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第二十二章
(1)美しい生き物
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ブルー・タニアンの空を飛ぶ雄姿を三ヶ月ぶりに見る民衆は沸き立った。人間同士の間で戦争が始まってからというもの、いや、それ以前からブルー・タニアンを望む声は大きく、統一世界の支配はやはり人間にはできないのではないか、と戦火を恐れる人々が動き出した。
空を自由に横切る青い影、遠くで雷鳴を轟かせ雷光を走らせる。久しぶりの大空で自由を満喫して喜びにのたうつブルー・タニアンの姿が、寧ろ神の祝福に思える。人々の間から拍手喝采が沸き上がった。
有隣目蜥蜴亜目石竜子の変異系に属するドラゴルーンは、ドラゴン亜種と簡略化されてはいるが、間違いなく神の創造物のひとつだ。
サタンも神の創造物だとの反論を予想して敢えて断ると『その龍は歴史に登場する最初からの蛇であり、悪魔またはサタンと呼ばれる天の生き物で、地球人を惑わす』と予言の書に書かれた宇宙の者とは異なる。
つまり、ドラゴルーンは創造の初めから元々この地上に生息し、恐竜と同じようにヒエラルキートップに君臨して崇められていたが、この世界では隕石落下や氷河期などの滅びもなく人間と共存して、ましてや神に造反するつもりもなく、自らを崇めさせるような考えも持たない。
人間が勝手に畏れを抱き崇めていただけだ。
ドラゴルーンにはサタンのような霊の身体はなく、人間と同じように物質の身体しか持たない。地上に生息する生身の生物なのだ。
空の覇者として地の隅々まで駆け巡る。
宗教国家スメタナ教国の人々の上を、軍事強国サザンダーレ王国の人々の上を、芸術芸能とLGBTのリンジャンゲルハルト帝国の人々の上を、核で滅んだケミヒス文明国の生き残りの人々の上を、ブルー・タニアンの生き生きと天空駆け巡る勇姿が生きた芸術のようにパワーを振り撒いていた。
スメタナ教皇は庭園に出た。匂うように咲き乱れる花々に囲まれて仰ぐ空を、ドラゴルーンが踊るようにのたうつ。
(美しい。やはり美しい生き物だ。あの者には如何なる人間も敵わない。敵対してはいけないのだ)
しかし……と同じ胸の内で呟く。
(私は弱い。それに、天の神を奉じる立場だ。ブルー・タニアンは神ではない。それが証拠にドラゴルーンは最早ブルー・タニアンだけになった。彼が最後のドラゴルーンだ。ブルー・タニアンが死ねばこの世界のヒエラルキートップは人類になる。空恐ろしい世界の予見に戦くのは私だけか。人間が君臨する世界とは……)
人間に自治力のないことは『俺TUEEEサザンダーレ国王』の処世から今に至る世までに証明された。世界平和は実現していない。各地で地震や津波などの自然災害が起こり、紛争は絶え間なく物価は高く疫病も流行る。そして所謂ラスト・ハザード、最後の聖戦に突入した。
ブルー・タニアンの空を飛ぶ雄姿を三ヶ月ぶりに見る民衆は沸き立った。人間同士の間で戦争が始まってからというもの、いや、それ以前からブルー・タニアンを望む声は大きく、統一世界の支配はやはり人間にはできないのではないか、と戦火を恐れる人々が動き出した。
空を自由に横切る青い影、遠くで雷鳴を轟かせ雷光を走らせる。久しぶりの大空で自由を満喫して喜びにのたうつブルー・タニアンの姿が、寧ろ神の祝福に思える。人々の間から拍手喝采が沸き上がった。
有隣目蜥蜴亜目石竜子の変異系に属するドラゴルーンは、ドラゴン亜種と簡略化されてはいるが、間違いなく神の創造物のひとつだ。
サタンも神の創造物だとの反論を予想して敢えて断ると『その龍は歴史に登場する最初からの蛇であり、悪魔またはサタンと呼ばれる天の生き物で、地球人を惑わす』と予言の書に書かれた宇宙の者とは異なる。
つまり、ドラゴルーンは創造の初めから元々この地上に生息し、恐竜と同じようにヒエラルキートップに君臨して崇められていたが、この世界では隕石落下や氷河期などの滅びもなく人間と共存して、ましてや神に造反するつもりもなく、自らを崇めさせるような考えも持たない。
人間が勝手に畏れを抱き崇めていただけだ。
ドラゴルーンにはサタンのような霊の身体はなく、人間と同じように物質の身体しか持たない。地上に生息する生身の生物なのだ。
空の覇者として地の隅々まで駆け巡る。
宗教国家スメタナ教国の人々の上を、軍事強国サザンダーレ王国の人々の上を、芸術芸能とLGBTのリンジャンゲルハルト帝国の人々の上を、核で滅んだケミヒス文明国の生き残りの人々の上を、ブルー・タニアンの生き生きと天空駆け巡る勇姿が生きた芸術のようにパワーを振り撒いていた。
スメタナ教皇は庭園に出た。匂うように咲き乱れる花々に囲まれて仰ぐ空を、ドラゴルーンが踊るようにのたうつ。
(美しい。やはり美しい生き物だ。あの者には如何なる人間も敵わない。敵対してはいけないのだ)
しかし……と同じ胸の内で呟く。
(私は弱い。それに、天の神を奉じる立場だ。ブルー・タニアンは神ではない。それが証拠にドラゴルーンは最早ブルー・タニアンだけになった。彼が最後のドラゴルーンだ。ブルー・タニアンが死ねばこの世界のヒエラルキートップは人類になる。空恐ろしい世界の予見に戦くのは私だけか。人間が君臨する世界とは……)
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