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41 キュンキュン

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好きなんだと思う。

多分、こういう感情を世間では好きだと言うんだ……と思う。

それを今、この場で認めるべきか。

「チョコちゃんも煽っているよね、僕のこと」

「ううん、煽っていないよ、チョコは本当に嬉しいだけだよ。波流君が言ってくれる一言一言が、チョコのご馳走みたいで」

マスクを下ろしてジュースを飲む。チョコちゃんは決して美少女の類いではない。

「ご馳走……」

新しい表現だ。

「波流君の言葉で心を元気にしてもらっている。例え『ごっこ遊び』でも、波流君にとってはただの言葉遊びでも、チョコはとっても嬉しい」

ダメだ。僕の方がメロメロになる。

「チョコちゃん……それ本当」

「ドキュンドキュン」 

「キュンキュンって言わない」

「キュンキュン通りすぎて激しくドキュンと撃ち抜かれてハートがメロメロ過ぎて目眩と吐き気が三百回繰り返して」

「そこまで言うと引くよ。吐き気ってドン引き」 

「苦しい……」

何が……チョコちゃんは四口目でジュースを飲みきった。

僕はジュースの缶を受け取って脇に置いたけど、気になる。何が苦しいのか……聞きたい。

「喉が痛むの」

熱烈に聞きたい。

「違うよ、波流君と溺愛ごっこして最高な気分だよ。最高過ぎて怖いくらい。壊れたらどうしようって」

可愛い……キュンキュンする。

「誰にも壊させないよ。僕たちは大人の勘違いを乗り越えたじゃないか。交際していなかったのに交際禁止っていわれたりしてさ。最初の日からお父さんにチョコちゃんと音利ちゃんと二股かけていると思われて、翌日はメイクしたチョコちゃんを三人目の女の子だと勘違いされて……ははは、親は僕のことを誤解しかけていたんだけどね。チョコちゃんママが来たお陰ですっきり付き合うことができるようになったじゃないか。何を心配しているの」

「波流君……チョコ感動。誰にも壊させないって……きゃああ……鼻血が出そうだよ」

どうしよう……僕もだ。



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