王太子妃は決定事項?承諾してない!何でこうなった?!

御伽夢見

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追い詰めたのはイーサン

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 「ではシルヴィア。次の質問。ちょっとレベルアップ。」

 イーサンが笑顔で話を続ける。

 「レベルアップ??何の?
 そもそも質問あといくつあるの?」

 思わず幼少の頃のようなやりとりの言葉使いに一瞬なってしまうシルヴィア。
 それと自分がお洒落をしてこの部屋に連れてこられた意味となんの関係が?と頭の中に疑問だらけ。

 「テルマ王子から聞いたんだけど、学園時代に友人達に、年上の幼馴染の話を時折してくれていたんだって?」

 「そりゃあ・・仲良くなればお互いプライベートな思い出話もでてくると思うのですが。」

 「当然、幼馴染の兄様だけでなく、実の兄のオリヴァーのことも話してるよね?」

 「はい。」

 「では、何故、オリヴァーより僕に関する話の方が多かったの?」

 「何を仰るのやら。小さい頃からいつもガーデンパーティーとか誕生日会でイーサン兄様が側に来てくれて一緒に遊んでくれたじゃないですか。」

 「シルヴィア、矛盾に気付いてる?
 必ずそこにはオリヴァーも居たよね?他の幼馴染も。」

 シルヴィアはあれ?っと動きが止まる。


 確かにオリヴァー兄様もいましたね・・。
 あれ?
 オリヴァー兄様と私は仲良しの兄妹ですよね。

 シルヴィアが両腕を組み、前傾姿勢になってウ~ンと悩みだす。

 「ね、何かおかしいでしょう?何か素敵なものや面白いものをみると、シルヴィアは母国の家族にも見せたいと話していたらしいけど、そこにも必ず幼馴染の兄様も付け足されていたと教えてもらったよ。マリアンヌも付け足されていた事があったようだけど。
 シルヴィア、小さい頃あれだけ人気で他にも同年齢の幼馴染がいたはずだよね。その人達の話も出ていたらしいけど、話の回数は僕の件が群を抜いていたって?」

 イーサン、畳み込みに入る。

 「だ、だって。イーサン兄様に時に叱られることもあったけど、基本いつも優しくて、私が悲しくてどこかに隠れて泣いていた時も真っ先に探し出してくれて。いつも兄様が安心させてくれてっっっ。」

 言ってるうちに徐々に顔が赤くなってくるシルヴィア。



 何これ。これじゃあ私、ずっと心のどこかで兄様を頼りにしていたみたいじゃないの。



 そんなことを考えるとさらに体も熱くなってくる。


 「その安心さを、ある意味僕は自分の牙を隠すのに有効利用していたのかもしれないなぁ。
ああ、大丈夫だよ。基本、シルヴィアを守りたいからね。」

 「ききききき、牙?」

 何の牙よ?!

 「じゃあ、さらにレベルアップな質問。」

 シルヴィアの牙の聞き返しはスルーしてイーサンが話を続ける。

 「婚約について友人達とシルヴィアが話していた時に、誰か打診できる人はいないのかと聞かれたシルヴィアが、年上の幼馴染の顔が浮かんだと呟いたって本当?しかも何故浮かんだのだろうとぶつぶつ言っていたんだって?」

 「な、何故そんなことまで知ってるんですか?」

 流石に当人からその発言内容話されてシルヴィアは動揺する。ソファーから立ち上がりたい程に。

 「テルマ王子から聞いた話の一つだよ。
 何故浮かんだのかぶつぶつ当時は言っていたらしいけど、今は何故なのか理由がわかる?僕はそれを聞きたいのだけど。」




 理由?理由って、理由?

 だって浮かんだ男性が最寄り・・・のイーサン兄様だったのだもの。

 浮かぶのは当然でしょう。家族以外で一番親しい人ですし。

 待って?近くにいる人以外に誰か浮かべることはできるかしら??

 何で?何で浮かばないの?!
 政略結婚的に考えれば誰かしら知ってる令息が浮かぶでしょう?!
 何故その事実を受け入れないの、私!
 あえて思い浮かべようとしても何故他の人浮かばないの?何故今私は焦ってるの?!


 「シルヴィア?顔が百面相になってるよ?」

 表情を指摘され再び顔が赤くなる。

 「だ、だって」

 「うん、だってなあに?」

 「・・・・・・だもの。」

 小声でシルヴィアが何かを呟く。
 
 「ごめん、シルヴィア。よく聞こえません。」

 顔を真っ赤にしながらシルヴィアの両目がうるうると潤んできている。




 うわー、ヤバい。この顔、僕にとって兇器だよ。


イーサンも落ち着かなくなってくる。

 「今、必死に何度も思い浮かべようとしたけど、イーサン兄様ばっかり浮かんじゃうの。
政略結婚とか考えも頭が他の人浮かべるのをやめちゃうの。」

 恥ずかしさでとうとう涙が一筋溢れる。

 「これ以上はわかりません!」

 「シルヴィア。もし僕がこれから王命で誰かのところへ婚約打診に、行かなくてはならないとしたらどうする?」

 「え?
 だって兄様、この間、両陛下も兄様も私のことをそういう風にみていると話してましたよね?
私が答えを出さなくてはならないって事でしたよね?
それとも急に何か起きて、他の案が浮かんだのですか?」

 純粋な疑問を告げただけなのに、シルヴィアは自分の手が微かに震えているのを自覚した。

 何故こんなに動揺するのか?

 「兄様の今日の正装はまさか?」

 「シルヴィア。もう一度聞くよ?もしそうだとしたらどうする?どう思うの?」

 再び涙が溜まってくる。

 「・・です。」

 「うん?聞こえないよ。」

 さっきより更に小声のため、イーサンは身を乗り出してもう一度聞こうとする。

 「嫌・・です・・・・はっ。私ったら今何を???」

 イーサンにとって、その返事だけですでに心が満たされかかっていた。

 「シルヴィア、顔をあげて。」

 「はい、兄さ・・・。」

 超甘々の美貌の男性の笑顔が目に入り、シルヴィアは顔を真っ赤にして固まる。

 「シルヴィア。僕は幼馴染としても、一人の人間としてもシルヴィアが大好きです。一人の女性としてずっと愛してます。」
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