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13話 婚約者

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 凄く久しぶりに快適なベッドで熟睡したクロエは、気持ちの良い目覚めを迎えた。

「あれ、ここはどこ?」

 天井には豪華なシャンデリアがぶら下がっており、部屋の装飾は王様の部屋の様に豪華で美しい。
 キングサイズのベッドはふかふかで異世界に来てから初めて経験する触り心地だ。

「おはよう」

 直ぐ隣から声を掛けられて、クロエはビクッとして振り向いた。

「・・・マジ?」

(昨日のアレは夢じゃなかったのね)

「そんな嫌そうな顔をされると傷付くなぁ」

 銀髪の青年は笑顔でクロエを見つめていた。
 クロエは、同じベッドにいる事が嫌で降りようとして目を見開いた。

「って、なんで裸なのよ!?」

 クロエは、自分が裸で寝ていた事に驚いて、慌てて毛布で身体を隠した。

「僕も驚いたよ、クロエが気絶すると服も消えちゃって素っ裸になるんだもん」

 銀髪の青年は可笑そうに笑う。

「何で私の名前を知っているの?」

「僕は、君の事なら何でも知っているよ?」

「私の何を知っているって言うの?私は貴方の事を何も知らないわよ?」

「生まれは日本、年齢18歳、身長162cm、体重43kg、血液型はO型、胸のサイズはD、冥王の力の持ち主、魔力ゼロの異世界人、処女」

 銀髪の青年は、クロエの知られざる情報をスラスラと言っていく。

「ちょ、ちょっと待って!」

(どう言う事?何でそんな情報まで知っているの?)

 クロエは、ある可能性について気が付いた。

「鑑定スキルね」

「察しがいいね!正確には鑑定眼だけどね」

(あったら便利な能力だけど、見られる側からしたら気分の悪い力ね)

 クロエは、嫌悪感を露わにして銀髪の青年を睨む。

「ふふふ、僕は君の力が気に入ったんだ」

「だから私を捕まえたの?」

「出来れば、君の意志で協力してくれたら嬉しいかな、それに、個人的に僕は君に興味が湧いたからね」

 銀髪の青年は、クロエに顔を近づけて目を合わせる。

(ち、近い)

 クロエは、恥ずかしくて顔を赤くして目を逸らした。

「ふふふ、自己紹介が遅れたけど、僕の名前はクライス・ハースフェリア、今日から君の婚約者となる男だ」

「はい?」

(婚約者ってどう言う事?)

 突然のクライスの発言にクロエは混乱する。

「いやいやいや、婚約者なんて困ります!」

 クロエは、全力で拒否する。

「何で?クロエは僕のものだろ?」

 クライスは、クロエの腰に手を回すと、一気に抱き寄せる。

「はっ!?や、やめて」

 抱き寄せられたクロエは、抵抗しようにも、身体が言う事を聞かない。

「クロエの身体はもう僕のものだ、そのうち、心も僕のものにしてあげるよ」

(よく見たら、コイツも裸じゃない!?)

 クロエがクライスの裸を見て赤面していると、クライスはクロエをベッドに押し倒して、そのまま唇を奪った。

「ンンッ!?」

 クライスの手がクロエのアソコに近づいていく。

「ゃ、ちょっと、あっ」

 少しひんやりするクライスの指がクロエの中を刺激して、敏感なクロエは直ぐに甘い吐息を吐いて濡らしてしまう。

「可愛いよ、クロエ」

 クライスはクロエの胸に舌を這わせて、じっくりと味見をする。

「ま、待って!私、処女なの!」

「知っているけど?」

 クライスは何を当たり前のことを言っているのかとキョトン顔でクロエをみる。

「お願いだから処女は奪わないで下さい」

(こんな形で処女喪失なんて絶対嫌、初めては好きな人とって決めているんだから)

「えー、どうしようかなぁ、クロエは僕のものだから処女も僕が貰うつもりなんだけど」

 クライスは意地悪そうな笑みを浮かべて、クロエを見つめる。

「それ以外なら何でも言う事を聞きますから、お願いします」

 クロエは、屈辱的だが、頭を下げてお願いする。

「そこまで言われたら仕方ないな、君が望むまで処女は奪わないでいてあげるよ」

「あ、ありがとうございます」

(よ、良かった、助かった)

「その代わり、僕の命令には絶対服従ね!」

「わ、分かりました」

(まあ、本番をするよりはマシでしょ?)

「じゃあ、取り敢えずオナニーを見せて」

「はい?」

 クライスは満面の笑みでクロエを絶望に落とした。
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