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3巻~友との繋がり~ 1章

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 皇居を囲む巨大なトレントの一柱。その頂上付近。
 手で丸を作り、森の中へ進んで行く二人を眺める男がいた。

 男は焦るように携帯を取り出し、冷汗で湿った手でボタンを押す。

 数秒の呼び出し音の後、

『何だい?』

 気怠そうな女性の声がマイクの奥から響いた。

「あ、姉御っ。ヤベェ奴がいる!ヤベェ奴が来た!」

『落ち着きな、デカい声出したら食われちまうよ』

 男は小声で叫ぶという器用なことをしながら、足りない語彙力でたった今自分が見た非常識な光景を説明する。

「あいつらヤベェんす。男は笑いながら銃乱射してたし、小学生くらいの女が装甲車運転してた。一番はあの男、コカトリスを一撃で殺しやがった!」

『コカ?……あぁ、あの鶏か』

 男は先の衝撃を思い出し、再び戦慄する。驚きすぎて危うく木から落ちるとこだった。

『それで?そいつらの目的は分かるかい?』

「詳しくは分からないっす。けど、女はビデオカメラ持ってました」

『カメラ?……その女、白髪だったか?』

「は、はい。恐ろしいくらいの美人でした。何か知ってるんすか?」

 数秒の沈黙。

『……いや、まだ分からん。ボスには私から言っとく』

「わ、分かりました」

『そいつらの行動、逐一私に報告しろ。お前なら見えるだろ?』

「はい。俺の『望遠』なら、木に隠れなければ皇居全域カバーできます」

『ならいい。切るぞ』

「はい。お忙しい中失礼しましたっ」

『はいはい』

 男は切られた携帯をポケットにしまい、一度深呼吸をし、再度手で丸を作った。

「――っ」

 件の二人は、踊るようにモンスターを殺し続けていた。




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