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第一章
沈黙の森とテオ
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※
申し訳ありません。少し流血表現があります。
※
沈黙の森深く進むと、一定の付近から静けさが強調されるかのような感覚になってきた。そう、森独特の静寂とは違う。鳥の声も聞こえてはいるが、まるで壁の向こうから声を聞く感じ。
この森の中に初めて入った隣国の2人は何となくお腹がそわそわするような、変な緊張感を自覚していた。
突然少し開けた場所が姿をみせ、フォリーが足を止めた。随分前に折れたと思われる木や、何かの衝撃で破砕されたかのような岩のようなものも転がっていた。
「フォリー、大丈夫?」
ディランが声をかける。フォリーの眼の光は決心をしたかのような強い意思が宿っていたが、手がかすかに震えていた。
ルーカスがポンポンと妹の頭に手をやる。ルーカスはフォリーが安心したかのように力が抜けたのを確認する。
「はじめは・・・テオ。テオはあの頃よく体調崩していた。あの日は仲良く東にお泊りした次の日だった。病み上がりのテオは外では遊ばせず、中で。でも、お泊りで遊ぶことを楽しみにしていたの。何回もお姉しゃま、僕も一緒に森で遊びたいって言っていたわ。
暗くなった頃、窓から外を何となく眺めていたら、テオが歩いていた。今思えば歩く速さもおかしかった。今だからわかるけど、3歳位の子が歩く速さじゃない。慌てて追いかけたの。私が走ってきたらあの子も走り出した。あの時は何でそんなに速いの?と思っただけで、森は夜行っては危ないから駄目だと大人たちから注意を受けていたからとにかく必死に追いかけた。でも、何故なのかしら。タイミング?私が抜け出たことも気付かれなかった。コソコソしていたわけではないのに。」
「それは俺も不思議だと思っている。あの時俺は突然力を使い過ぎた時のようなだるさと眠気に襲われて、眠ってしまっていた。そのタイミングで事件が起きたと後で知って何故眠ってしまってのか自分を責めた。当時は自分を責めることに目が向き、気付けなかったが、成長してきて、あの時のタイミングが不思議に感じはじめた。」
ルーカスが難しい顔をして話した。
フォリーが話を続けた。
「でもどんなに名前を叫んでもテオは振り向かないし、止まらなかった。どんどん姿が小さくなっていったわ。その時に声が聞こえたの。その声を私は知ってる気がしていた。」
『あの子を捕まえて。君の大事な家族でしょ?君を手伝ってあげる。』
「その声が聞こえた後、何故か私も追いかけるのが速くなったの。本当にその声が手伝ったと思った。だけど何故手伝ってくれるのか追いかけながらも不思議だった。そうしたらまた声がしたの。」
『君は僕に気付いてくれたから。君は大事な友達。君の側にいつもいるあの栗毛の子も』
「だんだんテオとの距離が縮まってきた。そんな時に黒いモヤのようなものが見えた。そこへ突っ込んでいったので一瞬何も見えなかった。次に見えた時、顔から血を流した男の人がテオを抱きしめていた。男の人が見つめた先にもうひとり男の人がいたの。」
一旦間があき、フォリーが大きく息を吐く。再び手が震えてきたことにも気がついた。
駄目。過去に負けては駄目。私は人形に戻る気はない。“ここにいないチビの私のためにも。チビのアレックスのためにも”
必死に自分に言い聞かせ、話を再開した。
「テオを抱きしめていた人は多分あの子を守ろうとしてくれていた。そして視線は私には向けなかったけど、話しかけてきたの。でも、聞いたことがない、知らない言葉。それなのに私はその人が何を言っているのかわかったの。」
『お嬢ちゃん一人?この子を追いかけてきたの?』
「うんって答えたの。そうしたら何故自分がこんな事になったかわからないけど力の限り君たちを守るよって言ってくれたわ。」
あの時、テオを抱きしめていたあのひとの手首に腕時計のようなものがあった。
フォリーは再度深呼吸し、話を続けようとしたが、震えが大きくなってきた。
「フォリー、大丈夫か?今日はもうこれ以上は」
ルーカスがフォリーの両手を握り、声をかけた。昔からの兄への安心感。震えが少し弱くなる。
「続けます。
もう一人の男の人が声をだした。いえ、笑い声。この人は私達と同じ言葉を使っていた。そして小僧をよこせ、石をよこせ。その小娘もよこせって言った。そして魔法か何かでテオを守っていた人に傷を追わせた。右肩から血がでたわ。血がテオの服についた。私はテオの名を呼んだわ。そしてそこでテオが正気に戻ってお姉しゃまと叫んだの。黒いモヤが攻撃した人の周りに薄くあった。」
申し訳ありません。少し流血表現があります。
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沈黙の森深く進むと、一定の付近から静けさが強調されるかのような感覚になってきた。そう、森独特の静寂とは違う。鳥の声も聞こえてはいるが、まるで壁の向こうから声を聞く感じ。
この森の中に初めて入った隣国の2人は何となくお腹がそわそわするような、変な緊張感を自覚していた。
突然少し開けた場所が姿をみせ、フォリーが足を止めた。随分前に折れたと思われる木や、何かの衝撃で破砕されたかのような岩のようなものも転がっていた。
「フォリー、大丈夫?」
ディランが声をかける。フォリーの眼の光は決心をしたかのような強い意思が宿っていたが、手がかすかに震えていた。
ルーカスがポンポンと妹の頭に手をやる。ルーカスはフォリーが安心したかのように力が抜けたのを確認する。
「はじめは・・・テオ。テオはあの頃よく体調崩していた。あの日は仲良く東にお泊りした次の日だった。病み上がりのテオは外では遊ばせず、中で。でも、お泊りで遊ぶことを楽しみにしていたの。何回もお姉しゃま、僕も一緒に森で遊びたいって言っていたわ。
暗くなった頃、窓から外を何となく眺めていたら、テオが歩いていた。今思えば歩く速さもおかしかった。今だからわかるけど、3歳位の子が歩く速さじゃない。慌てて追いかけたの。私が走ってきたらあの子も走り出した。あの時は何でそんなに速いの?と思っただけで、森は夜行っては危ないから駄目だと大人たちから注意を受けていたからとにかく必死に追いかけた。でも、何故なのかしら。タイミング?私が抜け出たことも気付かれなかった。コソコソしていたわけではないのに。」
「それは俺も不思議だと思っている。あの時俺は突然力を使い過ぎた時のようなだるさと眠気に襲われて、眠ってしまっていた。そのタイミングで事件が起きたと後で知って何故眠ってしまってのか自分を責めた。当時は自分を責めることに目が向き、気付けなかったが、成長してきて、あの時のタイミングが不思議に感じはじめた。」
ルーカスが難しい顔をして話した。
フォリーが話を続けた。
「でもどんなに名前を叫んでもテオは振り向かないし、止まらなかった。どんどん姿が小さくなっていったわ。その時に声が聞こえたの。その声を私は知ってる気がしていた。」
『あの子を捕まえて。君の大事な家族でしょ?君を手伝ってあげる。』
「その声が聞こえた後、何故か私も追いかけるのが速くなったの。本当にその声が手伝ったと思った。だけど何故手伝ってくれるのか追いかけながらも不思議だった。そうしたらまた声がしたの。」
『君は僕に気付いてくれたから。君は大事な友達。君の側にいつもいるあの栗毛の子も』
「だんだんテオとの距離が縮まってきた。そんな時に黒いモヤのようなものが見えた。そこへ突っ込んでいったので一瞬何も見えなかった。次に見えた時、顔から血を流した男の人がテオを抱きしめていた。男の人が見つめた先にもうひとり男の人がいたの。」
一旦間があき、フォリーが大きく息を吐く。再び手が震えてきたことにも気がついた。
駄目。過去に負けては駄目。私は人形に戻る気はない。“ここにいないチビの私のためにも。チビのアレックスのためにも”
必死に自分に言い聞かせ、話を再開した。
「テオを抱きしめていた人は多分あの子を守ろうとしてくれていた。そして視線は私には向けなかったけど、話しかけてきたの。でも、聞いたことがない、知らない言葉。それなのに私はその人が何を言っているのかわかったの。」
『お嬢ちゃん一人?この子を追いかけてきたの?』
「うんって答えたの。そうしたら何故自分がこんな事になったかわからないけど力の限り君たちを守るよって言ってくれたわ。」
あの時、テオを抱きしめていたあのひとの手首に腕時計のようなものがあった。
フォリーは再度深呼吸し、話を続けようとしたが、震えが大きくなってきた。
「フォリー、大丈夫か?今日はもうこれ以上は」
ルーカスがフォリーの両手を握り、声をかけた。昔からの兄への安心感。震えが少し弱くなる。
「続けます。
もう一人の男の人が声をだした。いえ、笑い声。この人は私達と同じ言葉を使っていた。そして小僧をよこせ、石をよこせ。その小娘もよこせって言った。そして魔法か何かでテオを守っていた人に傷を追わせた。右肩から血がでたわ。血がテオの服についた。私はテオの名を呼んだわ。そしてそこでテオが正気に戻ってお姉しゃまと叫んだの。黒いモヤが攻撃した人の周りに薄くあった。」
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