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三章 銀色の乙女、バイクを完成させる。
しおりを挟む「もう一台も出来上がった見たいですね!ジュエル!!」
「ええ、出来上がりました!!」
2ストエンジンを載せたバイクとは別のもう一台のバイクが目の前に鎮座されている。
両方とも同じ様なカウルに包まれたエンデューロ・レーサータイプで、舗装されていないこの世界でも使い勝手が良い様にオフロードを選んだのですよね。
「後から出来上がったバイクは初めのバイクと何処が違うのですか?」
シルビアが二台を見比べながら尋ねてくる。
「動力源が違うだけで後は同じですね。」
一台目は2ストエンジンでルリシスちゃんから借りてきてもらった制御の本を元に制御用の魔導具でエンジンマネージメントされている。
言わば燃料が魔力に変わっているだけの普通の2ストロークエンジンですね。
もう一台の方はエンジンの変わりにモーターを積んだ電動バイクです。
ミッションはついてはいるのですが5速辺りで固定しないと恐らく危険が危ないでしょうね。
本当は電動化するにあたって、インホイールモーターの方が良いのだろうが取り敢えず通常のモーターを作り出し載せることにしました。
「さあ、後は試乗しながらの調整になるのでジョルダーノさんが魔導車で迎えに来るのを待ちましょうか!!」
「はい!!」
流石にこの大きな街であるリュドレイクの街中で試乗は出来そうに無いので広い庭のあるジョルダーノさんの屋敷で試乗することになっています。
ちゃんとジョルダーノさんの許可は戴いているのですが、どうやらバイクがとても気になっている様子。
...ジョルダーノさん、絶対に乗りたいと言い出しますよね。
バイクを作りながらシルビアに魔導具の作り方を教えていたのですが物凄く飲み込みが早く、既にドライヤーや魔導ケトルは作れるようになりました。
シルビアにも学校の試験を受けさせて見ましょうか?もしかすると一緒に通えるかもしれないですし。
次の日になり皆さんが見守る中、庭でバイクの試乗を始める。
まずは2ストエンジンの方から行きますか!!
自分の安全のためにヘルメットなどの安全装備を作っているのでそれを装着する。
ヘルメットを被り、風の魔石を使用したエアバックジャケットを纏う。
よし!!行きますか!!
クラッチを握りギアを1速に入れ、アクセルを捻りながらクラッチを繋げる。
バイクは普通に走り出し、庭をゆっくりと回って行く。
うん!問題は無さそうですね!!
各部の作動を確認した後に元の場所へと戻る。
「師匠!師匠!!今度は私が乗っても良いですか!?」
どうやら私がバイクに乗っているのを見てジョルダーノさんが我慢できなくなった様で既にヘルメットとジャケットを着て飛び付いてくる。
どうやらバイクに乗るために今日は仮病まで使って仕事を休んだそうだ。
...見事な乗り物馬鹿になってきましたね...。
乗り方のレクチャーをし、ジョルダーノさんの安全のためにシルビアに風魔法でアシストしてくれるように頼んだ後、もう一台のモーター使用の電動バイクに試乗することにする。
取り敢えず5速から行きますか。
5速に入れアクセルを捻る、その瞬間フロントが浮き上がりウイリー状態処か一回転しそうになる。
危ない!!
咄嗟にアクセルを戻しフロントへ全体重を掛けると浮いた前輪がストンと無事に着地する。
「あー、危なかったです~!!!」
「ジュエル!!!大丈夫ですか!!!」
シルビアとルリシスちゃん、それにヴァルザスさんが駆け寄ってくる。
「おいおい!!危ねえな!!」
「ジュエルちゃん!!!いきなり前が浮いたけど何があったの!?」
「たぶんトルク...いえ、モーターの力が強すぎるのでしょうね。このままでは乗れた物では無いので出力を落としましょう。」
カウルを外し制御用の魔導具をモーターから外し開いて調整する。
うーん、どうしましょうかね...。取り敢えず30%位の出力まで下げてみてから考えますか。
電動バイクの調整をしながら通常のバイクの方の様子を見ると今度はヴァルザスさんが乗り回しています。
どうやらジョルダーノさんが皆さんに乗り方を教えて順番で乗っている様子です。
シルビアはずっと風魔法で皆さんのアシスト役をやっているので後でアシスト役を私が変わってシルビアにも乗ってもらうことにしましょうか。
そう考えながら再び電動バイクの方へ意識を向けた。
応援ありがとうございます!
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