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真の芸術家

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此の世で具象化された時点で、仮染めの姿に変貌する芸術と云う奴…

其の仮染めの中に我々は自らの感性で、芸術の深淵な響きをふっと聞く。芸術家が表現しようと試みた手法によって、宇宙の深淵な響きのほんの一部を垣間見る。

古代の人々は祈りや記録の道具として絵を描き、イドラを祀った。自然に対する敬虔な思い、畏怖の念から人々は其れを祀る。

其れから切り離された純粋芸術というものは『芸の術げいのすべ』であって、単に美醜を追及するだけでは存在価値がない。術を用いて何を具現化するか…

芸術家は無意識にも命題を背負う。

芸術の顕そうとするナニモノカは、芸術家の手に「とど」まろうとはしない。

芸術に身を捧げる者たちが手探りで現そうとした仮染めの姿は、無残にも履かなく壊れて行く。

誰が人間の心に永遠を置いたか…

芸術家は無意識にも命題を背負う。

此の宇宙を作り、地球に自然を描き人間を生んだ、真の芸術家の術を追って…
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