つまずいたら異世界へ

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

文字の大きさ
4 / 136
第一章 一日目 朝 転んだらダンジョン

(3)おネエの涙

しおりを挟む
                                     画像生成AI制作



「腹も空いた、くしゅん。はあっくしゅん」

  ドラゴンがくしゃみなんて誰が思うよ。食われるかと思った。宝石みたいな目玉、綺麗だわぁ。指輪にしたらあたしの手なんてすっかり隠れちゃうわ。重くて持ち上がらないよね。片目ってことかなぁ。一個しか見えない。

「お風邪召しましたですか」

ドラゴンは人間を食べないかもしれない。だってとっくに食べられていても不思議じゃないものねぇ。

「昨日食った人間がウイルス保菌者だったらしい。くしゅん」

  げええ。食ってんじゃあぁぁん。

「そんな目で見るな。冗談だ」

  へ、ドラゴンって冗談言うのぉ。イメージがぁぁ、いやいや怖いのも嫌だけどさ。

「お前、未完成ちゃん。お前にやってもらいたいことがある。俺様の目を見ろ」

  ひええっ、ドラゴンの目、異様な眼力ぃぃ。宝石じゃあないよぉぉ。

「近こう寄れ」

「まあたぁぁそんなご冗談をぉぉ。近くに来たら食べるでしょう」

「素晴らしい策略だな。旨そうな肉付きしておる」

  ひええっ、マジに鳥肌ぁぁ。デブに生まれるんじゃなかったぁ。じゃないぃぃ、ぽっちゃりよぉぉ。だってあたしLLだものぉ。女服のエルがふたつよぉぉ。ニューハーフのデブは6Lからよぉぉ。ぽっちゃり。

「いぃぃやぁぁ。まだ二週間足らずのオカマ街道だけどぉ、性に合っているってのぉ、人生楽しくなって来たってのぉ、お金稼げるのにぃぃ、あたしって運が悪いぃぃ。初恋の人に貸した金まだ返してもらってなあいぃ。給料まだもらってなぁぁぃぃ。肉付き良さそうだけどぉぉ脂なのぉぉ、ぜええんぶラードよぉぉ、デブ喰うと太るわよぉぉ、何で男に生まれたんだろう、いやぁぁ。幼稚園からオカマ自覚あったわぁぁ。ううん、生まれた時から運が悪いぃぃ、生まれ直したいぃぃ」

「生まれた時からか、未完成ちゃん。お前な、過去は振り返るもので戻るものではない。お前は進化し続けるのだ。それに、この世界でできることもあるさ」

  えっ……ドラゴン、慰めてくれるのっ。

「ぐすっ。なあに、できることって」

  うふっ、精一杯あどけない顔をしようっと。ドラゴンに通じるかな、あたしのとびきりのあざと可愛いさが。

「エサ」

  エサぁぁ。

「ぎぐんじゃながっだぁぁぁ」

 折角、力を込めて可愛い顔したのに、涙がスプリンクラーみたいに吹き出るよぉぉ。

「待て待て、それは聖なる仕事だぞ。ドラゴルーンのブルータニアン様の食事係りに抜擢されるのはな」

「えっ」スプリンクラー節約、五月雨のようにしとしと頬を伝う「あたしを食べるのではないの」それ本当に本当。

「ああ、それも素晴らしい策略だな」

「ぎえぇぇぇぇ、何処からマジぃぃ」

  スプリンクラー再稼働ぉぉぉ。あたしバカよね、おバカさんよねぇぇって、オジイちゃんがカラオケで熱唱してたっけぇ。昭和の殿さまキングスのぉ唄あぁ。オジイちゃんの子供の頃に流行ったんだってぇ。でも、演歌嫌いぃぃ。

  くるりと踵を返してとっとこ逃げるわ、こんな処とっととおさらばよぉぉって言ってもぉ、ハイヒールなのぉ。ヒール折れてなくて良かったけどさぁ。ああ、あたしはスプリンクラーよ。涙で前が見えない。もともと暗いけどね、足元見えないもんね。びええぇぇ、体重の分の涙が出るかもぉぉ。

あら、うふっ。ダイエッ、じゃないぃぃ。干からびるだろぉぉじゃないぃぃあたしバカよねぇぇおバカさんよねぇぇ殿様キングスじゃないぃぃああパニコリコぉぉ。

「待て待て待て、新入り。お前は仕事をほっぽり出してさぼる気かぁぁ」

  ぎゃぁぁ。ブラック企業のヤンキー上司みたいなドラゴォン。あたしやっぱりバカぁぁ。どうして振り向いちゃったのぉ。ドラゴン、目ん玉をひん剥いてるぅぅ。

「こらこら」

  こらこらってぇぇぇ。

「俺様の目から、くしゅん」

  ぎえっ。こっ、転んじゃった。これ、ドラゴンの尻尾かぁぁ。こわっ。

「こらこら、俺様も身体に似合わず気が短いのでなぁ、さっさと仕事に取りかかってもらわないとなぁ。どうなるかなぁ、お前の運命」

  し、し、ごと。なに、すればいいのオシゴト。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...