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拗らせすぎる知事予定の夫妻たち(三男除く)
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秘書の方が呼びに行ってくれて、…なぜか撫子さんと伽藍さんまで一緒にやってきた。
「ちょうど、3人でお姉さまの話をしていたのです」とのこと。どんな話か気になるが後にしよう。
3人がそれぞれ夫の隣に座る。蘇芳さんは安定の腰抱きだが、芙蓉さんと伽藍さんは少し離れて座った。二人の夫も、触れる気配がない。羅刹さんについてはわかるけど、…朝霧さんのとこもなの?
英樹さんがおもむろに口を開く。
「芙蓉、伽藍。あのね、蘇芳夫婦が離縁するかもしれなくて、」
「父上、離縁しません!やめてください!」
「…ああ、間違えた、動揺してて…ごめん、蘇芳。ええと、蘇芳が勃起しなくて、」
「父上っ!?」
「あ、…ごめん。何を言おうとしたんだっけ。あ、そうだ。芙蓉。芙蓉は、羅刹に無理矢理犯されたんだってね。父親として謝罪する。本当に申し訳ないことをした」
「ち、父上っ!」
…もうぐちゃぐちゃだ。英樹さん、わざとやってるのかな。
芙蓉さんはサッと顔を青くしたが、俯いたりせずに英樹さんを毅然と見返した。
「…お義父様。確かにわたくしは、羅刹様に無理矢理されましたが、犯されたとは思っておりません。夫婦になったからにはカラダを繋げるのは当然の義務です。ましてや羅刹様は次代の皇帝陛下のご子息…皇位継承権を得るには最低でも4人子どもがいなくてはならないのですから」
淡々と告げる芙蓉さんからは言葉とは裏腹に羅刹さんへの明らかな拒絶を感じる。当たり前のことだけど。
「…でも、最初の日以来、羅刹様はわたくしに触れません。…羅刹様」
芙蓉さんは隣に座る羅刹さんを見上げると、「やはり、伽藍様がお好きなのですか。わたくしでは、身代わりにもなれないのですか」と言って、くしゃりと顔を歪めた。
「…え?」
芙蓉さん以外の全員が固まる。一番はじめに戻ってきたのは、朝霧さんだった。
「そうか、だから、…やっぱり伽藍さんは、羅刹兄さんのことが好きだったんだね。だから、僕とはセックスしてくれないんだね!」
またもや違う方角から爆弾が投下された。…なんだって?
「ち、違う、朝霧、」
ビックリしたように朝霧さんを見る伽藍さんの手首をグイッと掴み上げると、朝霧さんはギリッと羅刹さんを睨み付けた。
「伽藍さんは僕のだ!剣の全国大会で伽藍さんが表彰のために城に来た時から…10年前から、僕のだ!僕が、初めて伽藍さんを見つけたんだ!絶対に羅刹兄さんには渡さない!伽藍さんに手を出したりしたら、兄さん、殺すからね」
「ま、待ってくれ、朝霧、」
真っ青な顔でなんとか朝霧さんを宥めようとする伽藍さんを振り向くと、朝霧さんは頬を挟むようにして伽藍さんに口づけた。
びっくりして動けないであろう伽藍さんから口を離し、ヒョイッと抱き上げると、そのままソファに座り伽藍さんを横抱きにした。顔を自分の胸に抱き込み、そのまま背中を撫でる。朝霧さんの手が上に、下に、と動くたび、伽藍さんのカラダがピクッと跳ねる。なんか…やらしいんだけど…。
「伽藍さんは僕のです。今夜、全部僕のモノにします。今まで我慢してきたけど、もう我慢しない。伽藍さんが僕に抱かれる気になってくれるまで我慢しようと思ったけど、羅刹兄さんにとられるくらいならそれこそ無理矢理やる。犯してやる。僕から、絶対に離れられないカラダにしてやる。いいね、伽藍さん。もう僕、待たないからね…痛っ!?」
横抱きにされている伽藍さんの拳が朝霧さんの腹に炸裂した。そのまま朝霧さんの腕から抜け出した伽藍さんは、静かに泣いていた。撫子さんが立ち上がって伽藍さんを抱き締める。私も立ち上がり、自分が座っていたソファに伽藍さんを挟むようにして座った。蘇芳さんがジト目で見てるけど…いま、そういう嫉妬とかする場面じゃないよね!
「…まず。羅刹」
英樹さんがようやく覚醒したようだ。あまりに爆弾が破裂しすぎて、惨状が凄い。
「は、はい、父上」
「芙蓉が言うように、おまえは伽藍が好きなのか?」
「え、ち、ちが」
「そうです!だって、いつでも一緒に剣の訓練をしていらっしゃるし、わたくしになんて笑ってもくれないのに、伽藍様にはいつでもニコニコしていらっしゃるし!わたくしにあれ以来触れないのだって、わたくしのカラダが不満だからなのでしょう!?わたくしは、伽藍様のように鍛えられたカラダではありませんし…っ。背も低いですし…っ。それなら、顔合わせの時、三男の方のようにわたくしではイヤだと、伽藍様が欲しいと、言ってくだされば良かったではありませんか!」
「ダメ!伽藍さんは僕の!」
英樹さんはジロリと朝霧さんを睨み付けると「朝霧、順番だ。もう少し待ちなさい」と言って羅刹さんに視線を移した。
「羅刹。ここまで芙蓉に言わせて、おまえは恥ずかしくないのか」
羅刹さんは、グッと詰まったようになると、芙蓉さんを見て「…触れてもいいか」と、そっと肩に手を添えた。ビクッとした芙蓉さんを見て、顔を歪めた羅刹さんは「すまない…」と俯いてしまったが、離れようとした手を芙蓉さんがキュッと握った。
「ちょうど、3人でお姉さまの話をしていたのです」とのこと。どんな話か気になるが後にしよう。
3人がそれぞれ夫の隣に座る。蘇芳さんは安定の腰抱きだが、芙蓉さんと伽藍さんは少し離れて座った。二人の夫も、触れる気配がない。羅刹さんについてはわかるけど、…朝霧さんのとこもなの?
英樹さんがおもむろに口を開く。
「芙蓉、伽藍。あのね、蘇芳夫婦が離縁するかもしれなくて、」
「父上、離縁しません!やめてください!」
「…ああ、間違えた、動揺してて…ごめん、蘇芳。ええと、蘇芳が勃起しなくて、」
「父上っ!?」
「あ、…ごめん。何を言おうとしたんだっけ。あ、そうだ。芙蓉。芙蓉は、羅刹に無理矢理犯されたんだってね。父親として謝罪する。本当に申し訳ないことをした」
「ち、父上っ!」
…もうぐちゃぐちゃだ。英樹さん、わざとやってるのかな。
芙蓉さんはサッと顔を青くしたが、俯いたりせずに英樹さんを毅然と見返した。
「…お義父様。確かにわたくしは、羅刹様に無理矢理されましたが、犯されたとは思っておりません。夫婦になったからにはカラダを繋げるのは当然の義務です。ましてや羅刹様は次代の皇帝陛下のご子息…皇位継承権を得るには最低でも4人子どもがいなくてはならないのですから」
淡々と告げる芙蓉さんからは言葉とは裏腹に羅刹さんへの明らかな拒絶を感じる。当たり前のことだけど。
「…でも、最初の日以来、羅刹様はわたくしに触れません。…羅刹様」
芙蓉さんは隣に座る羅刹さんを見上げると、「やはり、伽藍様がお好きなのですか。わたくしでは、身代わりにもなれないのですか」と言って、くしゃりと顔を歪めた。
「…え?」
芙蓉さん以外の全員が固まる。一番はじめに戻ってきたのは、朝霧さんだった。
「そうか、だから、…やっぱり伽藍さんは、羅刹兄さんのことが好きだったんだね。だから、僕とはセックスしてくれないんだね!」
またもや違う方角から爆弾が投下された。…なんだって?
「ち、違う、朝霧、」
ビックリしたように朝霧さんを見る伽藍さんの手首をグイッと掴み上げると、朝霧さんはギリッと羅刹さんを睨み付けた。
「伽藍さんは僕のだ!剣の全国大会で伽藍さんが表彰のために城に来た時から…10年前から、僕のだ!僕が、初めて伽藍さんを見つけたんだ!絶対に羅刹兄さんには渡さない!伽藍さんに手を出したりしたら、兄さん、殺すからね」
「ま、待ってくれ、朝霧、」
真っ青な顔でなんとか朝霧さんを宥めようとする伽藍さんを振り向くと、朝霧さんは頬を挟むようにして伽藍さんに口づけた。
びっくりして動けないであろう伽藍さんから口を離し、ヒョイッと抱き上げると、そのままソファに座り伽藍さんを横抱きにした。顔を自分の胸に抱き込み、そのまま背中を撫でる。朝霧さんの手が上に、下に、と動くたび、伽藍さんのカラダがピクッと跳ねる。なんか…やらしいんだけど…。
「伽藍さんは僕のです。今夜、全部僕のモノにします。今まで我慢してきたけど、もう我慢しない。伽藍さんが僕に抱かれる気になってくれるまで我慢しようと思ったけど、羅刹兄さんにとられるくらいならそれこそ無理矢理やる。犯してやる。僕から、絶対に離れられないカラダにしてやる。いいね、伽藍さん。もう僕、待たないからね…痛っ!?」
横抱きにされている伽藍さんの拳が朝霧さんの腹に炸裂した。そのまま朝霧さんの腕から抜け出した伽藍さんは、静かに泣いていた。撫子さんが立ち上がって伽藍さんを抱き締める。私も立ち上がり、自分が座っていたソファに伽藍さんを挟むようにして座った。蘇芳さんがジト目で見てるけど…いま、そういう嫉妬とかする場面じゃないよね!
「…まず。羅刹」
英樹さんがようやく覚醒したようだ。あまりに爆弾が破裂しすぎて、惨状が凄い。
「は、はい、父上」
「芙蓉が言うように、おまえは伽藍が好きなのか?」
「え、ち、ちが」
「そうです!だって、いつでも一緒に剣の訓練をしていらっしゃるし、わたくしになんて笑ってもくれないのに、伽藍様にはいつでもニコニコしていらっしゃるし!わたくしにあれ以来触れないのだって、わたくしのカラダが不満だからなのでしょう!?わたくしは、伽藍様のように鍛えられたカラダではありませんし…っ。背も低いですし…っ。それなら、顔合わせの時、三男の方のようにわたくしではイヤだと、伽藍様が欲しいと、言ってくだされば良かったではありませんか!」
「ダメ!伽藍さんは僕の!」
英樹さんはジロリと朝霧さんを睨み付けると「朝霧、順番だ。もう少し待ちなさい」と言って羅刹さんに視線を移した。
「羅刹。ここまで芙蓉に言わせて、おまえは恥ずかしくないのか」
羅刹さんは、グッと詰まったようになると、芙蓉さんを見て「…触れてもいいか」と、そっと肩に手を添えた。ビクッとした芙蓉さんを見て、顔を歪めた羅刹さんは「すまない…」と俯いてしまったが、離れようとした手を芙蓉さんがキュッと握った。
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