溺愛魔塔主は今日もご乱心~保護した天使が可愛すぎます!~

うみくも

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【Chapter1】転機に事故はつきもので……

Episode8 楽になれる方法

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「ほえ…?」


 突然毛布をがされて、ロマノアは緩慢な動きでまぶたを叩く。
 そんな彼の上に覆い被さったランスタッドは、困ったように眉を下げた。


「ロマノア。今からすごくびっくりすると思うけど、我慢しろよ。媚薬を抜く方法が、今はこれしかないんだ。」


「………? 分かり、ました…?」


 よく分からないけど、とりあえず頷いておく。


 これまで、毒に苦しめられた経験は数知れず。
 今までに経験したことがないこの苦しさがやわらぐなら、どんな痛みでも耐えてみせる。


 ぼんやりした意識でも、そう意気込んだのだけど……


「ひゃあっ!?」


 襲ってきた衝撃は、そんな覚悟も軽く打ち砕くほどのものだった。


「なに…? なにっ!?」


「だから、我慢しろって。これを乗り越えれば、少しは楽になるから。」


「あう…っ。あああっ!!」


 全身を駆け抜ける衝撃に耐えられなくて、ロマノアは大きく体を跳ねさせた。


 ランスタッドの大きな手が、今まで誰にも触れられたことがないところに触れている。


 触れられてから気付いたけど、自分のそこは熱くたぎって雫を滴らせているようだった。


 自分の体に、何が起こっているの?
 ランスタッドは、何をしているの?


 そんな風に戸惑う気持ちも、未知の感覚に流されてしまって……


「あああああっ!!」


 あっという間に、頭が真っ白に染まってしまった。


「ふう…っ。う、うぅ…っ」
「大丈夫か…?」


 ぼろぼろと泣き出したロマノアに、ランスタッドは大いに狼狽うろたえる。
 そんな彼に、ロマノアはしゃくりあげながらも自分の状況を伝えた。


「分かんない……分かんないです…っ。ふわふわするのにビリビリもして、体も頭も熱くて……なんにも分かんない…っ」


 我慢すれば楽になれるって言ったくせに。
 ランス様の嘘つき。


 時おり弱りきった泣き声をあげながら、身を震わせるロマノア。


 それを見つめるランスタッドは、自身も荒い呼吸を繰り返す。
 その頬に一筋の汗が流れて、喉が大きなつばえんして―――




「―――――悪い。」




 ぽつりと。
 その唇から、低い一言が漏れた。


(え…?)


 再び未知の感覚がして、ロマノアは薄く目を開く。


 唇に、柔らかい何かが触れている。
 そして、今までで一番近い距離にランスタッドの顔がある。


「ん…っ」


 それが何かを理解する前に、口の中に温かいものが入り込んできた。


「ん……う……」


 その温かいものは自分を舌を絡め取って、上顎うわあごや歯列をゆっくりとなぞっていく。


 なんだろう…?
 もっと……もっとしてほしい。


「ん…っ」


 無意識のうちに、ランスタッドの首に両手を回す。
 その手にきゅっと力を込めると、口の中でうごめくそれが激しさを増した。


「ん……んぅ……んんっ」


 この感覚、危ないかも。
 なんか、すごく癖になりそう。


 ほんのりと危機感をいだきながらも、それを求める本能を止められない。
 その絡み合いだけで、気が遠くなるような時間が流れていた。


「は…っ」


 ようやく呼吸が楽になったかと思うと、自分とランスタッドの唇の間を透明な糸が繋いでいた。


 それで、自分の舌と絡み合っていたものが彼のそれだったことを悟る。


「まずい…。やめられそうにないな……」


 そんなことを呟いたランスタッドの瞳に、野性的な光が宿る。
 その瞳に射られると、問答無用で心臓が高鳴った。


「あ…っ」


 今度は、彼の唇が首筋に触れてくる。
 それを拒もうと思うことすらできなかった。


「ふあっ……あっ」


 首に、胸に、腰に。
 何かを急ぐように、至るところにランスタッドの唇や手が触れる。
 その度に脳裏で電流が弾けて、体をむしばむ熱が温度を上げていくようだった。


「う…っ」


 熱に浮かされてふわふわとしていた意識が、少しの苦しみで現実に引き戻されたのはいつのことか。


「ランス、様…っ。そこ、汚いですよぉ…っ」
「大丈夫だ。汚いなんて思ってないから、このまま何も考えるな。」


 そう言って額にキスを落としてきたランスタッドは、そこにうずめた指をゆっくりと動かし始めた。


「うぅ……ふ……んあっ!!」


 苦しくて気持ち悪いと感じたのも、たった数分のこと。
 とある時を境に、全身は再び強烈な電流に侵されることになる。


「ランス様…っ。そこ……やだ…っ。なんか、変になる…っ」
「ああ、それでいい。」
「んああっ」


 優しくささやきながらも、ランスタッドは指を止めない。


 それに逆らえるはずもなくて、何度も襲ってくる衝撃に息と体を跳ねさせるしかなかった。


「ロマノア……」


 ふとした拍子に、心地よい響きの声が自分を呼ぶ。


 見えない何かに引き寄せられるようにまぶたを開けて上を見ると、暗闇の中でほのかな明かりを受けてキラリと光る赤い双眸と目が合った。


「朝になったら、好きなだけ怒っていい。俺に命じられたら逆らえないだろって、俺を責めてくれて構わない。―――今は、俺を受け入れてくれ。」


 命令という前置きをしながら、その口調は懇願に近い。


 その声を聞くと、心臓が壊れたかと思うほどに鼓動が鳴って、彼の願いに応えたくてたまらなくなって……


「―――はい。」


 ランスタッドに向けて、両手を広げていた。


 腕の中にたくましい体が落ちてきて、再び唇どうしが深く交わる。
 心地よい感覚に意識が甘く溶かされて、ただされるがままになっていると―――


「んんんっ!!」


 突然、指とは違う熱い何かが自分の中を貫いてきた。


「んん……んっ!」


 とっさにランスタッドを押し退けかけた瞬間、より深く唇を奪われる。


「う……ああっ!!」


 そこからは、もう何がなんだか分からなかった。


 重い衝撃が奥を刺激してくる度に、視界がチカチカと明滅する。
 必死に息を吸っているはずなのに、酸素が足りないのか意識がかすむ。


 そして何より―――全身が熱くて、断続的に襲ってくる電流が気持ちよくてたまらない。


「……はっ。だめ……だめ…っ」


 先ほども迫ってきた、何かの津波。
 それにもう一度飲み込まれるのが怖くて、ロマノアはいやいやと首を振る。


 一方、そんな仕草を間近から見ることになったランスタッドは、動揺もあらわに生唾なまつばを飲み込んだ。


「くそ。可愛いな、おい…っ」
「ふあぁっ!!」


 より一層深く奥を貫かれ、ロマノアは背中と首を大きくけ反らせる。


「やだ…っ。また……変なのが来る…っ」
「大丈夫だ。さっきと一緒だから、怖がらなくていい。」


 ランスタッドはそう言うけど、怖いものは怖い。
 このままじゃ、自分が溶けてなくなりそうなんだもの。


 これに耐えろって言うなら、自分がちゃんとここにいるって分かるように抱き締めてて……


「ふえぇ……ランスさまぁ…っ」


 色々と限界のロマノアは、必死にランスタッドにすがりつく。


「く…っ」


 明らかに揺れるランスタッドの声。
 それと同時に、自分の中にある熱が大きく震える。


「あっ、あっ……あああっ!!」


 初めての感触に脳裏が真っ白に焼かれて……―――そのまま、正反対の黒に染められていってしまう……

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