最愛の夫だった義理の兄に再び溺愛される

魔理沙

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あたしの幼なじみは前世では最愛の夫でまた溺愛してくれる

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また会いたいって願ってる人がいる。
きっと相手も、自分にまた出会いたいってそう願ってると信じてる。ねえ、神様。羅漢を……。
『オレの』あたしの、最愛の人とまた会わせて下さい。

あたしの幼なじみは前世では最愛の夫でまた溺愛してくれる

「りゃかはどこ?」
「りゃか?りゃかってどの子かな?」
「違う!りゃ、らか!らかに会いたいの!!」
喋りだすようになったらりゃかこと羅漢は何処にいるのか何時も親に聞いてた。ねえ、羅漢。前世の記憶があるのに会えないのって、こんなに辛いんだね。
『きっと直ぐ会える。会えるよね。』
一目見たら直ぐに分かるもん。羅漢だって。羅漢を毎日探して、保育園に行っても遊ぶ場所に行っても何処にもいなくて落ち込んで。それでもきっと会えるって信じて毎日探してた。それこそ隣町にまで1人で行ったこともあるくらい。当然親からは怒られたけど。
毎日羅漢に会いたいって思う日々。羅漢は、いるのかな。もう転生してる?もしかして、まだいない?もっと早く出会いたいって欲張ったからまだ会えないのかな。そんなモンモンとした感じを抱えて1年。隣にある家族が引っ越してきた。3人家族で同い年の男の子がいるって。誰だろって思って挨拶に来た家族を、男の子を見たら。
「らか!!」
「っ!アイン!!」
「「「「え?」」」」
「らか~~~~!会いたかったよーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「オレも……。オレもーーーーー!!」
今度も懲りずに何がなんだか分からない両親たちの前で泣きながらの感動の再会。だって仕方ないじゃない。前だって家族のいる時に再会したんだし。
再会したのはお互い4歳で今度は幼なじみだった。ただ、今回。あたしは前世としての、男だった記憶ありながら女の子として転生したけれど。
同じ保育園に行けるようになってルンルンな自分。まあ、今は女の子だから
「エヘヘ~!らかと一緒に保育園行けて嬉しいな~。」
「アインちゃんご機嫌ね。」
「うん!」
「(か、可愛い……っ!)」
引っ越してくる前。オレは今度もまたアインはいなくって悲しくなった。けれど諦めるつもりは欠片も無かった。
アインは何処って何時も親に聞いて、親戚にも近所の子供にも聞いて探したけどいなかった。アインを探して隣町まで行ったくらいでその度に親に叱られたが懲りずに探してた。しかし、そうこうしてたら父さんの仕事で転勤する事になってしまい。この町に引っ越してきた。
新しい家、新しい町。此処に、アインはいないのかなと不安はあったけど期待もあった。もしかしたらこの町にいるかもしれないから。そしたら。
「…………………………。ウソ……。」
まさかの隣の家の子供だったなんて。誰が思うんだろ。しかもアインは前世の記憶があった。オレを見るなり羅漢って呼んでくれたから。
「………………。」
子供の時のアインってこんなに可愛いんだな。同じ部屋だから遊ぶ時間になったら何時も
「羅漢~!遊ぼ!」
満面の笑顔で駆け寄ってくる。正直可愛くて仕方ない。だから
「お、お前な……っ!」
「へ!?ら、羅漢?どしたの?」
抱き締めたって仕方ないよな。うん。
先生も羅漢君はアインちゃん大好きだね~、って言ってくるけど。正直愛してる。それこそまたアインと結婚したいくらいだ。言いはしなかったが。
保育園を卒園して小学校も同じ所に行った。6年間同じクラスで毎日一緒に帰って、宿題して。遊んだ毎日。小学校の6年が終わって、中学に入学してもそれぞれ部活したという違いだけで何も変わらなかった。羅漢はバスケ部でアインはバレー部。
小学生の時に告白したオレたちは名物のカップルだった。夫婦扱いもされたから
「将来結婚したいと思ってる。考えてくれないか?」
「え、あた……しと……?……。うん。」
また結婚してくれない?って言ってくれた。しかも今度のアインは女の子。前世のアインはオレと結婚して幸せだったと言ってたけれど、心残りがあるとしたら。オレとの子供が欲しかったことだった。男同士、当たり前だが子供はできない。だからアインは生まれ変わったら女として転生させて下さいと願った。

夫婦2人の生活も楽しかった。子供はいなくても、羅漢さえ。お互いいたら満足だって思ってた。それは紛れもなく事実で、幸せだったのは今でも覚えてる。だけど
好きだったからこそ、羅漢の子供が欲しかったのも事実だった。自分が女だったらどれ程良かったのだろうとも考えた。だから死ぬ間際願った。
今度は女として産まれて、羅漢と出会わせて下さいって。
そしたら本当に自分は男だった記憶があるけれど女として産まれてた。だけど女って思ってた以上に大変だった。
「ううう…………。」
大人の女になる為、とはいえ。これはキツい。お腹はハンパなく痛い。小学校高学年から始まった生理は思ってた以上に大変だった。だけど
「大丈夫か?腹温めるか?」
「う、うん……。」
お腹を温めるだけじゃなくて優しくさすってもくれたし、温かい飲み物だって買ってくれた。羅漢なりに調べて辛いものは買わないでいてくれる。
「なんで、ここまでしてくれるの?」
「アインが辛そうにしているのに黙って見てるのが可笑しいだろ。それに出来ない。こんなに顔色悪くさせて、痛いのを堪えて耐えてるのに何もしないって。そんな辛いことがあるか。」
肩を抱き寄せてお腹をさすってくれる羅漢に、また惚れ直す。何度でもオレは羅漢に惚れ直すんだろな。今度だって羅漢は見た目も中身もいい男で幸せだった。
だけど、当たり前だけど。いい男なら惚れる女の子はいる。それにまさか。女として生まれ変わった女のオレに惚れる奴がいるなんて思わなかった。
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