カードワールド ―異世界カードゲーム―

イサデ isadeatu

文字の大きさ
79 / 169
王総御前試合編

10

しおりを挟む

 フォッシャが遅いので教室に向かうと、さきほどラトリーと仲よさそうに話していた女の子と廊下で出くわした。慌てていたので、どうしたのかたずねる。

「い、いえ。あの、王総のお孫さまがいらしていて、宝部屋? の秘密のカードを探すとかで……それでみんなついていってしまって……」

「そっか。ありがとう。先生たちへの報告は君から頼むよ」

 俺がそういうと、元気良く彼女は去っていった。

「……秘密のカード……? なんかめんどうなことになってないだろうな」

 王都にきて一週間も経ってないのに、悪目立ちしてる場合じゃないぞ。

「先生方に任せておけば大丈夫なのではないですか?」

 ハイロの言うとおりだが、一抹(いちまつ)の不安がある。

「……いやなにか変だ。子供たちが宝部屋の存在を知っていたとして……そもそもそいつらだけで入れたりするものなのか?」

「大事なものを守ってるなら、なんか魔法のセキュリティとかトラップとか、何重にもしかけてあったりしそうね。危ない目にあってないといいけど」

 言いたいことをミジルが補足してくれる。

「フォッシャさんの力がなにか関係していたら、かんたんに抜けてしまうかも……ということですか?」

「ないとは言い切れないかも……しれない。特に、あの王総の孫がからんでるなら事情があるのかもしれないな……とにかくフォッシャの力が学校側にバレるのは……まずい」

「とか言ってあんたも宝部屋が気になってんじゃないの?」

 ミジルがじり、と詰め寄ってくる。さっきの会話、おぼえてたのか。

「ハ、ハハ。ナニヲイッテルノカナ。ボクガヒミツノカードニキョウミシンシンッテイイタイノカナ」

「しかし探すにしても、手がかりがありませんよ……」

「あの生き物の場所がしりたいの? なら私わかるけど」

「あっ。そっか」

 ミジルとハイロの間だけで話が通じており、俺にはなんのことだかまるでわからない。

「なんでわかるんだ?」

「オドの感じね。あの子、特別なオドだったからすぐにわかるの。ま、あんたは黙って指くわえてついてきなさい。いこ、ハイロ」

 オドの感じ。ずっと前にフォッシャが言っていた言葉だ。
 やはり気配のようなものを広い範囲で感じ取れるのか。まさか実在するとは。今の言い草だと、だれにでも使えるわけではないらしい。そしてミジルにはそれが使えると。

 ミジルの案内で進んでいくと、部屋に隠し扉があることに気がついた。
 不自然に壁にカードが刺さっていたからすぐにわかった。近づいてみると、フォッシャの冒険士カードであることに気がつく。

「まちがいない。目印に残していったんだ」

 カードを扉の端にスライドさせるとすんなり開いた。
 扉の奥の部屋には奇妙な仕掛けがあった。ずらっと石版が立ち並んでいて、なにかのパズルのように無造作に散らばっている。

「これは……カードの石版か?」

「これが鍵のようですね。動かしてどうにかするのだと思いますが……」

「さっぱりわからんな」

「あんたそれでもカードゲーマーなわけ?」

「ムチャいうな」

 さすがにその嫌味はムリがあるだろ。

「めんどくさいなぁ。ちゃっちゃっと進んじゃおうよ」

 ミジルはそう言うと、部屋の奥の壁に手をついた。力をこめたようには見えないが、壁は爆発の衝撃を食らったかのように、ぽっかりと大きな穴を開けて崩れ落ちる。
 なにをしたんだ。いやなにかの魔法には間違いないが、とにかく躊躇なさすぎだろ!?

 学校の壁ぶっこわすって不良にあこがれてイキってる中学生でもなかなかやらねーぞ!?

「あんなんアリか……!?」

「ミジルは天才なんです」

 苦笑いを浮かべるハイロ。天才とかそういう話じゃなくて、勝手に建造物の壁壊しちゃまずくないですか。
 いつもフォッシャに常識がないとぼやかれるけど、このふたりもたまにけっこうズレてるよな。

「学校の関係者になんて説明するんだよ……しらねえぞもう」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

自由を愛する妖精姫と、番にすべてを捧げた竜人王子〜すれ違いと絆の先に、恋を知る〜

来栖れいな
ファンタジー
妖精女王と精霊王の間に生まれた特別な存在――セレスティア。 自由を愛し、気ままに生きる彼女のもとに現れたのは、竜人族の王子・サイファルト。 「お前は俺の番だ」 番という名の誓いにすべてを捧げた彼は、王族の地位も未来も捨てて森に現れた。 一方のセレスティアは、まだ“番”の意味すら知らない。 執着と守護。すれ違いと絆。 ――これは、ひとりの妖精姫が“特別”に気づいていく物語。 甘さ控えめ、でも確かに溺愛。 異種族の距離を越えて紡がれる、成長と守護のファンタジー。

『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。 そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。 母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。 双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた── 前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

なぜ、最強の勇者は無一文で山に消えたのか? ──世界に忘れられ、ひび割れた心のまま始めたダークスローライフ。 そして、虹の種は静かに育ち始め

イニシ原
ファンタジー
ダークスローライフで癒しに耐えろ。 孤独になった勇者。 人と出会わないことで進む時間がスローになるのがダークスローライフ。 ベストな組み合わせだった。 たまに来る行商人が、唯一の接点だった。 言葉は少なく、距離はここちよかった。 でも、ある日、虹の種で作ったお茶を飲んだ。 それが、すべての始まりだった。 若者が来た。 食料を抱えて、笑顔で扉を叩く。 断っても、また来る。 石を渡せば帰るが、次はもっと持ってくる。 優しさは、静けさを壊す。 逃げても、追いつかれる。 それでも、ほんの少しだけ、 誰かと生きたいと思ってしまう。 これは、癒しに耐える者の物語。 *** 登場人物の紹介 ■ アセル 元勇者。年齢は40に近いが、見た目は16歳。森の奥でひとり暮らしている。 ■ アーサー 初老の男性。アセルが唯一接点を持つ人物。たまに森を訪れる。 ■ トリス 若者。20代前半。アーサー行方不明後、食料を抱えて森の家を訪れる。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...