最強のリヴァイアサンになった筈なのに(仮)

ライ蔵

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ヨアヒムの考察

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 一体なんだと言うのだ!...あの女は低脳な召喚獣では無いのか?

 今の私はクラルフェラン共和国の首都、バハムーレ屋敷で低俗なアルフェール家の奴らと軟禁に近い状態で居る。

 アーティファクトで本国に現状を連絡を取った後、怒りのあまりに目の前の椅子を蹴り上げる。

 クソ!ありえん。

 いくら龍王リヴァイアサンと言えども所詮はモンスター...それが何故あの様に小賢しい返答をしてくるのか...まさか...我らが愚かで知性の欠片すら感じられないとバカにし続けたモンスター共はそこそこ賢いのか!?

 ...確かに人間の言葉を喋れる種族も居るが...あそこまでさかしくは無い。

 もしやドラゴン系は...なるほど。

 確かにドラゴン系は長寿だ。

 数千年におよび生きる者も居るとは聞く。

 我らよりも多くの知識を持っていても不思議では無い。

 しかし...私もここで退く訳にはいかない!この国の行く末を我らの神から託されたのだ!

 海に面した土地を欲した我ら聖都ウィルドレルは神の名の下この国、クラルフェラン共和国へ侵攻したことがある。

 クラルフェランの意外な程の大きな反発と応戦に降す事は出来なかったが国力を大きく削ぐ事は出来た。

 更なる追撃で経済を締め付け、真綿で首を絞める様にクラルフェラン共和国を衰退させる作戦を我ら聖都ウィルドレルの上層部は立案、実行した。

 その作戦は徐々にではあったが効果を発揮し、クラルフェランを更なる衰退の道へと導いて自ら聖都ウィルドレルの傘下に入るように仕向けていたのだが...龍王リヴァイアサンがこの国に住み着いてから状況が一気に覆された。

 クラルフェラン共和国が目覚ましい勢いで経済を回復させて行ったのだ。

 先王よりも今の王、ワイナール・セルベ・クラルフェランが存外優秀だったと言うのも計算違いだったが一番の邪魔者は龍王と竜王。

 バハムートの戦闘能力を基準で考えるならば我らの兵力を思えば勝てぬ相手ではない。

 だがバハムートクラスのドラゴンがもう一体と考えると...こちらの兵の損耗も大きくなりすぎる。

 ...龍王リヴァイアサンは海のモンスター。

 海では強大な力を発揮するのだろうがここは地上だ。

 地上ではバハムートよりも戦力は大きく下回るだろう事が想像できるが...慎重に動くことに越したことはない。


 窓辺へ移動すると窓から遠くに見える王達がいる城を眺めながら私に課せられた役目を整理する。


 それは...エリスとヴァルファーレを聖都ウィルドレルに都合の良い人物の元に嫁がせる事だ。


 王族の直系血筋であるエリスをこちらで押さえてしまえば先々、この国の内政に多少なりとも干渉できる様になる。

 今の状態のクラルフェラン共和国がそのまま欲しい我々にとっては鍵となる人物になるだろう。

 それに...ヴァルファーレだ。

 ヴァルファーレはバハムートの娘...下手な王族よりも強大なバックを持つことになる。

 軍事力を欲している輩共には喉から手が出るほど欲しい存在だろう。

 それに...俗な輩共が世にも稀なドラゴンと人間のハーフの女の具合がとても気になっているらしい。

 まだヴァルファーレは赤子だと言うのに俗な考え過ぎて吐き気を覚えるが...我らの念願の為に我慢だ。

 奴らの出す資金も馬鹿には出来ない。

 我らの大儀の為にここは耐えよう。


 我々の目的を阻む最大の障害は...やはり龍王リヴァイアサンであるフォルティーナと竜王バハムートであるヴァランティーヌか。

 フォルティーナの方は観察していて幾らか人物像は掴んだ。

 可憐で思わず目を見張る程の美しい儚げな令嬢の姿なのにその姿に似合わない粗暴な態度や喋り方などには吃驚させられる。

 それを他人にどう思われようと気にしていない、いやそもそも自分の見た目や評価に興味が無いと言うところか。

 短気かつ熱くなりやすい性格のようだが、自制心を持っており冷静な判断も出来る。

 一見すると誘導しやすそうな性格だがなかなか用心深い様で厄介そうな相手だ。

 執事や侍女の様子を見ると人望も厚い様子が見て取れるので周囲の人間から切り崩していくのは難しいだろう。


 それに元ファメルテウスの王太子、カーツ・エーデル・ファメルテウス。

 この愚か者が大司教様の娘を使って厄介な事を口出しして来ている。

 その口出しとは...「フォルティーナは我が召喚獣とする。傷ひとつ付けぬように我が眼前に差し出せ。」などと直接フォルティーナを目の当たりにした私からすれば不可能だとわかることを言ってきている。

 ...大司教様の娘もあの様な見た目だけ良いクズのどこが良いのやら。

 大司教様の娘はあの愚かな男に一目惚れしてしまい、カーツの言いなりになってしまっている。

 周りが必死に諫めても聞く耳を持ってくれないと報告が来ている。


 熟慮しながら窓辺を離れ、部屋に添え付けられているソファーに深く座り気を落ち着かせながら更なる熟考へ入る。


 愚か者共の事はどうでも良い。

 後でどうとでも言い繕える。

 ...バハムートとリヴァイアサンを引き離す事が出来れば...各個撃破は...可能だろうがどうしたものか。

 そう言えば...フォルティーナの隣にいた背の高い男は...もしや...あの特徴的な耳の形...それに我ら人間よりも研ぎ澄まされた高い魔力の片鱗を感じ取れたが...まさか魔族か!?

 ...あの男が魔族ならばそこから難癖をつけて引き離す事ができるやもしれない。

 突破口になりそうな事に思い至った私はニヤリと笑みが出てしまう。


 どうにか出来るやも知れませんね...。


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