷は人々の心に残ってますがね。
父上は合併後の誕生で、その後もし弟が生まれたら子供のいないクラーク公爵家へ養子にとの約束だった。お祖父様が自分達はアドリウス国の一員になったとの意思表示で、アドリウス王家の家臣であると他国に示すことも含まれた。
クラーク公爵家は王家の親戚筋で、その一族から妻を娶れば合併後も問題なくアドリウスは平和だと。」
「今更それがどうしたの?あなた。」
公爵夫人が不思議そうに尋ねる。
「オリヴァー、できれば恋愛結婚の方がいいだろ?」
「貴族である以上、政略結婚は余程の事がない限り受け入れますよ。問題なければ相手と信頼関係、愛情関係結べるよう努力します。そりゃあ本音でいえば父上たちみたいに上手く恋愛でいければ嬉しいですけどね。」
「そうだよね?オリヴァーはそういう優等生な人間。でも可能なら貴族以前に一人の人間として恋愛結婚考えるよね?!」
「だから、どうしたんです、父上。」
「つまり、シルヴィアだってそうだよね?!」
「「シルヴィア?」」
何故ここでシルヴィアの名前?と、二人は首を傾ける。
「シルヴィアが王女になっちゃったら、他国からみたらいい政治の駒だよね。特にレイルズを襲ったタイール国なんか!」
「王女?貴方、何言ってるの?!それにシルヴィアはイーサン殿下が自分にとってどういった存在なのか答えを出そうとしてるし、答えによってはそのまま王太子妃直線コースでしょうが。
王女って、一体何の話よ!」
「よくわからないけどシルヴィアが王女なら・・・。」
嫌な予感がしてオリヴァーは顔色の悪い父をみる。
「その通り。お前は王子だね。でもそれ以前にクラーク公爵家跡取りだけど。」
「ちょっと待って、父上。本気で何の事言ってるのかわからない。」
「お前の父上である私でさえ話についていけてないんだよ!お前のお祖母様なんかこの話について前国王のこと黒タヌキって言ってる!」
「貴方、順番に話してくれる?」
内容がかなり大きな事なのはこの時点で理解できるが、何やら面白そうと自分の愛する旦那さんのコミカルな言動を観察しはじめる公爵夫人であった。公爵のコミカルな言動は時に腹が立つこともあるが基本、夫人のツボにハマっているのであった。
当時レイルズ王太子は、戦争で苦しんだ国民を早く救うためにアドリウスとの合併後も尽力を注いだ。レイルズ国王は大病で闘病していたが結果的に国が喪に服す事になった。その後の落ち着かない最中に奇襲攻撃を受けた。
国王としての儀式を行う時間もなく、就任書類手続きをする暇があるならば戦を終わらせ国を守る事を優先し、王太子のまま奮闘した。
アドリウスとの昔からの友好関係を活かし、敵国は去る形となり戦争は終わった。
国の形が変わっても、人々が平穏に生きることを王太子夫妻は望んだ。
一方、当時のアドリウス王は、大昔に逆にレイルズに助けられた歴史もあり、仲良くやっていけるのならば何も合併しなくてもとの姿勢。だが、レイルズ王太子は奇襲攻撃を受けたとはいえ被害を重くみて、レイルズ王家なりのケジメだと突っぱねる。結果、合併。ここまでは国民の知ること。
ところがアドリウス王家はレイアルズ公爵を裏では国賓扱いしようとしていた。世代が変わってもレイアルズ公爵を、丁重に扱うように王家の者は言われて育った。
ここがレイアルズ公爵夫人がタヌキといったことに関係してくる。
前国王はレイルズ国復活を裏で計画していた。既にレイアルズ公爵はこの世にはいないので話は夫人に。残された夫人が納得しなければせめて連合国としての新たな国の誕生を。
レイルズ、アドリウスのどちらが倒れても助け合い必ず復活してくると他国に示せば愚かな考えを持つ国への牽制にもなる。
レイルとアドリウスズの位置は他国との行き来に非常に影響する位置。そこを狙う欲深い国はアドリウス前国王として許しがたいのであった。
ほとぼりがさめただろうとレイアルズ公爵夫人、いや、元レイルズ王太子妃に裏話が伝えられたのはシルヴィアがアドリウスでのデビュタントを無事に済ませた後だった。
その話を本日クラーク公爵は実母から聞かされたのだ。ちなみにクラーク公爵家の義両親はすでに知らされていた模様。
「ね?わかるでしょう?これが実現しちゃったらシルヴィアが狙われちゃうよー!!
しかも弟も今は結婚準備でそれどころではないからレイアルズ公爵の跡取りとしてならまだしも、レイルズ新王なんて向いてないからお前がやれとか言い出しちゃってるしー!でも私はクラーク公爵だから困るでしょうが。今から頑張って神様がもう一人子供を増やしてくれてもややこしいでしょう?!
シルヴィアは好きな人と一緒になって欲しいよぅ。イーサン殿下はちょっと・・執着心がやばいから父としては避けたいけど。」
妻と息子は思った。娘可愛さで暴走してるが、悩みは娘を政治に使いたくないというのが主か?と。それよりも復活した場合、お前がこのままだと王だぞ?そっちをまずどうにかしないか?と突っ込みたくて仕方がなかった。
非常に難しい案件だが、人生何が起こるかわからない。公爵夫人はワクワクしてきていた。
そう、もし夫が王なら自分は王妃になってしまうことはコミカルな夫の様子を楽しむあまり、気付いていなかった。夫が夫なら妻も妻である。
「とりあえず、頑張って子供をもう一人というのは保留でお願いね。」
公爵夫人は笑った。
オリヴァーも公爵夫人も面倒くさいことが起きそうな気がして、刺激を与えないよう静かに傍観することを選んだ。
だが、夕食の席で面倒くさいことは起きた。
「・・・・・うう、どうしよう。」
ボソッと呟く公爵。二人はとりあえず聞こえないフリで食事を続ける。
「なぁ、オリヴァー。」
えっ!僕?!!
オリヴァーは口の中のものをごくんと飲み込んだ。
「お前は親の我々が、政略結婚ではあるけど実は恋愛結婚というのは知ってるよな?むしろ恋愛が先で曖昧な関係をはっきりさせたくて正式なお付き合い申し込もうとしたら政略結婚の話が王命としてきた。」
「何度も聞かされてますよ。そもそも父上の本来の家系が消えたレイルズ国の王家な訳で。アドリウス国と一緒になった時、クラーク公爵家と同等の筆頭公爵家扱いとなってますが、本来ならば同等ではなくもっと上でしょう。レイアルズ公爵領がありえないくらい広いのはレイルズ国土そのものだから。戦争で生き残った元レイルズ貴族が領地の色んなところを管理してくれてるんでしょう?と、いうかレイルズ国があればそのままレイルズ貴族としてそれぞれが管理しるはず形。
普通に公国状態じゃないですか。もしくは連合国レベル。経済も当時アドリウスが介入して助けたとはいえとっくに回復してる。他国に侵略されそうになって抵抗した戦争の傷は人々の心に残ってますがね。
父上は合併後の誕生で、その後もし弟が生まれたら子供のいないクラーク公爵家へ養子にとの約束だった。お祖父様が自分達はアドリウス国の一員になったとの意思表示で、アドリウス王家の家臣であると他国に示すことも含まれた。
クラーク公爵家は王家の親戚筋で、その一族から妻を娶れば合併後も問題なくアドリウスは平和だと。」
「今更それがどうしたの?あなた。」
公爵夫人が不思議そうに尋ねる。
「オリヴァー、できれば恋愛結婚の方がいいだろ?」
「貴族である以上、政略結婚は余程の事がない限り受け入れますよ。問題なければ相手と信頼関係、愛情関係結べるよう努力します。そりゃあ本音でいえば父上たちみたいに上手く恋愛でいければ嬉しいですけどね。」
「そうだよね?オリヴァーはそういう優等生な人間。でも可能なら貴族以前に一人の人間として恋愛結婚考えるよね?!」
「だから、どうしたんです、父上。」
「つまり、シルヴィアだってそうだよね?!」
「「シルヴィア?」」
何故ここでシルヴィアの名前?と、二人は首を傾ける。
「シルヴィアが王女になっちゃったら、他国からみたらいい政治の駒だよね。特にレイルズを襲ったタイール国なんか!」
「王女?貴方、何言ってるの?!それにシルヴィアはイーサン殿下が自分にとってどういった存在なのか答えを出そうとしてるし、答えによってはそのまま王太子妃直線コースでしょうが。
王女って、一体何の話よ!」
「よくわからないけどシルヴィアが王女なら・・・。」
嫌な予感がしてオリヴァーは顔色の悪い父をみる。
「その通り。お前は王子だね。でもそれ以前にクラーク公爵家跡取りだけど。」
「ちょっと待って、父上。本気で何の事言ってるのかわからない。」
「お前の父上である私でさえ話についていけてないんだよ!お前のお祖母様なんかこの話について前国王のこと黒タヌキって言ってる!」
「貴方、順番に話してくれる?」
内容がかなり大きな事なのはこの時点で理解できるが、何やら面白そうと自分の愛する旦那さんのコミカルな言動を観察しはじめる公爵夫人であった。公爵のコミカルな言動は時に腹が立つこともあるが基本、夫人のツボにハマっているのであった。
当時レイルズ王太子は、戦争で苦しんだ国民を早く救うためにアドリウスとの合併後も尽力を注いだ。レイルズ国王は大病で闘病していたが結果的に国が喪に服す事になった。その後の落ち着かない最中に奇襲攻撃を受けた。
国王としての儀式を行う時間もなく、就任書類手続きをする暇があるならば戦を終わらせ国を守る事を優先し、王太子のまま奮闘した。
アドリウスとの昔からの友好関係を活かし、敵国は去る形となり戦争は終わった。
国の形が変わっても、人々が平穏に生きることを王太子夫妻は望んだ。
一方、当時のアドリウス王は、大昔に逆にレイルズに助けられた歴史もあり、仲良くやっていけるのならば何も合併しなくてもとの姿勢。だが、レイルズ王太子は奇襲攻撃を受けたとはいえ被害を重くみて、レイルズ王家なりのケジメだと突っぱねる。結果、合併。ここまでは国民の知ること。
ところがアドリウス王家はレイアルズ公爵を裏では国賓扱いしようとしていた。世代が変わってもレイアルズ公爵を、丁重に扱うように王家の者は言われて育った。
ここがレイアルズ公爵夫人がタヌキといったことに関係してくる。
前国王はレイルズ国復活を裏で計画していた。既にレイアルズ公爵はこの世にはいないので話は夫人に。残された夫人が納得しなければせめて連合国としての新たな国の誕生を。
レイルズ、アドリウスのどちらが倒れても助け合い必ず復活してくると他国に示せば愚かな考えを持つ国への牽制にもなる。
レイルとアドリウスズの位置は他国との行き来に非常に影響する位置。そこを狙う欲深い国はアドリウス前国王として許しがたいのであった。
ほとぼりがさめただろうとレイアルズ公爵夫人、いや、元レイルズ王太子妃に裏話が伝えられたのはシルヴィアがアドリウスでのデビュタントを無事に済ませた後だった。
その話を本日クラーク公爵は実母から聞かされたのだ。ちなみにクラーク公爵家の義両親はすでに知らされていた模様。
「ね?わかるでしょう?これが実現しちゃったらシルヴィアが狙われちゃうよー!!
しかも弟も今は結婚準備でそれどころではないからレイアルズ公爵の跡取りとしてならまだしも、レイルズ新王なんて向いてないからお前がやれとか言い出しちゃってるしー!でも私はクラーク公爵だから困るでしょうが。今から頑張って神様がもう一人子供を増やしてくれてもややこしいでしょう?!
シルヴィアは好きな人と一緒になって欲しいよぅ。イーサン殿下はちょっと・・執着心がやばいから父としては避けたいけど。」
妻と息子は思った。娘可愛さで暴走してるが、悩みは娘を政治に使いたくないというのが主か?と。それよりも復活した場合、お前がこのままだと王だぞ?そっちをまずどうにかしないか?と突っ込みたくて仕方がなかった。
非常に難しい案件だが、人生何が起こるかわからない。公爵夫人はワクワクしてきていた。
そう、もし夫が王なら自分は王妃になってしまうことはコミカルな夫の様子を楽しむあまり、気付いていなかった。夫が夫なら妻も妻である。
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