78 / 119
79 驚くことばかり
しおりを挟む「波流君のことじゃないんだけどね、お母さんの若い頃に同じぐらいの年齢の子が強姦されたんだって。だから心配してるんだ」
僕はぎょっとした。チョコちゃんと付き合ってからぎょっとすることばかり続いている。
「強姦って……」
恐ろしいフレーズだ。なるべく口にしたくない。
「だから、波流君じゃないってば。道を歩く時も知らない人は無視しなさいとか、可愛くして外出したらいけないとか。お母さんが仕事に行ったあとは出掛けるなとか」
「愛されているじゃないか」
「愛情かな。波流君と付き合ってから急にうざくなって」
急に、か……
「チョコちゃんが魅力的な女の子だって気づいたんじゃない」
「そかな、へへ。魅力的かな」
「魅力的だよ」
本心から言える。
「魅力的だから、僕もお母さんに賛成だ。あんまり可愛くして出歩くと心配だ」
「へへ、もうダメだ。溺愛だ。チョコはマスクが真っ赤に染まる」
「ははは、鼻血か。もったいないから出さないで」
繋いだ手を振る。
「溺愛されてる」
チョコちゃんの笑顔から憂いが剥がれ落ちた。片手で頬を触ってみる。
「すき焼き」
チョコちゃんも応える。
「スキップ」
それだけでも僕は幸せな気分になった。
後ろから声がした。
「なあに、すき焼きとスキップって」
チョコちゃんママだ。
「お、お母さん、立ち聞きしたらダメ」
「いいじゃない。あんたは私の子だもの。なに、すき焼きとスキップって、好きって言えば良いじゃない」
僕たちは顔を見合わせた。
「それよりね、コマルナも下火になっているらしいから、と言うより宮古島はまだ感染者がいないから、波流君が良いなら家でレズビアンごっこをしても良いわよ。但し、私の前で」
「本当ですか」
青天の霹靂。ぎょっとすることばかり続いたけれど、驚くことはまだあったんだ。レズビアンごっこのお墨付きをもらえるなんて。
「YouTube動画みたいに撮影しても良いなら」
「それは……」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる