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第10話
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ケイは、誰よりも早く教室に来ている――以前同期たちからそんなことを聞いたことを思い出した俺は、朝の魔界を全速力で駆けていた。
結局昨日は全然眠れなかった。緊張、わくわく、ドキドキ、そんな感情が入り混じって1つになっている。今日の研修が終わるのを待てない。朝一番に、誰よりも早くケイに会って、伝えたい。そう思いながら研修センターの門をくぐる。
いつもは賑やかな声に包まれているこの建物も、今は静かに朝の清々しさをまとっていた。肺の空気を入れ替えるかのように大きく深呼吸をすると、自分たちの教室に向かって歩き出す。さすがに早すぎるな、ケイが来るまで何をしていようか。そんなことを思いながらドアを開けると、そこに居たのは誰よりも愛おしい天使だった。
「レオ……!? いつも講義ギリギリに来るだろ。どうしてこんな朝早くに……」
読書をしていたのか、本を手にしたケイが1人窓辺で佇んでいる。朝日に照らされて銀色の髪も、白い翼も、キラキラと輝いていた。
やっぱり、ケイが好きだ。ケイじゃなくちゃ。そう思い、まっすぐケイの目の前に向かうと、その澄んだ青空のような瞳を真正面から見つめた。
「ケイ」
「……なんだ」
どくんどくんと自分の心臓が音を立てているのがわかる。言うんだ、言える、大丈夫だ、言葉にしろ。そう思いながら喉が震えるのも気にせず息を吸った。
「……好きだ。ケイが大好き。ケイだけが、俺の特別」
1つ1つ、噛みしめるようにゆっくり言葉にする。水色の瞳は大きく開かれ、俺をじっと見つめている。その瞳に自分が映り込むくらい、グッとケイに近付いた。
「ケイは、俺のことどう思ってる?」
瞳が揺れて、そして逸らされる。その視線を追い掛けるように身体を移動させると、また視線が逸れた。
「やめてくれ」
「おい、そっぽ向いてないで何とか言え!」
もう逃がさないとケイの頬に手を添えると、いつものひんやりとした体温とは異なり、熱く火照っている。耳まで赤くしたケイが言葉を紡ぐのを待ち構えた。
「手紙で……書いてもいいか……」
「嫌だ。今ここで、ケイの口から聞きたい」
俯いていたケイが、観念したかのように顔を上げる。少しだけ潤んだその瞳はまっすぐに俺を捉えていた。
「……レオを、誰よりも愛している」
真っ赤な顔をしてぽつりと呟くケイの言葉で、血が沸騰するかのように身体が熱くなる。こいつ、もしかして、俺のこと相当好きなんじゃないか? ――そう直感が告げると動揺して言葉が出ず、パクパクと口を動かすしかない。緊張の糸が解けたかのようにケイがふっと笑みを漏らす。
「だから、手紙で書いたほうがいいんじゃないかと言ったのに」
「うるさい! ……うるさい!」
「レオ、好きだ」
ぎゅっと背中にケイの腕が回される。これまで何度もケイと抱き締め合ってきたけど、それとは全く違ったぬくもりに包み込まれたようだった。こちらもそっと腕を回してその愛おしい体温を嚙み締める。
「お前って、そういうタイプだったんだな」
ケイから素直に与えられる愛情が、すとんと胸の内に落ちていく。言葉も、力強く抱き締める腕も、絶え間なく俺への愛を伝えているようだった。
「そういうタイプって、なんだ?」
「……何でもない」
こちらもケイの背中に回した腕に力を込める。ケイだからこそ、俺の求めていたパーツがぴたりと当てはまる。そんな幸福感を抱きながら耳元でぽつりと呟いた。
「俺たち、今日から恋人でいいんだよな?」
「あぁ」
「……じゃあペア兼恋人ってことで、よろしく」
もじもじと言葉を紡ぐと、ケイが楽しそうに笑い出す。
「なんだよ!」
「いや、何でも。……レオ、こちらこそ、よろしく」
抱き締められたまま、どちらからともなく唇が重なる。初めての恋人としての口付けは、これまでのどんなキスとも違っていた。そっと瞼を閉じ、その甘さに酔いしれる。ケイを視線が重なるとその瞳がとびきり優しくて、心臓がどくんと音を立てる。あぁ、好きだ。ケイが好きだ。
ペアとして研修での実績を積み重ねてきた俺たちが、今日からは恋人としての第一歩を踏み出す――そう実感しながら、誰も居ない教室の中で静かに体温と喜びを分かち合っていた。
結局昨日は全然眠れなかった。緊張、わくわく、ドキドキ、そんな感情が入り混じって1つになっている。今日の研修が終わるのを待てない。朝一番に、誰よりも早くケイに会って、伝えたい。そう思いながら研修センターの門をくぐる。
いつもは賑やかな声に包まれているこの建物も、今は静かに朝の清々しさをまとっていた。肺の空気を入れ替えるかのように大きく深呼吸をすると、自分たちの教室に向かって歩き出す。さすがに早すぎるな、ケイが来るまで何をしていようか。そんなことを思いながらドアを開けると、そこに居たのは誰よりも愛おしい天使だった。
「レオ……!? いつも講義ギリギリに来るだろ。どうしてこんな朝早くに……」
読書をしていたのか、本を手にしたケイが1人窓辺で佇んでいる。朝日に照らされて銀色の髪も、白い翼も、キラキラと輝いていた。
やっぱり、ケイが好きだ。ケイじゃなくちゃ。そう思い、まっすぐケイの目の前に向かうと、その澄んだ青空のような瞳を真正面から見つめた。
「ケイ」
「……なんだ」
どくんどくんと自分の心臓が音を立てているのがわかる。言うんだ、言える、大丈夫だ、言葉にしろ。そう思いながら喉が震えるのも気にせず息を吸った。
「……好きだ。ケイが大好き。ケイだけが、俺の特別」
1つ1つ、噛みしめるようにゆっくり言葉にする。水色の瞳は大きく開かれ、俺をじっと見つめている。その瞳に自分が映り込むくらい、グッとケイに近付いた。
「ケイは、俺のことどう思ってる?」
瞳が揺れて、そして逸らされる。その視線を追い掛けるように身体を移動させると、また視線が逸れた。
「やめてくれ」
「おい、そっぽ向いてないで何とか言え!」
もう逃がさないとケイの頬に手を添えると、いつものひんやりとした体温とは異なり、熱く火照っている。耳まで赤くしたケイが言葉を紡ぐのを待ち構えた。
「手紙で……書いてもいいか……」
「嫌だ。今ここで、ケイの口から聞きたい」
俯いていたケイが、観念したかのように顔を上げる。少しだけ潤んだその瞳はまっすぐに俺を捉えていた。
「……レオを、誰よりも愛している」
真っ赤な顔をしてぽつりと呟くケイの言葉で、血が沸騰するかのように身体が熱くなる。こいつ、もしかして、俺のこと相当好きなんじゃないか? ――そう直感が告げると動揺して言葉が出ず、パクパクと口を動かすしかない。緊張の糸が解けたかのようにケイがふっと笑みを漏らす。
「だから、手紙で書いたほうがいいんじゃないかと言ったのに」
「うるさい! ……うるさい!」
「レオ、好きだ」
ぎゅっと背中にケイの腕が回される。これまで何度もケイと抱き締め合ってきたけど、それとは全く違ったぬくもりに包み込まれたようだった。こちらもそっと腕を回してその愛おしい体温を嚙み締める。
「お前って、そういうタイプだったんだな」
ケイから素直に与えられる愛情が、すとんと胸の内に落ちていく。言葉も、力強く抱き締める腕も、絶え間なく俺への愛を伝えているようだった。
「そういうタイプって、なんだ?」
「……何でもない」
こちらもケイの背中に回した腕に力を込める。ケイだからこそ、俺の求めていたパーツがぴたりと当てはまる。そんな幸福感を抱きながら耳元でぽつりと呟いた。
「俺たち、今日から恋人でいいんだよな?」
「あぁ」
「……じゃあペア兼恋人ってことで、よろしく」
もじもじと言葉を紡ぐと、ケイが楽しそうに笑い出す。
「なんだよ!」
「いや、何でも。……レオ、こちらこそ、よろしく」
抱き締められたまま、どちらからともなく唇が重なる。初めての恋人としての口付けは、これまでのどんなキスとも違っていた。そっと瞼を閉じ、その甘さに酔いしれる。ケイを視線が重なるとその瞳がとびきり優しくて、心臓がどくんと音を立てる。あぁ、好きだ。ケイが好きだ。
ペアとして研修での実績を積み重ねてきた俺たちが、今日からは恋人としての第一歩を踏み出す――そう実感しながら、誰も居ない教室の中で静かに体温と喜びを分かち合っていた。
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