中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

7 ちゅーの悩み

マイナス思考のチョコちゃんが、生き延びてまた会おうとか、まだ子供だから将来は長いとか、随分前向きなことを言うなと思って、其の意外性が頼もしい一方で、画像とは言え僕の唇にちゅーしたとなると、此方の方が由々しき問題じゃないのか。

チョコちゃん……

確かにチョコちゃんは、れずびあんになりたい相手が男の僕だというのは由々しき問題だと言ったけれどさ……

ちゅーはドン引きだよ。

何だか落ち着かない。
MM先輩の時とは違うけどさ、そりゃチョコちゃんは女の子だから全然違うけどさ、そんなことは僕の方からするものだよ。

したことないけど。

女の子にする度胸が育つ前に、男の先輩にちゅーされてしまって道も歩けなくなったんだから、僕は隠れうつ病で、草むしりに没頭している不登校男子としてのみこの世に存在している。

いや、存在していた。チョコちゃんが蒲鉾模様のブロック塀の穴から声を掛けてくるまでは。

チョコちゃんはお世辞にも美形とは言い難いし、暗い。マイナス思考だけど面白い。話術に長けているのかもしれないと思う面すらある。疲れない。暗いのに癒し系か。アリだ。

しかも、詐欺メイクの達人だから変身後の可愛いさは半端ない。

そうだね、凄く可愛かった。

……

だからと言ってチョコちゃんとちゅーはない。
そんな気分にはなれない。

僕はキストラウマを抱えて不登校になった事情にどっぷり浸かって暮らして来たんだ。僕にキスした犯人は二個上の先輩で、今でも何処かそこら辺を歩いているに違いない。くそ……

やっぱり僕は乗り越えなくてはならない。トラウマ潰しにチャレンジする。

でも、良いのだろうか……

僕はチョコちゃんをそこまで思っているのではない。キスしたくなるほど好きとか、そんな感じではない。なのに、画像とはいえ女の子の唇にちゅーとなると、何だか違う気がする。

僕の経験したちゅーは、口では言えない熱烈なちゅーだった。