願いを持ちしはじまりの緑石

御伽夢見

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第二章 光でも闇でもなく

ルーカスとクルー

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 ルーカスがファイアルに入国し、登城したため、ディランは帰国した。またジョーンズがいるならば、とディランの帰国に合わせてクトニオスも帰国した。
 帰国前、家族のような幼なじみ達は互いの情報を確認した。

 ディランはまだ国民が姫が倒れた話を知らされてないことを確認。まだ数日しか経過してない事や色んな事がはっきりしてないため、安易に公表しないとのこと。またジョーンズが何故ファイアルへ向かうよう命令を受けたのかの理由を聞かされた。セステオは元気だが、現在外出禁止とも。

 「きな臭いことにならなければいいけど。
 ところで、ルーカス。アレックスはどうしてる?あいつにもフォリーの件は伝えられてるはずだろ?変な事になってない?」

 「あ、ごめん。実はわからない。コミヒ様からの連絡の後、父上が早く出発にむけ用意しろと言い出し、残りの仕事をひたすら片付ける状況で。でもファイアルへ行くと騒いだとか気持ちが上の空になってるとか聞かなかったよ?」 



             *


 帰国、報告の後、ディランはアレックスがいる特殊部屋へ向かった。

 中に入るとアレックスがベッドの上に座って下を向いていた。

 「お帰りなさい。」

 下を向いたままアレックスは言った。

 ディランは大きくため息をつき、弟の隣へ座る。

 「思ったより冷静で安心したよ。まぁ、ショックは受けたとしても、フォリーが眼を覚ますと信じてるんだろ?他の人達も信じてると思うけど。」

 アレックスは小さく頷き、話し始める。

 「いつ目覚めるか何て言葉が聞こえてきたら、昔のフォリーの状態が頭に浮かんじゃって・・・。でも、自分でも思っていたより冷静だったよ。ただ、怖くなった。信じてるけど怖くなったんだ。それにチビのフォリーは泣いてたんだ。あっちで。」

 「あっちで・・・。この間姿を見せた時、いよいよ元に戻るのかと思ったけど、まだあっちの方から戻れてないのか。一瞬だけこちらへ戻れてるのかな。実はさ、ファイアルにも一瞬あらわれた。」

 「クリスタルが関係してるんでしょ。多分。それに、戻れる状態なら俺も戻ってるはずだよ。

 ・・・本当に俺、まだまだだ。何かやらかすと思って気絶させられて、起きたらこの部屋。ま、実際に俺自身も何かやらかさないとは言い切れないけど。」

 「お前に限らず、誰もが大切な人に何か起これば不安になる。ましてや失うかもと嫌な事を考えてしまうと余計にな。幼い時に受けた心の傷は時間が癒やしてくれるかもしれないけど、トラウマにはなるよ。むしろ少しでも冷静でいられた事に俺は感心するよ。」

 アレックスはチラッと顔をあげ、ようやく兄の顔を見た。

 ポンポンとディランは弟の頭を撫で、ベッドから降りようとした時、コテンと床に転がった。

 「あれ?何か力がうまく?」

 「ああ、この部屋、痺れの香が炊かれたみたいで。後で知ったけど、最新の香で煙も出ない、匂いもほぼ無香料。」

 「・・・お前、先に言えよ、それ。ってか、そこまでする必要あるの?どうせ母上だろ?あの人そう言うの研究するの好きだし。」

 再びため息をつくディランであった。

 その後、ディランの帰国を知ったセステオが、部屋の外にいた護衛の制止を聞かず、すったもんだの上、護衛の股下をくぐり抜けた。無邪気にお帰りなさーい!と言いいつつ部屋に入ってしまい、その数分後にはディラン同様コケる羽目になる。


          * 

 
 ルーカスは妹を確認し、とりあえずホッとした。現状解決はしてないが。

 「小さな黒いモヤが入ったとディランからは聞いてるわ。フォリーならその程度なら浄化か何かしらして自身で何とかしそうではあるのだけど、実際は・・・」

 「こいつの優しさが悪影響?」

 「流石ルーカスね。妹の事をよくわかってるわ。私もそう思う。モヤが何故こんな状態なのか、確認しないと本格的に力を使えないのよ、多分。自分を苦しめてるもののことを心配して全くもう。」

 「フォリーの腹の辺り・・・そこから不快なものが感じられる。」

 「実際に飛び込んできたのはお腹の辺りだったらしいわよ。初日より不快な感じが薄くなってきてるから放っておいても数日後には目覚めそうなのだけれど。優しさが原因で、逆にこいつに昔の心の傷をえぐられる可能性もあるわ。小さいモヤとはいえフォリーが上手く避けれない速さで入り込んだという事だから馬鹿にはできない。何かの弾みで傷がえぐられれば人形になり得ることも否定できない。実際に時折うなされてるし。」

 「うなされてる?」

 2人の話を横で聞いていたクルーが頷く。

 「うなされてる時は顔色が物凄く悪くなられます。あんな、顔色見せられると、何とかならないのかと心が痛くなります。コミヒ様は私が手助けを出来ると仰られました。そしてルーカス王子も関わる事が必要とも。」

 「ルーカス王子ではなく、ルーカスだ。堅苦しいのは無しとこの間話したろ?」

 「はい、では・・・ルーカス。貴方はこの間僕にある質問をしました。そして似たような質問をコミヒ様から受けました。僕に一体何が?」

 コミヒが能力についてクルーに伝える。

 「貴方は人の悪夢をパワーに変え、悪夢から逃がす事ができる。そして逆に悪夢を酷くすることも出来るの。少なくとも幼い貴方はできていた。周りの人で、貴方と仲良くなった頃から悪夢が減ったと言ったり、悪夢を見ていたけど途中から消えて安心して眠ったなんて話をしていたりね。」

 言われてみればそんな事を聞いたような気がするとクルーはかすかな記憶を呼び起こす。

 「貴方はフォリーにも力を使った事があるのよ。フォリーが小さい頃、言ってたの。そしておそらく貴方が力を使えない状態に自らしてしまった原因もフォリー。」

 クルーは驚き、考えるがどうしてもそれにまつわる話は思い出せない。

 ルーカスが口を開いた。

 「どちらにしても、その力は魔力とはちょっと種類が違う。俺の様にな。だからといってコミヒ様の様なものとも違う。いや、魔力そのものではないとは言い切れないが。何というか、感覚が違う。ましてや君のソレは性質は、俺の力に近い。」

 「ルーカスの力に近い・・君は光を得意とすると聞きます。それが関係あるのでしょうか?でも光は得意不得意はともかく、特定の人物しか使えないというものではないですよ。」

 「この姿をどう見るかな?俺たちはその力を使い間違えれば他人を喰らう猛獣になりうるぞ。」

 ルーカスから怖いくらいのオーラが発せられ、クルーは眼を大きく開いた。

 ルーカスの髪が白金から漆黒へと変わっていた。

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