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王総御前試合編
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しおりを挟むフォッシャが遅いので教室に向かうと、さきほどラトリーと仲よさそうに話していた女の子と廊下で出くわした。慌てていたので、どうしたのかたずねる。
「い、いえ。あの、王総のお孫さまがいらしていて、宝部屋? の秘密のカードを探すとかで……それでみんなついていってしまって……」
「そっか。ありがとう。先生たちへの報告は君から頼むよ」
俺がそういうと、元気良く彼女は去っていった。
「……秘密のカード……? なんかめんどうなことになってないだろうな」
王都にきて一週間も経ってないのに、悪目立ちしてる場合じゃないぞ。
「先生方に任せておけば大丈夫なのではないですか?」
ハイロの言うとおりだが、一抹(いちまつ)の不安がある。
「……いやなにか変だ。子供たちが宝部屋の存在を知っていたとして……そもそもそいつらだけで入れたりするものなのか?」
「大事なものを守ってるなら、なんか魔法のセキュリティとかトラップとか、何重にもしかけてあったりしそうね。危ない目にあってないといいけど」
言いたいことをミジルが補足してくれる。
「フォッシャさんの力がなにか関係していたら、かんたんに抜けてしまうかも……ということですか?」
「ないとは言い切れないかも……しれない。特に、あの王総の孫がからんでるなら事情があるのかもしれないな……とにかくフォッシャの力が学校側にバレるのは……まずい」
「とか言ってあんたも宝部屋が気になってんじゃないの?」
ミジルがじり、と詰め寄ってくる。さっきの会話、おぼえてたのか。
「ハ、ハハ。ナニヲイッテルノカナ。ボクガヒミツノカードニキョウミシンシンッテイイタイノカナ」
「しかし探すにしても、手がかりがありませんよ……」
「あの生き物の場所がしりたいの? なら私わかるけど」
「あっ。そっか」
ミジルとハイロの間だけで話が通じており、俺にはなんのことだかまるでわからない。
「なんでわかるんだ?」
「オドの感じね。あの子、特別なオドだったからすぐにわかるの。ま、あんたは黙って指くわえてついてきなさい。いこ、ハイロ」
オドの感じ。ずっと前にフォッシャが言っていた言葉だ。
やはり気配のようなものを広い範囲で感じ取れるのか。まさか実在するとは。今の言い草だと、だれにでも使えるわけではないらしい。そしてミジルにはそれが使えると。
ミジルの案内で進んでいくと、部屋に隠し扉があることに気がついた。
不自然に壁にカードが刺さっていたからすぐにわかった。近づいてみると、フォッシャの冒険士カードであることに気がつく。
「まちがいない。目印に残していったんだ」
カードを扉の端にスライドさせるとすんなり開いた。
扉の奥の部屋には奇妙な仕掛けがあった。ずらっと石版が立ち並んでいて、なにかのパズルのように無造作に散らばっている。
「これは……カードの石版か?」
「これが鍵のようですね。動かしてどうにかするのだと思いますが……」
「さっぱりわからんな」
「あんたそれでもカードゲーマーなわけ?」
「ムチャいうな」
さすがにその嫌味はムリがあるだろ。
「めんどくさいなぁ。ちゃっちゃっと進んじゃおうよ」
ミジルはそう言うと、部屋の奥の壁に手をついた。力をこめたようには見えないが、壁は爆発の衝撃を食らったかのように、ぽっかりと大きな穴を開けて崩れ落ちる。
なにをしたんだ。いやなにかの魔法には間違いないが、とにかく躊躇なさすぎだろ!?
学校の壁ぶっこわすって不良にあこがれてイキってる中学生でもなかなかやらねーぞ!?
「あんなんアリか……!?」
「ミジルは天才なんです」
苦笑いを浮かべるハイロ。天才とかそういう話じゃなくて、勝手に建造物の壁壊しちゃまずくないですか。
いつもフォッシャに常識がないとぼやかれるけど、このふたりもたまにけっこうズレてるよな。
「学校の関係者になんて説明するんだよ……しらねえぞもう」
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