上 下
29 / 44

私は私

しおりを挟む
例えばいくつものペンネームを用いても、とどのつまり私って人間は私以外の何者でもない訳よ。

生まれる前から神様は、胎児の私をご覧になって、私よりも先に私を知るようになって、そのように私は神様に知られていたのだもの。

あなたと同じように……

其れに、どのような進歩を遂げようともはたまた落胆しようとも、神様は最初から私の造りをご存じなので、私一人が救われると云うことも無ければ、私一人の為に人類が見捨てられると云うことも無い。

私って、そんな生き物、そんな存在なのよ。

無数の星に一つ一つ名前をつけて、其れらを間違うことなく全て覚えておられる神様にとっては、地上の人間全てを記憶することなど訳の無い話なのよ。

私が私を忘れても、神様は覚えていてくださる。あなたがあなたを忘れても、神様は覚えていてくださる。

だからね、人間は神様の前で隠れようのない生き物で、他の誰にもなり得ないの。私は私。

例えこの世から消えてしまって、全ての人に忘れ去られても、神様は其の御心に全て記憶してくださる。

あなたはあなた。私は私。












しおりを挟む

処理中です...