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116 チョコちゃんと両親と初めての食事
しおりを挟む「偽装結婚って……きゃああ。チョコは鼻血が出るぅ」
ナイタカラスガモウワラッタ……
「ふふふ、チョコちゃんも、まだ結婚は早いと思ってるのね」
お母さんが笑顔で断定する。しかも、質問のような形で。これが、女の人の話し方だ。
「はい。もうチョコは目眩もするし鼻血も出そうだし熱が出て卒倒するかも。今だって波留君独り占めでココナッツ投げられそうなのに、あれ、パパイヤだったっけ……」
「パイナップルだよ、パイナップル」
お父さんとお母さんは顔が笑ったまま固まっている。
「何でパイナップルを投げられるんだ」
「バレたらきっと、学校中の女子に嫉妬されるんです。それでパイナップルを投げられる」
僕は腹筋崩壊しながら説明した。
「パイナップル弾って、手榴弾のことだよ。チョコちゃんは手榴弾投げられるんだってさ、女子から。わははは」
お父さんとお母さんは顔を見合わせて仕方なさそうに笑う。まあ、笑ってもらえて良かった。
「波留は学校ではどんなにしているの」
お母さんがチョコちゃんにレモン風味の鶏の唐揚げを勧めた。チョコちゃんは何故か鶏唐を残している。
「波留君とは親戚ってことになりました。波留君と話しているとヤジが飛ぶんです。みんなが周りを取り囲んでびっくりしました」
「え、取り囲むって……」
「僕、思わず壁ドンしちゃってて……それでみんなが集まって……」
「壁ドンって、お前まさか学校でハグなどしてないだろうな」
お父さんが緊張する。
「しないけど、不味かったなとは反省している」
「わかれば良いんだ。後悔しても反省しないって奴が多かったからな、俺たちの時代は。な」
お母さんも頷く。表情が暗い。
「動物園の檻の中みたいでした。見られてて」
「動物園の檻……の中……」
「そしたら波留君が、僕はずっと檻の中にいたよって。きゃああ……萌えっ。もう、カッコ好すぎて死にそうぅ」
チョコちゃんは口を手で覆って喋る。
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