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23 支えられて
しおりを挟む「まあ、でも出かける気になったのは良いことだ。しかし、無闇に出掛けたらまずい。宮古島でも危ない処だったんだから。アレは発症するまでの間に広がってしまうからな。波流には元気に学校に行ってもらいたいんだよ」
「大丈夫だよ、気を付けるから」
友達にのど飴を届けるという不要不急ではない理由で出掛けようと思うほど、前向きになっている。トラウマ潰しに成功している証拠だ。
お父さんは「処で……」と言って言いあぐねている。
僕は卵ご飯にした茶碗を掻き込んだばかりだから「何」と口の前を隠して聞いた。
「あれだ。あの、変な先輩とは誰か。名前を言いなさい」
いきなり、本当に予想のつかない処から槍が刺してきたか……トラウマがぶり返す。ううう……
「何で……」
お父さんがじっと見ている。
「俺の息子に何をしやがる、と言って来る」
絶句……
それに、お父さんがそういうことの言える人だとは意外だった。
「お父さんは人間性と教養が邪魔して闇討ちはできないからな。正々堂々と直談判だ」
「ははは……」
笑いながら、目の縁からじわりと涙が滲む。
「いいよ、自分で対処できる。もう大丈夫」
恥ずかしいけど、瞼を拭った指先が濡れているのは事実だ。男なのに、自分のことで涙ぐんでしまった。
「何かあったら……」
「うん、お父さんに話すよ」
ちゃんと話す。
お父さんの気持ちは意外だったけど、というか、考えてもみなかったんだけど、それでも僕の地球はひっくり返えらない。お父さんはいつも家族の為に頑張る人だ。僕の為にも頑張ろうとしてくれた。僕は家族に大切にされている。その事はちゃんと知っていた。
僕には家族の愛情は当たり前のことだったんだ。当たり前に育った。
それなのに、お父さんが僕の気持ちに寄り添ってくれたことが、涙が出るほど嬉しい。
卵ご飯の白だしと醤油が絶妙だ。お父さんも。
僕は恐れないよ。
大きな勇気を生む家族の支えがある。
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