3 / 113
第一章
セステオ
しおりを挟む
「夢か・・・。」
大きな溜息とともにアレックスは伸びをした。本を読みながらうたた寝をしてしまったようだ。
コンコン。
小さな音が扉からきこえた。
「あにうえ、僕です。入ってもいいですか?」
「セステオか。大丈夫だよ、入っておいで。」
「・・・失礼します。」
セステオは中に入ってきたものの、悲しそうな表情でチラッとアレックスの顔を見て、手をもじもじさせていた。
「どうした?」
「あ・・・あのね・・僕、悪い子なの?・・ぼ、私のこと、あにうえも・・王様もお后様も要らないって思っ・・。」
悲しそうな、悔しそうな顔でポロポロと涙を流し始めた義弟にアレックスは目を大きく開いた。
手を伸ばし、そっとセステオを抱きしめ、頭を撫でる。
「何故そのように思ったんだ?誰かに何か言われたのか?」
「さっき、お部屋戻ろうとしたら柱の陰で侍女達が話してるのが聞こえたんです。末っ子殿下は可愛い顔して周りが放っておかない。今の年齢からこの調子だと色々面倒が起こりそうだって。陛下達も必死に目を光らせてるって。」
「ぶっ。それって、お前・・・ちょっ・・。そ、そうか、うん、素直というか、言葉の意味を違ってとったかと思う。」
「素直?」
「どうせメイ辺りが話してたんだろう?恐らくマリーやレイラと。」
セステオはびっくりし、ピタっと涙が止まった。
「・・・何でわかるの?」
「あの人等、あの辺でたまに無駄話してるからね。それからお前が可愛くて可愛くて仕方ないみたいで、何かを届けてくる時についでに俺にまでその可愛さを報告してくるぞ。まぁ、他国からすれば俺らがフレンドリー過ぎる王族なのかもしれないけど。国民の愛国心信じてある程度自由にさせてるし、してるし。王族2つの2王制だしなぁ。昨日だって母上が不在だと思ったら日に焼けて帰ってきたから、きっと国民の様子確認とか言いながらどこかの畑か店を手伝ってたんだと思う。」
「・・でも、面倒が起こるって言っ・・。」
言いながら再び泣きそうになるセステオに慌てて面倒が意図するものが何か教える。
「変な虫が寄ってくる事を心配してるんだよ。身分だけでも媚売られそうなのに顔が可愛らしく整ってるから『私と結婚して攻撃』が、今から想像しただけで恐ろしいって事。」
理解できたセステオの顔が真っ赤になった。
「つまり、あにうえは今面倒抱えてるんですね!あにうえの顔も所作も格好良いし、キャーキャー言ってる人見たことあります。」
「えっ・・突っ込みは無しにして。それより、公の場でないところで陛下やお后様なんて言うな、泣くぞあの二人。」
「はい・・・あと、もうひとついいですか?」
「お、調子がでてきたな。勿論1つでも2つでも。」
「今日の講義で〘光の涙事件〙を少し教わりました。あの事件に出てくる王子って、あにうえですか?」
途端に先程の夢の内容が蘇る。あの日の意識がなくなる前の場面。そして消えてく意識の中かすかに泣き叫ぶ声が聞こえた。
「・・・どうしてそう思った?」
「だって、あにうえのわき腹に薄くピンク色のスジありましたよね?前聞いたら小さい頃の傷跡だって。治療でその傷跡消せるのに消したくないって残してるって。」
「うーん、さっきの取り消し!1つでも2つでもではなく、1つだけに変更。確かに俺は関係者だよ。以上。」
「わかりました・・・グスッ・・ちょっと・・姉様に会いたくなってきちゃいました。」
「な、何で。」
「ちちうえもははうえもあにうえ達も僕のこと嫌いじゃないってわかったら安心したのと、事件であにうえが傷を追ったんだと思ったら辛くて・・そうしたら姉様の顔見たくなったの。姉様の笑顔、安心するの。」
「そうか。でももう、暗くなる時間だから今日は我慢しておきなさい。それから、フォリーに事件の話はしないようにね?頼むよ?」
「わかりました。では自分の部屋に戻ります。あにうえ、大好き。ちちうえもははうえも大好きです。ディランあにうえも大好き。姉様も大好き。ルーカス兄様も、父様母様も大好き。僕は素敵な2つの家族に恵まれてます。」
にっこり微笑むとセステオは扉を開けて戻っていった。その後ろ姿にボソっとアレックスは呟いた。
「どちらの王家に居てもお前は大事な家族だよ。そのまま向こうの親元に居たとしても将来的には義弟になってる予定だよ。俺の中では。」
大地の姫の微笑みを思い出し、胸の疼きを自覚しながらアレックス自身もまた笑顔を浮かべていた。
「むしろお前より俺のほうが会いに行きたい。」
大きな溜息とともにアレックスは伸びをした。本を読みながらうたた寝をしてしまったようだ。
コンコン。
小さな音が扉からきこえた。
「あにうえ、僕です。入ってもいいですか?」
「セステオか。大丈夫だよ、入っておいで。」
「・・・失礼します。」
セステオは中に入ってきたものの、悲しそうな表情でチラッとアレックスの顔を見て、手をもじもじさせていた。
「どうした?」
「あ・・・あのね・・僕、悪い子なの?・・ぼ、私のこと、あにうえも・・王様もお后様も要らないって思っ・・。」
悲しそうな、悔しそうな顔でポロポロと涙を流し始めた義弟にアレックスは目を大きく開いた。
手を伸ばし、そっとセステオを抱きしめ、頭を撫でる。
「何故そのように思ったんだ?誰かに何か言われたのか?」
「さっき、お部屋戻ろうとしたら柱の陰で侍女達が話してるのが聞こえたんです。末っ子殿下は可愛い顔して周りが放っておかない。今の年齢からこの調子だと色々面倒が起こりそうだって。陛下達も必死に目を光らせてるって。」
「ぶっ。それって、お前・・・ちょっ・・。そ、そうか、うん、素直というか、言葉の意味を違ってとったかと思う。」
「素直?」
「どうせメイ辺りが話してたんだろう?恐らくマリーやレイラと。」
セステオはびっくりし、ピタっと涙が止まった。
「・・・何でわかるの?」
「あの人等、あの辺でたまに無駄話してるからね。それからお前が可愛くて可愛くて仕方ないみたいで、何かを届けてくる時についでに俺にまでその可愛さを報告してくるぞ。まぁ、他国からすれば俺らがフレンドリー過ぎる王族なのかもしれないけど。国民の愛国心信じてある程度自由にさせてるし、してるし。王族2つの2王制だしなぁ。昨日だって母上が不在だと思ったら日に焼けて帰ってきたから、きっと国民の様子確認とか言いながらどこかの畑か店を手伝ってたんだと思う。」
「・・でも、面倒が起こるって言っ・・。」
言いながら再び泣きそうになるセステオに慌てて面倒が意図するものが何か教える。
「変な虫が寄ってくる事を心配してるんだよ。身分だけでも媚売られそうなのに顔が可愛らしく整ってるから『私と結婚して攻撃』が、今から想像しただけで恐ろしいって事。」
理解できたセステオの顔が真っ赤になった。
「つまり、あにうえは今面倒抱えてるんですね!あにうえの顔も所作も格好良いし、キャーキャー言ってる人見たことあります。」
「えっ・・突っ込みは無しにして。それより、公の場でないところで陛下やお后様なんて言うな、泣くぞあの二人。」
「はい・・・あと、もうひとついいですか?」
「お、調子がでてきたな。勿論1つでも2つでも。」
「今日の講義で〘光の涙事件〙を少し教わりました。あの事件に出てくる王子って、あにうえですか?」
途端に先程の夢の内容が蘇る。あの日の意識がなくなる前の場面。そして消えてく意識の中かすかに泣き叫ぶ声が聞こえた。
「・・・どうしてそう思った?」
「だって、あにうえのわき腹に薄くピンク色のスジありましたよね?前聞いたら小さい頃の傷跡だって。治療でその傷跡消せるのに消したくないって残してるって。」
「うーん、さっきの取り消し!1つでも2つでもではなく、1つだけに変更。確かに俺は関係者だよ。以上。」
「わかりました・・・グスッ・・ちょっと・・姉様に会いたくなってきちゃいました。」
「な、何で。」
「ちちうえもははうえもあにうえ達も僕のこと嫌いじゃないってわかったら安心したのと、事件であにうえが傷を追ったんだと思ったら辛くて・・そうしたら姉様の顔見たくなったの。姉様の笑顔、安心するの。」
「そうか。でももう、暗くなる時間だから今日は我慢しておきなさい。それから、フォリーに事件の話はしないようにね?頼むよ?」
「わかりました。では自分の部屋に戻ります。あにうえ、大好き。ちちうえもははうえも大好きです。ディランあにうえも大好き。姉様も大好き。ルーカス兄様も、父様母様も大好き。僕は素敵な2つの家族に恵まれてます。」
にっこり微笑むとセステオは扉を開けて戻っていった。その後ろ姿にボソっとアレックスは呟いた。
「どちらの王家に居てもお前は大事な家族だよ。そのまま向こうの親元に居たとしても将来的には義弟になってる予定だよ。俺の中では。」
大地の姫の微笑みを思い出し、胸の疼きを自覚しながらアレックス自身もまた笑顔を浮かべていた。
「むしろお前より俺のほうが会いに行きたい。」
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる