願いを持ちしはじまりの緑石

御伽夢見

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第三章 植物という名の命 石という名の子供

油をさされた歯車は回り始めている③

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 アレックスは4歳近くなる頃まで、感情とともに魔力や神力が動きやすく、その小さな体でのコントロールが難しかった。この瞳の色を持つ者の過敏反応が影響しているのは確かだった。人によっては制限かけるグッズ等使用されるが、王家の者は力が大きく、大抵グッズが壊れてしまうため、使ってもお守り程度。

 フォリーに会ってからは感情が安定しはじめていた。力に対し、体がある程度成長すれば暴走もしないと周りも判断していた。

 そしてあの日がやってきた。

 アレックスが目を覚ました時にはすでにフォリーは感情を失ったかのような状態で、見事な金髪は白髪となっていた。この時のアレックスが力を暴発させる可能性は大いにあった。フォリーの話が耳に入ってしまい、会って確認したいと連日訴え、とうとう両王家は引き会わせた。このまま会わせない日々が続けば結局はまだ幼い王子は不安定、不穏になるとの判断で。

 大人達の心配をよそに、意外にもアレックスは冷静だった。フォリーの瞳に何を見たのか、可能な限り会いに来ては返事の返ってこない姫に話しかける。

 そして、決まってアレックスは言う。

「フォリーの壁は完璧ではないよ。僕達のことはわかってるはずだよ。」

と。

 そして、冷静だから暴走、暴発しないのではなく、アレックスから感じるオーラがあの日の前より静かであることに周囲は気付き始める。
 フォリーが金髪を失った日、彼もまた力の一部がどこかへいってしまったのだと。結果的に幼い体でも扱える魔力量と神力量になっているのだと。







 そして時が流れ、今、あの時からの歯車が道を開くかのように動き始めている。

 


 その歯車は遠い遥か昔の歯車にも繋がってしまう道をも刺激していた。

 

 昼食後のまったりとした時間に、フォリーが話し始めた。

 「あの黒いモヤはどす黒い感情があったけど、その中で悲しいような淋しいような嘆きが見え隠れしていた気がするの。微かにだけど『何故』って訴えてるような。」

 「そういえば、黒いモヤと一緒に石の中にいたあの男はどうなってんだろうな?息はしてたけど。」

 ディランが首を傾げる。フォリーが話を続ける。

 「クリスタルの開放の日にトゲうさぎに変化ではなく、実は繋がっていて、開放されたことが刺激を与えたのかな?
だって、トゲうさぎを最初に見つけたのは魔塔の研究室だもの。あの緑石を研究していた部屋の隅。」

 「可能性はあるだろうな。むしろその可能性を考えない方が不自然。」

 ルーカスが腕を組んで話す。その後にアレックスが夢の話をしはじめた。 
 
 「父上の手伝いをしてる時に、チビの頃のフォリーの悲鳴が頭に響いたんだ。で、切り離されたチビの俺達がいるところで何か起きたと思った。確認するために昼寝したよ。変化は確かに起きてたんだ。」

 「変化?」

ディランが声を出す。

 「うん。よく誰かの墓のところに俺達はいるのだけれど、手入れの行き届いていてる綺麗な墓だったのに、あの時見た夢の内容だと、一部にヒビが入っていた。チビのフォリーが指で指し示していたんだ。
 おそらく、悲鳴が頭に響いた時はトゲうさぎが変化した時と同じじゃないかと思う。つまり、墓にヒビが入った時も。」

 「そもそも、その墓が何なのかなぁ?」

ディランが呟く。話をしていく中でルーカスは妹に何かの変化を感じる。

 「フォリー?どうしたの?体調が?」

 「え?私?特にこれといった気分不快は感じはしないけど?」

 「・・・ねぇ、むしろルーカスの後ろの方・・。」

アレックスがルーカスの方をみて指摘する。全員がルーカスの後ろの方を見る。

 幼い金髪の透けた少女。フォリーが眼を大きく開く。

 透けたフォリーが、フォリーに声を発した。

 「時が来たんだよ。もうじきだよ。」

それだけ言い残し、消えた。


 暫く沈黙が続き、ほぼ同時に4人はため息をつく。

 「謎解きか?フォリー?アレックス?」

ディランが眉間にシワを寄せて話す。

 「そんなこと言われても。自分のこととはいえ、そもそも色んな出来事が謎だもの。」

 フォリーが答え、アレックスは難しい顔になる。

 「まぁ、この国はそもそも謎だらけ。」

ルーカスがしなくてもいいツッコミを入れた。




          *



 ティータイムにちょうど良い時間になり、侍女達が声をかけようと扉を叩くが、返事はなく、そうっと扉を開けて中を確認する。

 「まぁ。ふふっ。」

中を確認した侍女が思わず小声で呟く。もう一人の侍女がどうしたのか声をかける。

 4人ともソファーに座ったままでうたた寝をしており、特にフォリーとアレックスはお互いの肩に寄りかかるような姿勢になっていた。

 単に考えすぎて話がまとまらず、疲れて4人とも昼寝の旅にでただけ。

 また後で声をかけましょうと侍女達は扉を閉めた。
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