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99 窓辺の席
しおりを挟む窓辺のテーブルにスックと立ったスタンド型のアイスクリームとソフトクリームのパフェは、夏を感じさせる。
「わお。有り難う、波流くん。美味しそう」
イチゴをチョコちゃんのパフェに乗せた。僕は金持ちになりたい。
「イチゴだけ貢ぐ」
「あははは、溺愛体質。でも、いいの、本当に」
「何が」
「イチゴ、貰っても」
「イチゴでそんなに喜ぶんだ」
「ふふふ、だって滅多に食べられないって言ったさ。コンビニで良く見るけどさ、高いよね、イチゴのやつは。イチゴ農家に嫁に行くかぁってくらい、イチゴ屋さんは儲かるはずよ」
「チョコちゃん、イチゴ農家に憧れている訳」
イチゴだけでも会話が弾む。
夢も膨らむ。
帰りがけに近くのスーパーでイチゴを買ってあげようかと思うくらい、チョコちゃんを喜ばせたい。
将来は旅行にも行こう。
海外が良いな。
国内から始めるかな。
頑張って働いて貯金して、それで二人で遊ぼう。
溺愛王子って、貢ぐ体質ってことか……
「ふふ、美味しい。あまぁい」
確かに甘い。僕もチョコちゃんに甘いけど、チョコちゃんはもっと甘い。意味が違うけど。
「チョコちゃんがイチゴ農家の嫁になりたいのなら、僕たち婚約はどうするの」
「えっ、忘れていた」
「ははは、忘れるくらい軽いことなんだ。やっぱり婚約破棄が前提だな」
「ち、違う、違う。チョコは目の前のことに直ぐに興奮してもうラリパッパだよ」
なに、ラリパッパって……
「何も考えられないよ。波流君と一緒にいるだけで良いよ。あ、違う。やっぱり婚約するぅ」
「婚約破棄に憧れているからだろ」
「違うよ。誰かに奪われないようにだよ。大切な人をさ」
うわあ、萌えっ……
チョコちゃん、そのフレーズは『オトコゴロシ』だ。
僕はメロメロだ。
鼻血は出ないまでも……
僕は席を立ってチョコちゃんの側に移った。驚くチョコちゃんを一瞬ハグする。
軽くのつもりだったけど、思わずぎゅっとした。
窓辺の席だ。
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