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2章
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明海大学周辺には、素行の悪い輩の根城が多くある。
数ある内の一つ、さらにその一角で、現在ちょっとした騒ぎが起きていた。
「おい!どうしたお前等!?」
バタバタと倒れていく仲間に、スキンヘッドの男が焦り叫ぶ。
青白い線と、バチチッ、という音と共に、一人、また一人と白目を剥き泡を拭いて地に伏していく。
(何だ、何だ!?モンスターか!?姿が見えねぇ!!)
遂に残り一人となってしまったスキンヘッドは、手当たり次第に火球を放り投げる。
今まで人を食いものにしてきたくせに、いざ自分がその立場になると慌てふためき正常な判断がとれなくなる。彼等半端者の特徴だ。
そんな滑稽な姿を、パーカーを被った彼は斜め後ろから呆れながら見ていた。
彼はスキンヘッドのすぐ後ろにいるにも関わらず、スキンヘッドはその存在に気付かない。
それもそのはず。彼がcellを発動した時、彼の姿は彼以外の誰にも見ることはできなくなるのだから。
彼は火球を余裕で躱し、ガラ空きの首に片手を翳す。
「出て来やがりゃびゃびゃびゃびゃ――」
痙攣するスキンヘッドは、涙と汗を撒き散らしぶっ倒れた。
静かになった室内で、彼はボロボロのソファに腰かけ、奪った食料を広げる。
「……これ美味いな」
適当につまみながら寝っ転がる彼は、天井をぼー、と見つめ一休みする。
(……そろそろ帰らないとまた怪しまれるか。......しくじったな)
五分程グダグダと過ごした後、起き上がり、再び切っていたcellを発動した。
(あいつ等の事嫌いじゃねぇけど、そろそろ潮時か。勝手にいなくなってもいいけど、……どうし「よっ」
これからの行動に頭を悩ませる彼は、パーカーをはためかせ、苔に覆われるマンションの四階から飛び降りた。
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