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性的指向で悩んで旅に出た俺は、聖(性)愛の伝道師(笑)と出会った。ら、初めてを持ってかれた。[いち]
ここは街道から少し外れた旅人の休憩地。
夜の帳が落ち、すっかりと人の通りも無くなり、旅のシーズンでもなく、狩りのシーズンからも離れている今はここに天幕を張る者も少なかった。
俺がここに着いた頃には一つだけ天幕があり、その前には今にも消えそうな焚き火があって、俺は慌ててそこへ近寄ると、近くに置いてあった薪を焼べる。
消え掛けていた焚き火がまたパチパチと音を立てて燃え始めた頃、静かな林道に似合わない声が聞こえてきた。
――んぁっ・・・っおほぉっ♡・・・も、ヤベ、でぇ・・・っ
焚き火の背後、俺からは正面の一つだけ張られた天幕の中からだろうか・・・喘ぎ声?の様なものが漏れ聞こえてきた事に俺は眉を顰めた。
「・・・なんだよ、こんな時間に、こんな所でおっぱじめていたのかよ」
夜と言ってもまだ夕食時間にも早い時間に聞こえてくるモノに悪態をついた。
よく耳を済ませれば、天幕の中からパンパンと肉がぶつかる音と、男の野太い喘ぎが聞こえてくる。
ぐちゅぐちゅと淫猥な水音が、小さな叫びの様な喘ぎ声の合間に聞こえてくる。
「ちょっと待て・・・、あの天幕、魔導具だよな?」
出入口さえきちんと閉めれば、外からの音は拾っても中の音は漏らさないっていう優れものだと教えられた事がある。
生憎、自分には一生手が届かない代物ではあるが、村に来た旅の商人にどうですか?と現物をまざまざと見せ付けられた事が有り、泣く泣く諦めたものだったのでよく覚えていた。
焚き火と月明かりだけでは見えにくいが、よくよく見ると天幕の出入り口が一辺だけ閉じられていなかった。
そこからチラチラと中から光が漏れ、人影が見えるし、音までが漏れていた。
「おいおいおいおい・・・、閉め忘れか?それとも・・・」
見せつけたいのか?と思わず興味本位で天幕へと忍び足で近づいていく。
漏れる音も声も俺が近付くにつれ、はっきりと聞こえてくるようになった。
容赦なく叩きつけるような、肌がぶつかり合う音。ジュブジュブグチャグチャと肉壷をかき混ぜる淫猥な水音に、男の喘ぎ声が絶え間なく聞こえてくる。
「あ゛あ゛あ゛っ!だべぇっ・・・もっ、苦じっい゛っ、取っでぇっ!ごれぇ゛っ・・・どっでぇっ!」
「要らないだろ、そんなもの。ケツで充分善がれるんだ。・・・ほら、極太チンポ、ケツに突っ込まれて、メスイキしろよっ」
汚い男の喘ぎまみれの後に聞こえた男の声が耳に届いた途端、ざわりと毛が逆立った。
ひどい、美声だ。
美声にひどいとは相反するものだが、そう思えたのだから仕方がないだろう。
聞いただけで腰砕けになるような、崇拝したくなるような声が濁声の男の喘ぎ声に混じって聞こえてくる。
「はっ・・・、お前、俺を襲うのに気が流行って閉め忘れただろ・・・外の奴が聞いてるぞ?」
「あ゛っ!やっ、ヤベテェ・・・ぎぐな、ぁっ!」
聞いているのがバレて、ヤバいと思ったが、両足が絡め取られたかのようにピクリとも動かなかった。いや、動きたくなかった。が正解かもしれない。
「聞かせてやれよ。親切な面を被って騙して天幕に引き込んだ奴をレイプするどころか、逆に汚ねぇケツに極太チンポ突っ込まれて、アンアン汚ねぇ喘ぎ声で善がってる様をよぉ」
「ふぐぅぅぅーーーーっ、んあ゛っ、そこらめぇっ♡」
「なに、口塞いでんだ。てめぇ自身が言ったんだろうが、この天幕ではいくらでも鳴けってよぉ・・・、善いトコロ掠めたか?じゃあ、外で聞いてる奴にサービスしてやんねぇとなぁっ」
「おほぉっ♡・・・やっ♡らめっ、そこっらめぇぇええっ♡こ、こ、ごれぇっ取っでぇっ」
「取って取って、うるせぇなぁ・・・。根本がっちり縛られてもアンアンイクイクつって、2回もメスイキしときながら嫌だなんて説得力なんかあったもんじゃねぇよなぁ?おら、奥ガンガン突いてやるから、遠慮なくイケよ?」
益々、ぶつかり合う音と水音が辺りに響きだす。
出したい、出させて、お願いします。と懇願するのを無視したまま続けられる行為に、ゾッとした。
だが・・・俺の股間はしっかりと熱を持ち、確りと固くなっていた。
淫靡な空気、汚い男の喘ぎ声、肉をかき混ぜる様な水音に、耳が犯されて中を覗き見てもいないのに、いや、見ていない所為で更に想像力が掻き立てられた。
・・・ずっと思ってきた『男に抱かれたい』という自分の欲を、こうもありありと見せつけられた様な気がした。
「・・・はっ、やっぱりあの村から離れて正解だったんだ」
俺の村は、性交対象は同一種族の異性と決められていた。
が、俺はどうしても異性を、女をそういう対象に見られず、友人や恩師などの同性が性欲の対象だった。
周りが異性を好きになり、性交をしていく中、俺一人置いていかれると、周りが俺を奇異の目で見るようになってきた。
友人も離れ、両親も俺が何処かおかしいんじゃないかと嘆き悲しみ・・・俺自身も死のうと実行に移しかけた時さえあった。
そこにやってきた旅の商人が、俺の話を聞いて、サマリティシア教を国教とする、ルベルバック王国とその周辺国は性別種族、年齢だって関係なく夫婦になるのだと教えてくれた。
一度死のうと思った身だ。死んだつもりで村を出て、今までの関係を断ち切り、サマリティシア教が布教されている国へ行こうと決意して、旅立った矢先の出来事が・・・
「いぐぅっ♡いぐぅっぅぅぅうう♡ケツマン、ゴリゴリさりぇでぇっ!メスイキずるぅぅぅうううっ♡」
これだった・・・。
いや、抱かれたいとは言っても、こんな無様なのは勘弁したい。
こちとら全てが初めてなのだ。・・・いや、キスぐらいは村で経験した。が、違和感しかなく、逃げてしまったが・・・。夢見る童貞処女だ。少しぐらいは思い出に残るような夜にしたい。これもまた、ある意味夢に見そうではあるけれど・・・。
男が叫ぶ様に絶頂を伝えた後、パタリと音が止み、中から大きく呼吸する音と、ため息と共にずるるっとナニかが引き抜かれた音がして、俺は慌てて天幕から離れた。
止められていた足はすんなりと動き、そこから離れられた俺は、慌てた手付きで自分の天幕を張り終えてからその事に気付いた。
チラチラと件の天幕を見ながら、出てくる気配は無いかと探りつつ、焚火にもう一度薪を焼べて、切れかけていた魔物除けの丸薬を放り入れてから自分の天幕へと入った。
「ふぅーーーー・・・凄いもん、聞いた・・・」
自分の1人用の天幕の中央に胡座をかいて、まだ熱が冷めない股間に手のひらを当てた。
が、ここでするつもりはない。いくら離れたところに張ったと言ってもこちらの天幕は魔導具なんかではないのだから、外にいくらでも声が漏れる可能性がある。こう、静かに声を殺しても出来るが・・・何というか、扱いている音さえ漏れ聞こえるんじゃないかと思い、ただ興奮が冷めるのを待った。
「あの、もし・・・宜しいですか?」
「ふぉわっ!は、はいぃぃい!」
「良かった、まだ起きてらしたんですね」
自分の股間事情に集中していた所為で、近付く人の足音すら聞き逃していた事により、突然天幕の外から声を掛けられて驚き、声を上げてしまった。
しまった。と思った時にはもう遅く、こちらが起きている事は向こうには明白で、今更取り繕った様に寝たふりをしても仕方が無い為、覚悟を決めて天幕の出入り口を開けた。
目の前に現れたのは月の明かりに照らされた女神の様な人だった。
声で、あの天幕の中で相手を攻め苛んでいた男だと解ってはいたが、まさかこんな姿だったとは思いもしなかった。
一瞬息を飲み、自分が何処にいるのかさえ分らなくなりそうになり、目が泳ぐ・・・
ん?
「ふっ、服を着てくださいっ!」
「え?あぁ、そういえば忘れてました。暑かったのもので・・・」
女神の様な容貌をしておきながら、しっかりと筋肉の付いた身体に、・・・中々、村では御目にかかれない程の立派なモノがぶら下がっていた。
一枚のシーツの様な物を羽織っただけで天幕の外に出るなんて!と俺は目の前の人の行動が信じられず、この人の容姿の衝撃など何処かへ飛んで行ってしまった。
目の前のシーツだけを肩にかけた状態の人に「何か着るものはないんですか?」と声を掛けながら、件の天幕へと駆け寄り中を見たら、ぐるぐるとロープで簀巻きにされて目隠しに口まで封じられた筋肉質の中年男が転がされていた。
下半身は残念なことに外に晒されていて、チンコはギンギンに反り返ったまま、根元を縛られたままでパッと見た限りではどす黒い色をしていた・・・腐り落ちて捥げないか心配になるレベルだった。
「え?・・・え?・・・、・・・ぇえっ!?」
「その男、ここ界隈で老若男女の区別無くこの休憩地に来た一人の旅人をレイプして殺して持ち物を奪うという、強姦強盗殺人で手配されている賞金首だったんですよね」
「・・・え?」
「良かったですね?俺が先に来ていて。確実に貴方、レイプされてましたよ?」
天幕の中にいる、顔が半分隠れてはいるが、どう見てもアヘ顔でビクンビクンと体を跳ねさせている簀巻きの男が転がっている事に目を疑い、二度、三度と目を擦って見間違いじゃないかと確認していると、そっと後ろから両肩に手を置かれて、顎まで置かれて簀巻き男の素性を知らされる。
この人の前に俺が着いていたら・・・と考えると、さぁっ、と血の気が引いた。
カタ・・・と震える体をなんとか押し殺しつつ「じゃあ、あんたは一体何なんだ」と呟いた。
「私ですか?そうですねぇ・・・服、取ってくれませんか?あぁ、そこの簀巻き男が邪魔なら、外に転がしておきましょうか」
すんなりと俺から離れると、簀巻き男を難なく担ぎ、外へと放り出した。ドフッという音と共に「ぐえっ」と蛙が潰された様な声がした。
いくら賞金首だからと言って、その扱いは・・・と凶悪犯だが少しだけ気の毒に思った。
俺はなんでだか素直に天幕の中に入る。が、少し饐えた臭いが中に立ち込めていて、それに顔を顰めると、確かここに・・・と膝立ちのまま天幕に似合わないスイッチを探して、起動させた。
が、うんともすんとも言わない事に首を傾げた。後ろにいる全裸の美人も同じ様に首を傾げた気配がした。
「あぁ、魔石が無いのか・・・このままは・・・やだな」
そう呟いて、俺は自分の腕に掛かる腕輪を一本、腕から抜き取ると、嵌め込まれていた石を外し天幕のスイッチの上にある空間に石を嵌め込んだ。
腕輪は魔導具で、装着者限定だが身体の表面を洗浄してくれる、旅には欠かせない便利道具の一つだった。
起動には魔導具を動かす魔力って云うものが含んだ魔石と呼ばれる鉱物が必要だが、魔石を欠かさなければ、ある程度のメンテナンスは必要だけど、魔導具自体は半永久的に使えるから多少奮発してこの魔導具を買った事に後悔はない。(旅の商人に餞別だと3割引きで売ってもらったんだが、それでも結構高かった)
魔石、魔水晶、魔宝石と大きさと輝きで含まれている魔力の量で名前が変わり、価格もそれぞれ違う。総称して魔鉱石とも呼ばれるが、まぁそれは、今は良いだろう。
魔鉱石の中でも、一番安い魔石ぐらいしか俺には手が出せないが、この魔石だってそれなりの価値だ。
魔石をきちんと嵌め込んだことを確認してスイッチを押した。
ぶぅぅうん・・・という低い音が響いた後に天幕の中に広がる饐えた臭いは綺麗さっぱり無くなり、あちこちに散らばった触りたくもない汚れも見えなくなった。
この天幕のおすすめポイント!と商人が推していた機能を目の当たりにして、思わず感嘆の声が漏れる。魔石程度の力で、中にある荷物と中に人が居れば、その人物の衣服の汚れも浄化されるのだ。かなりの技術を要しているんだろう。
嵌め込んだ魔石を取り外し、再び自分の腕輪に嵌め込むと、やっと俺は天幕の中を物色する。
暫くして、この全裸美人の黒い服らしきものを天幕の中で見付けて、それを広げた。
「・・・キャソック?あんた、神父様なのか?」
「司祭、ね。今は布教活動中で、色々旅をしているんです。はは、ありがとうございます。中は臭いし、服もドロドロでどうしようかと思っていたんですけど、ラッキーだったな」
「・・・あんた、いい性格してるな」
「よく、言われるよ」
どうやら、この惨状に俺が音を上げて服の1枚でも恵んで貰うつもりだった様で、俺が天幕の機能を起動させた事でそれも必要が無くなったと悪びれずに言いのける美人の司祭に俺はため息を吐いた。
どさ・・・
「ん?」
何故か俺は押し倒され、天幕の天井を美人司祭を経由して見る事になっていた。
「親切な、盗み聞きしてた旅人さんに、俺からお礼をしたいんだが・・・」
「いや、結構です!俺、せめて初めては少しでも好きになった人が良いので!」
「・・・ふはっ!ははっ!そんなにはっきりと断られるなんて初めてだ!」
ダダ漏れだった色気が音を立てるように鳴りを潜めて、俺を押し倒していた美人司祭は声を上げて笑う。
初めてか。なんていうか、分かる気がする。この声に、この顔、んで、この身体で迫ればどんな人間もフラフラと誘われるままに身体を開きそうだ。
そんな事を考えていれば、グイと腕を引かれて上体を起き上がらせられた。
目の前によいせと座り込む、シーツを纏った半裸の美人司祭に俺は「ちゃんと服着てくんね?」と頼めば、身に纏わせていたシーツを脱ぎ捨ててキャソックを手慣れた手付きで着込み始める。
目の前で着替えるの止めてくれって言う前に着替えられたので、動く度に揺れるイチモツを見ない様にするのが大変だったのは秘密だ。つうか、何で上から着るんだよ、下から履けよ。
改めて俺の目の前に座り込んだ美人司祭は握手の為に手を差し出してきた。
その手をなんの気無しに握り返せば、美人司祭はまた嬉しそうに笑う。
「俺はトゥマエレ。サマリティシア教の司祭だ。一応、布教と言う事であちこち周ってる」
「俺はルーカ。この先の2、3日歩いた先の村から、そのサマリティシア教を国教にしてるルベルバック王国を目指して旅してる」
「なに、改宗?」
「そんな大したもんじゃないさ。村では俺は異常者だ。だから村を出て、俺が俺として生きられる場所を見つけたいんだ」
「そうか・・・ルベルバック王国はまだ俺も行ったことはないが、その同盟国には何度か行った事がある。あんた、ルーカが受けていた様な偏見は一切無い、いい国だよ。・・・きっとルベルバック王国もな」
「そうか、そうだと良いな・・・あんたは、俺みたいな奴を助けて回ってるのか?」
「ははっ、それこそそんな大したものじゃないさ。俺は俺が行きたい所へ行って、俺がしたい様にするだけだ」
+++++++
自己紹介から、自然と話が弾み、気付けば大分夜も遅い時間になっていた。
ぐぅ・・・と腹の音がなり、思わず腹をさする。
「お?夕食の時間はとっくに過ぎてしまったな」
「はは、つい話に夢中になってしまった。これから先に少し不安があったんだが、あんたのお陰でそれが大分軽くなった。本当にありがとう」
今度は俺から握手を求めて手を差し出す。
と、美人司祭、トゥマエレが握り返してくれた。
ぐい
「ん?・・・んぇ?んぐっ!」
手を引っ張られ体制を崩したところに顎を掬われてキスをされた。
グワッと近くなったトゥマエレの顔にドギマギする間もなく、舌が割って入り口の中に熱く弾力のあるものが俺の舌に絡んで擦り合わせられる。
ピチャ・・・チュプ、ジュルっという音が耳の奥で響いた。
ジュルと言う音と共に舌が強く吸い上げられて思わず声が漏れて、軽く舌先に歯を立てられてからやっとトゥマエレが離れた。
「あに、すんらよ・・・、口まわんね」
「良いね、スゴく良い反応。はは、俺のこの顔とか声に惑わされない人間ってなかなか居なくてさ、なんつか、凄い嬉しかったんだ」
「そーかよ・・・だからって、いきなりするもんじゃなくね?」
「ま、餞別だとでも思ってくれよ」
餞別って・・・と力無く笑い、俺は立ち上がろうと足に力を入れるが、入らずにペタリと尻もちをついた。
「腰抜けた・・・くそぅ。って、触んなっこらっ!」
「結構、いい硬さと大きさ持ってんな。なぁ、飯食ったら、その後やんねぇか?」
散々口の中を暴れまわられたキスで俺のチンコは随分と元気になっていて、これじゃあ飯どころじゃないと、自分の天幕に戻って抜くつもりが、トゥマエレの手がヌッと伸びてきたと思ったらズボンの上から握られた。
「始めたら、俺長いからさ。飯食う時間ぐらいは考える暇やるよ」
「バカ言え、お、俺は初めに言った通り、少しでも好きな奴とやりてぇの!童貞処女なめんなよ!」
「なんだ、初めてか?ふぅん・・・俺、上手いよ?」
「おまっ、その目やめろ!」
トゥマエレがまるで捕食者の様に舌舐めずりをして見てくるのを、悪態をつきながらも俺は足をガクガクさせつつ視線から逃れて何とか自分の天幕へと戻ると一呼吸ついた。
いや、危なかった。マジでっ!危なかった。
このまま行きずりでも良いんじゃないかな?って思ってしまった。
色々と情報を漁っていた俺は、初めは男でも痛いし苦しいと聞いた事がある。それが、あのトゥマエレの手に依ったら痛いのも苦しいのも無いんじゃないかと勘違いしてしまいそうだった。
初めてでも気持ち良くなりたいのは、世界共通じゃないかな。と思う俺は悪くないはずだ。
未だにジンジンと欲を主張するチンコを服の上から擦り、どうしたもんかと悩む。
ぐう、くぅ~
「色気より食い気だな・・・食欲ってのは偉大だ」
悩んでいる先に腹が飯を所望してきた。
なら、飯を食うべきだ。と天幕内に置いておいたバッグを漁り、携帯食を取り出した。
大して美味くもなければ、不味い訳でもない可も不可もない携帯食の味を堪能しつつ、ふと考えた。
あの、天幕に飯らしい飯も、服以外の荷物も無かった気がするんだが・・・トゥマエレはどうするつもりだ?と考え出したら、気になって飯どころではなくなってしまった。
食いかけを手早く口に入れると、足早に天幕から出る。
長い事気絶しているロープに簀巻きの強姦犯を横目に、火の勢いが失われつつある焚き火に薪を放り入れてトゥマエレが居るだろう天幕に声を掛けた。
「なぁ、あんた。飯どうすんだ?・・・トゥマエレ?」
「ん?なんだ?やる気になったのか?」
「おぅわっ!!ちっ、違ぇよ!つか、何で後ろから声掛けてくるんだよっ!?って、何だそれ?」
返事が無く、中にいる気配も無い天幕を訝しげに見ていたら、後ろから声が掛かった。
吃驚して振り返れば、トゥマエレがキャソック姿で司祭にしては無骨な造りの両手剣を片手に持ち、もう片方の手には一角兎がぶら下げられていた。
「この暗い中で狩ってきたのか!?」
「ああ、飯の調達は馴れてるんだ。暗いか?満月ではないが、充分明るいさ」
「馴れてるっていうもんじゃないだろ・・・それに、その剣。あんた、本当に司祭か?」
トゥマエレは夜の狩りなんて難しくも無いと、事も無げに言いながら、焚き火と月の明かりを頼りに手早く一角兎を捌いていっている。
焚き火に放り込んだ魔獣除けの丸薬は燃え尽きていた様で、独特な臭いの煙は立ち昇っていなかった。
捌いた肉を串にした細い枝に刺して焚き火の近くに突き立て炙るとトゥマエレは、掛けた俺の疑問に視線だけ一瞬寄越すとまた視線を肉に戻し「正しくは、ノラ司祭な。元は傭兵だったんだ」とだけ答えた。
ノラ司祭とか、元傭兵とかよりも、炙っているだけで、塩のひとつも振る様子が見られないトゥマエレが気になり、「まさかそのまま齧り付くんじゃないだろな?」と聞けば「それの何が悪いのか?」と返されて俺は慌てて自分の天幕に走った。
「あんた、長い事そういうのやってるからか味覚が麻痺してんのか!?塩胡椒ぐらい持ち歩いとけよ!」
「あ?くれるのか?塩に胡椒なんて貴重だろ」
「これから先、俺よりあんたの方が旅は長いだろ?やるよ、餞別だ」
本来、餞別とはこういうものだ。と俺はトゥマエレに塩と胡椒が入った袋を渡した。
小さく驚きつつも嬉しそうに受け取ったトゥマエレはパラパラと肉に振りかけていくと、何とも美味そうな匂いが漂ってくる。
「食うか?」との誘いに俺は焚火を挟んだ対面に黙って座り込むと、トゥマエレは口端をクッと上げて焼あがった肉を串ごと渡してきた。
夜の帳が落ち、すっかりと人の通りも無くなり、旅のシーズンでもなく、狩りのシーズンからも離れている今はここに天幕を張る者も少なかった。
俺がここに着いた頃には一つだけ天幕があり、その前には今にも消えそうな焚き火があって、俺は慌ててそこへ近寄ると、近くに置いてあった薪を焼べる。
消え掛けていた焚き火がまたパチパチと音を立てて燃え始めた頃、静かな林道に似合わない声が聞こえてきた。
――んぁっ・・・っおほぉっ♡・・・も、ヤベ、でぇ・・・っ
焚き火の背後、俺からは正面の一つだけ張られた天幕の中からだろうか・・・喘ぎ声?の様なものが漏れ聞こえてきた事に俺は眉を顰めた。
「・・・なんだよ、こんな時間に、こんな所でおっぱじめていたのかよ」
夜と言ってもまだ夕食時間にも早い時間に聞こえてくるモノに悪態をついた。
よく耳を済ませれば、天幕の中からパンパンと肉がぶつかる音と、男の野太い喘ぎが聞こえてくる。
ぐちゅぐちゅと淫猥な水音が、小さな叫びの様な喘ぎ声の合間に聞こえてくる。
「ちょっと待て・・・、あの天幕、魔導具だよな?」
出入口さえきちんと閉めれば、外からの音は拾っても中の音は漏らさないっていう優れものだと教えられた事がある。
生憎、自分には一生手が届かない代物ではあるが、村に来た旅の商人にどうですか?と現物をまざまざと見せ付けられた事が有り、泣く泣く諦めたものだったのでよく覚えていた。
焚き火と月明かりだけでは見えにくいが、よくよく見ると天幕の出入り口が一辺だけ閉じられていなかった。
そこからチラチラと中から光が漏れ、人影が見えるし、音までが漏れていた。
「おいおいおいおい・・・、閉め忘れか?それとも・・・」
見せつけたいのか?と思わず興味本位で天幕へと忍び足で近づいていく。
漏れる音も声も俺が近付くにつれ、はっきりと聞こえてくるようになった。
容赦なく叩きつけるような、肌がぶつかり合う音。ジュブジュブグチャグチャと肉壷をかき混ぜる淫猥な水音に、男の喘ぎ声が絶え間なく聞こえてくる。
「あ゛あ゛あ゛っ!だべぇっ・・・もっ、苦じっい゛っ、取っでぇっ!ごれぇ゛っ・・・どっでぇっ!」
「要らないだろ、そんなもの。ケツで充分善がれるんだ。・・・ほら、極太チンポ、ケツに突っ込まれて、メスイキしろよっ」
汚い男の喘ぎまみれの後に聞こえた男の声が耳に届いた途端、ざわりと毛が逆立った。
ひどい、美声だ。
美声にひどいとは相反するものだが、そう思えたのだから仕方がないだろう。
聞いただけで腰砕けになるような、崇拝したくなるような声が濁声の男の喘ぎ声に混じって聞こえてくる。
「はっ・・・、お前、俺を襲うのに気が流行って閉め忘れただろ・・・外の奴が聞いてるぞ?」
「あ゛っ!やっ、ヤベテェ・・・ぎぐな、ぁっ!」
聞いているのがバレて、ヤバいと思ったが、両足が絡め取られたかのようにピクリとも動かなかった。いや、動きたくなかった。が正解かもしれない。
「聞かせてやれよ。親切な面を被って騙して天幕に引き込んだ奴をレイプするどころか、逆に汚ねぇケツに極太チンポ突っ込まれて、アンアン汚ねぇ喘ぎ声で善がってる様をよぉ」
「ふぐぅぅぅーーーーっ、んあ゛っ、そこらめぇっ♡」
「なに、口塞いでんだ。てめぇ自身が言ったんだろうが、この天幕ではいくらでも鳴けってよぉ・・・、善いトコロ掠めたか?じゃあ、外で聞いてる奴にサービスしてやんねぇとなぁっ」
「おほぉっ♡・・・やっ♡らめっ、そこっらめぇぇええっ♡こ、こ、ごれぇっ取っでぇっ」
「取って取って、うるせぇなぁ・・・。根本がっちり縛られてもアンアンイクイクつって、2回もメスイキしときながら嫌だなんて説得力なんかあったもんじゃねぇよなぁ?おら、奥ガンガン突いてやるから、遠慮なくイケよ?」
益々、ぶつかり合う音と水音が辺りに響きだす。
出したい、出させて、お願いします。と懇願するのを無視したまま続けられる行為に、ゾッとした。
だが・・・俺の股間はしっかりと熱を持ち、確りと固くなっていた。
淫靡な空気、汚い男の喘ぎ声、肉をかき混ぜる様な水音に、耳が犯されて中を覗き見てもいないのに、いや、見ていない所為で更に想像力が掻き立てられた。
・・・ずっと思ってきた『男に抱かれたい』という自分の欲を、こうもありありと見せつけられた様な気がした。
「・・・はっ、やっぱりあの村から離れて正解だったんだ」
俺の村は、性交対象は同一種族の異性と決められていた。
が、俺はどうしても異性を、女をそういう対象に見られず、友人や恩師などの同性が性欲の対象だった。
周りが異性を好きになり、性交をしていく中、俺一人置いていかれると、周りが俺を奇異の目で見るようになってきた。
友人も離れ、両親も俺が何処かおかしいんじゃないかと嘆き悲しみ・・・俺自身も死のうと実行に移しかけた時さえあった。
そこにやってきた旅の商人が、俺の話を聞いて、サマリティシア教を国教とする、ルベルバック王国とその周辺国は性別種族、年齢だって関係なく夫婦になるのだと教えてくれた。
一度死のうと思った身だ。死んだつもりで村を出て、今までの関係を断ち切り、サマリティシア教が布教されている国へ行こうと決意して、旅立った矢先の出来事が・・・
「いぐぅっ♡いぐぅっぅぅぅうう♡ケツマン、ゴリゴリさりぇでぇっ!メスイキずるぅぅぅうううっ♡」
これだった・・・。
いや、抱かれたいとは言っても、こんな無様なのは勘弁したい。
こちとら全てが初めてなのだ。・・・いや、キスぐらいは村で経験した。が、違和感しかなく、逃げてしまったが・・・。夢見る童貞処女だ。少しぐらいは思い出に残るような夜にしたい。これもまた、ある意味夢に見そうではあるけれど・・・。
男が叫ぶ様に絶頂を伝えた後、パタリと音が止み、中から大きく呼吸する音と、ため息と共にずるるっとナニかが引き抜かれた音がして、俺は慌てて天幕から離れた。
止められていた足はすんなりと動き、そこから離れられた俺は、慌てた手付きで自分の天幕を張り終えてからその事に気付いた。
チラチラと件の天幕を見ながら、出てくる気配は無いかと探りつつ、焚火にもう一度薪を焼べて、切れかけていた魔物除けの丸薬を放り入れてから自分の天幕へと入った。
「ふぅーーーー・・・凄いもん、聞いた・・・」
自分の1人用の天幕の中央に胡座をかいて、まだ熱が冷めない股間に手のひらを当てた。
が、ここでするつもりはない。いくら離れたところに張ったと言ってもこちらの天幕は魔導具なんかではないのだから、外にいくらでも声が漏れる可能性がある。こう、静かに声を殺しても出来るが・・・何というか、扱いている音さえ漏れ聞こえるんじゃないかと思い、ただ興奮が冷めるのを待った。
「あの、もし・・・宜しいですか?」
「ふぉわっ!は、はいぃぃい!」
「良かった、まだ起きてらしたんですね」
自分の股間事情に集中していた所為で、近付く人の足音すら聞き逃していた事により、突然天幕の外から声を掛けられて驚き、声を上げてしまった。
しまった。と思った時にはもう遅く、こちらが起きている事は向こうには明白で、今更取り繕った様に寝たふりをしても仕方が無い為、覚悟を決めて天幕の出入り口を開けた。
目の前に現れたのは月の明かりに照らされた女神の様な人だった。
声で、あの天幕の中で相手を攻め苛んでいた男だと解ってはいたが、まさかこんな姿だったとは思いもしなかった。
一瞬息を飲み、自分が何処にいるのかさえ分らなくなりそうになり、目が泳ぐ・・・
ん?
「ふっ、服を着てくださいっ!」
「え?あぁ、そういえば忘れてました。暑かったのもので・・・」
女神の様な容貌をしておきながら、しっかりと筋肉の付いた身体に、・・・中々、村では御目にかかれない程の立派なモノがぶら下がっていた。
一枚のシーツの様な物を羽織っただけで天幕の外に出るなんて!と俺は目の前の人の行動が信じられず、この人の容姿の衝撃など何処かへ飛んで行ってしまった。
目の前のシーツだけを肩にかけた状態の人に「何か着るものはないんですか?」と声を掛けながら、件の天幕へと駆け寄り中を見たら、ぐるぐるとロープで簀巻きにされて目隠しに口まで封じられた筋肉質の中年男が転がされていた。
下半身は残念なことに外に晒されていて、チンコはギンギンに反り返ったまま、根元を縛られたままでパッと見た限りではどす黒い色をしていた・・・腐り落ちて捥げないか心配になるレベルだった。
「え?・・・え?・・・、・・・ぇえっ!?」
「その男、ここ界隈で老若男女の区別無くこの休憩地に来た一人の旅人をレイプして殺して持ち物を奪うという、強姦強盗殺人で手配されている賞金首だったんですよね」
「・・・え?」
「良かったですね?俺が先に来ていて。確実に貴方、レイプされてましたよ?」
天幕の中にいる、顔が半分隠れてはいるが、どう見てもアヘ顔でビクンビクンと体を跳ねさせている簀巻きの男が転がっている事に目を疑い、二度、三度と目を擦って見間違いじゃないかと確認していると、そっと後ろから両肩に手を置かれて、顎まで置かれて簀巻き男の素性を知らされる。
この人の前に俺が着いていたら・・・と考えると、さぁっ、と血の気が引いた。
カタ・・・と震える体をなんとか押し殺しつつ「じゃあ、あんたは一体何なんだ」と呟いた。
「私ですか?そうですねぇ・・・服、取ってくれませんか?あぁ、そこの簀巻き男が邪魔なら、外に転がしておきましょうか」
すんなりと俺から離れると、簀巻き男を難なく担ぎ、外へと放り出した。ドフッという音と共に「ぐえっ」と蛙が潰された様な声がした。
いくら賞金首だからと言って、その扱いは・・・と凶悪犯だが少しだけ気の毒に思った。
俺はなんでだか素直に天幕の中に入る。が、少し饐えた臭いが中に立ち込めていて、それに顔を顰めると、確かここに・・・と膝立ちのまま天幕に似合わないスイッチを探して、起動させた。
が、うんともすんとも言わない事に首を傾げた。後ろにいる全裸の美人も同じ様に首を傾げた気配がした。
「あぁ、魔石が無いのか・・・このままは・・・やだな」
そう呟いて、俺は自分の腕に掛かる腕輪を一本、腕から抜き取ると、嵌め込まれていた石を外し天幕のスイッチの上にある空間に石を嵌め込んだ。
腕輪は魔導具で、装着者限定だが身体の表面を洗浄してくれる、旅には欠かせない便利道具の一つだった。
起動には魔導具を動かす魔力って云うものが含んだ魔石と呼ばれる鉱物が必要だが、魔石を欠かさなければ、ある程度のメンテナンスは必要だけど、魔導具自体は半永久的に使えるから多少奮発してこの魔導具を買った事に後悔はない。(旅の商人に餞別だと3割引きで売ってもらったんだが、それでも結構高かった)
魔石、魔水晶、魔宝石と大きさと輝きで含まれている魔力の量で名前が変わり、価格もそれぞれ違う。総称して魔鉱石とも呼ばれるが、まぁそれは、今は良いだろう。
魔鉱石の中でも、一番安い魔石ぐらいしか俺には手が出せないが、この魔石だってそれなりの価値だ。
魔石をきちんと嵌め込んだことを確認してスイッチを押した。
ぶぅぅうん・・・という低い音が響いた後に天幕の中に広がる饐えた臭いは綺麗さっぱり無くなり、あちこちに散らばった触りたくもない汚れも見えなくなった。
この天幕のおすすめポイント!と商人が推していた機能を目の当たりにして、思わず感嘆の声が漏れる。魔石程度の力で、中にある荷物と中に人が居れば、その人物の衣服の汚れも浄化されるのだ。かなりの技術を要しているんだろう。
嵌め込んだ魔石を取り外し、再び自分の腕輪に嵌め込むと、やっと俺は天幕の中を物色する。
暫くして、この全裸美人の黒い服らしきものを天幕の中で見付けて、それを広げた。
「・・・キャソック?あんた、神父様なのか?」
「司祭、ね。今は布教活動中で、色々旅をしているんです。はは、ありがとうございます。中は臭いし、服もドロドロでどうしようかと思っていたんですけど、ラッキーだったな」
「・・・あんた、いい性格してるな」
「よく、言われるよ」
どうやら、この惨状に俺が音を上げて服の1枚でも恵んで貰うつもりだった様で、俺が天幕の機能を起動させた事でそれも必要が無くなったと悪びれずに言いのける美人の司祭に俺はため息を吐いた。
どさ・・・
「ん?」
何故か俺は押し倒され、天幕の天井を美人司祭を経由して見る事になっていた。
「親切な、盗み聞きしてた旅人さんに、俺からお礼をしたいんだが・・・」
「いや、結構です!俺、せめて初めては少しでも好きになった人が良いので!」
「・・・ふはっ!ははっ!そんなにはっきりと断られるなんて初めてだ!」
ダダ漏れだった色気が音を立てるように鳴りを潜めて、俺を押し倒していた美人司祭は声を上げて笑う。
初めてか。なんていうか、分かる気がする。この声に、この顔、んで、この身体で迫ればどんな人間もフラフラと誘われるままに身体を開きそうだ。
そんな事を考えていれば、グイと腕を引かれて上体を起き上がらせられた。
目の前によいせと座り込む、シーツを纏った半裸の美人司祭に俺は「ちゃんと服着てくんね?」と頼めば、身に纏わせていたシーツを脱ぎ捨ててキャソックを手慣れた手付きで着込み始める。
目の前で着替えるの止めてくれって言う前に着替えられたので、動く度に揺れるイチモツを見ない様にするのが大変だったのは秘密だ。つうか、何で上から着るんだよ、下から履けよ。
改めて俺の目の前に座り込んだ美人司祭は握手の為に手を差し出してきた。
その手をなんの気無しに握り返せば、美人司祭はまた嬉しそうに笑う。
「俺はトゥマエレ。サマリティシア教の司祭だ。一応、布教と言う事であちこち周ってる」
「俺はルーカ。この先の2、3日歩いた先の村から、そのサマリティシア教を国教にしてるルベルバック王国を目指して旅してる」
「なに、改宗?」
「そんな大したもんじゃないさ。村では俺は異常者だ。だから村を出て、俺が俺として生きられる場所を見つけたいんだ」
「そうか・・・ルベルバック王国はまだ俺も行ったことはないが、その同盟国には何度か行った事がある。あんた、ルーカが受けていた様な偏見は一切無い、いい国だよ。・・・きっとルベルバック王国もな」
「そうか、そうだと良いな・・・あんたは、俺みたいな奴を助けて回ってるのか?」
「ははっ、それこそそんな大したものじゃないさ。俺は俺が行きたい所へ行って、俺がしたい様にするだけだ」
+++++++
自己紹介から、自然と話が弾み、気付けば大分夜も遅い時間になっていた。
ぐぅ・・・と腹の音がなり、思わず腹をさする。
「お?夕食の時間はとっくに過ぎてしまったな」
「はは、つい話に夢中になってしまった。これから先に少し不安があったんだが、あんたのお陰でそれが大分軽くなった。本当にありがとう」
今度は俺から握手を求めて手を差し出す。
と、美人司祭、トゥマエレが握り返してくれた。
ぐい
「ん?・・・んぇ?んぐっ!」
手を引っ張られ体制を崩したところに顎を掬われてキスをされた。
グワッと近くなったトゥマエレの顔にドギマギする間もなく、舌が割って入り口の中に熱く弾力のあるものが俺の舌に絡んで擦り合わせられる。
ピチャ・・・チュプ、ジュルっという音が耳の奥で響いた。
ジュルと言う音と共に舌が強く吸い上げられて思わず声が漏れて、軽く舌先に歯を立てられてからやっとトゥマエレが離れた。
「あに、すんらよ・・・、口まわんね」
「良いね、スゴく良い反応。はは、俺のこの顔とか声に惑わされない人間ってなかなか居なくてさ、なんつか、凄い嬉しかったんだ」
「そーかよ・・・だからって、いきなりするもんじゃなくね?」
「ま、餞別だとでも思ってくれよ」
餞別って・・・と力無く笑い、俺は立ち上がろうと足に力を入れるが、入らずにペタリと尻もちをついた。
「腰抜けた・・・くそぅ。って、触んなっこらっ!」
「結構、いい硬さと大きさ持ってんな。なぁ、飯食ったら、その後やんねぇか?」
散々口の中を暴れまわられたキスで俺のチンコは随分と元気になっていて、これじゃあ飯どころじゃないと、自分の天幕に戻って抜くつもりが、トゥマエレの手がヌッと伸びてきたと思ったらズボンの上から握られた。
「始めたら、俺長いからさ。飯食う時間ぐらいは考える暇やるよ」
「バカ言え、お、俺は初めに言った通り、少しでも好きな奴とやりてぇの!童貞処女なめんなよ!」
「なんだ、初めてか?ふぅん・・・俺、上手いよ?」
「おまっ、その目やめろ!」
トゥマエレがまるで捕食者の様に舌舐めずりをして見てくるのを、悪態をつきながらも俺は足をガクガクさせつつ視線から逃れて何とか自分の天幕へと戻ると一呼吸ついた。
いや、危なかった。マジでっ!危なかった。
このまま行きずりでも良いんじゃないかな?って思ってしまった。
色々と情報を漁っていた俺は、初めは男でも痛いし苦しいと聞いた事がある。それが、あのトゥマエレの手に依ったら痛いのも苦しいのも無いんじゃないかと勘違いしてしまいそうだった。
初めてでも気持ち良くなりたいのは、世界共通じゃないかな。と思う俺は悪くないはずだ。
未だにジンジンと欲を主張するチンコを服の上から擦り、どうしたもんかと悩む。
ぐう、くぅ~
「色気より食い気だな・・・食欲ってのは偉大だ」
悩んでいる先に腹が飯を所望してきた。
なら、飯を食うべきだ。と天幕内に置いておいたバッグを漁り、携帯食を取り出した。
大して美味くもなければ、不味い訳でもない可も不可もない携帯食の味を堪能しつつ、ふと考えた。
あの、天幕に飯らしい飯も、服以外の荷物も無かった気がするんだが・・・トゥマエレはどうするつもりだ?と考え出したら、気になって飯どころではなくなってしまった。
食いかけを手早く口に入れると、足早に天幕から出る。
長い事気絶しているロープに簀巻きの強姦犯を横目に、火の勢いが失われつつある焚き火に薪を放り入れてトゥマエレが居るだろう天幕に声を掛けた。
「なぁ、あんた。飯どうすんだ?・・・トゥマエレ?」
「ん?なんだ?やる気になったのか?」
「おぅわっ!!ちっ、違ぇよ!つか、何で後ろから声掛けてくるんだよっ!?って、何だそれ?」
返事が無く、中にいる気配も無い天幕を訝しげに見ていたら、後ろから声が掛かった。
吃驚して振り返れば、トゥマエレがキャソック姿で司祭にしては無骨な造りの両手剣を片手に持ち、もう片方の手には一角兎がぶら下げられていた。
「この暗い中で狩ってきたのか!?」
「ああ、飯の調達は馴れてるんだ。暗いか?満月ではないが、充分明るいさ」
「馴れてるっていうもんじゃないだろ・・・それに、その剣。あんた、本当に司祭か?」
トゥマエレは夜の狩りなんて難しくも無いと、事も無げに言いながら、焚き火と月の明かりを頼りに手早く一角兎を捌いていっている。
焚き火に放り込んだ魔獣除けの丸薬は燃え尽きていた様で、独特な臭いの煙は立ち昇っていなかった。
捌いた肉を串にした細い枝に刺して焚き火の近くに突き立て炙るとトゥマエレは、掛けた俺の疑問に視線だけ一瞬寄越すとまた視線を肉に戻し「正しくは、ノラ司祭な。元は傭兵だったんだ」とだけ答えた。
ノラ司祭とか、元傭兵とかよりも、炙っているだけで、塩のひとつも振る様子が見られないトゥマエレが気になり、「まさかそのまま齧り付くんじゃないだろな?」と聞けば「それの何が悪いのか?」と返されて俺は慌てて自分の天幕に走った。
「あんた、長い事そういうのやってるからか味覚が麻痺してんのか!?塩胡椒ぐらい持ち歩いとけよ!」
「あ?くれるのか?塩に胡椒なんて貴重だろ」
「これから先、俺よりあんたの方が旅は長いだろ?やるよ、餞別だ」
本来、餞別とはこういうものだ。と俺はトゥマエレに塩と胡椒が入った袋を渡した。
小さく驚きつつも嬉しそうに受け取ったトゥマエレはパラパラと肉に振りかけていくと、何とも美味そうな匂いが漂ってくる。
「食うか?」との誘いに俺は焚火を挟んだ対面に黙って座り込むと、トゥマエレは口端をクッと上げて焼あがった肉を串ごと渡してきた。
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