神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

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第2章 ギースの塔

第44話 楽園の選別と人類の審判

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◆選択の刻

 ラティヌスは微笑みながら、俺たちを見つめていた。
 その朱い瞳には、底の見えない冷酷な光が宿っている。

 「君たちには、選択肢を与えよう。」

 そう言うと、ラティヌスは手を掲げた。

 次の瞬間、光の粒子が舞い上がり、空間に映像が映し出された。

 そこには――

 ミーナの両親、そしてエニスの仲間たちの姿があった。

 「え……!?」

 ミーナの表情が凍りつく。

 「お父さん! お母さん!!」

 ミーナは思わず叫び、光の中の二人に駆け寄ろうとする。

 「ルーク! ライオス! エリウス!」

 エニスもまた、泣きそうな顔で仲間たちの名を叫んだ。

 ――だが、彼らは微笑みながらも、俺たちに手を伸ばすことはなかった。

 「どうして……? なんで動かないの……?」

 エニスが不安そうに呟く。

 「……ミーナ、エニス、落ち着け。」

 俺は警戒しながら、ラティヌスの顔を睨みつけた。

 ――これは、ただの再会じゃない。
 こいつは、俺たちに"試練"を課そうとしている。

 「ねぇ……これは、どういうことなの?」

 ミーナがラティヌスに問う。

 ラティヌスはにこやかに微笑みながら、ゆっくりと言った。

 「彼らは この塔の中でしか生きられない んだ。」

◆残酷な真実

 「どういう……こと?」

 エニスの声が震える。

 「彼らは"塔の住人"だからね。地上へ降りたら、すぐに消滅してしまうんだ。」

 「そ、そんなの……インチキじゃない!!」

 ミーナが怒鳴る。

 「インチキ? いやいや、これは"世界のルール"さ。」

 ラティヌスは冷ややかに笑う。

 「だから、君たちには選択肢をあげるよ。」

 ① 楽園に残り、彼らと共に生きる。
 ② 地上へ戻り、彼らと永遠の別れを迎える。

 「選べ。」

 沈黙が訪れた。

 ミーナとエニスは、涙を拭いながらお互いを見つめた。

 「……私は……」

 エニスが口を開く。

 「……この塔に住む。」

 ミーナも、ゆっくりと頷いた。

 「私も……」

 「おめでとう。」

 ラティヌスは満足げに笑った。

 「君たちは 楽園の住人 になった。」

 ――そして、その瞬間、彼の表情が冷酷に変わる。

 「……だからもう、"地上の人間"は必要ない。」

◆人類滅亡の宣告

 「滅ぼそう。」

 俺は、言葉の意味を理解するのに数秒かかった。

 「……は?」

 ラティヌスは愉快そうに微笑んだまま、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

 「レン、君も一緒に"地上の人類"を滅ぼしてあげるよ。」

 俺の全身に、"絶対的な殺意" が突き刺さる。

 ミーナとエニスが震えながら俺の方を向く。

 「な、何を言っているの……!?」

 ミーナが喉を震わせながらラティヌスに叫ぶ。

 「君たちが選んだのは楽園でしょ? なら、地上はもう必要ないよね?」

 「そんな勝手なこと……!!」

 エニスが怒りを露わにする。

 「勝手? ううん、違うよ。これは"神の意思"なんだ。」

 ラティヌスの瞳が怪しく光る。

 「地上の人類は、愚かで、醜く、争いをやめない。だから、神は"新しい人類"を創ることにした。」

 「……新しい人類……?」

 俺が問い返すと、ラティヌスは楽しそうに笑った。

 「そう。君たち塔の到達者こそが、"新たな人類の祖"になるんだよ。」

 「ふざけるな!!」

 ミーナがラティヌスに詰め寄ろうとするが――

 次の瞬間、ミーナの身体が宙に浮かび上がる。

 「きゃっ……!? う、動けない……!」

 ラティヌスが指を軽く動かすと、ミーナの身体がまるでマリオネットのように動きを封じられた。

 「ミーナ!!」

 エニスが駆け寄ろうとするが、ラティヌスの手が動くと、今度はエニスの身体も動きを止められた。

 「ふぅ……やれやれ。せっかく"選ばれた存在"になれたのに、反抗的だなぁ。」

 ラティヌスの朱い瞳が、冷たく光る。

 「でも、君たちにはまだ"可能性"がある。だから……教育しないとね?」

◆神の試練

 俺は即座に動いた。

 拳を握りしめ、全身のフォースを解放する。

 「てめぇ……ふざけんなよ……!!」

 黒いオーラが爆発的に立ち上る。

 全身に怒りのエネルギーが満ち、筋肉が軋むほどに力が漲る。

 「ラティヌス……てめぇをブッ飛ばして、"楽園"とかいう茶番を終わらせる!!」

 ラティヌスは俺の怒りを見ても、笑みを崩さない。

 「うん、いいね。その反抗心。だけど――」

 ドンッ!!!!

 次の瞬間、俺の身体が地面に叩きつけられた。

 「ぐ……ッ!!」

 地面が陥没し、俺の全身が強烈な重圧に押しつぶされる。

 「な、何だ……!? 体が……動かねぇ……!!」

 ラティヌスは指を一本だけ軽く動かしながら、楽しそうに言った。

 「レン……君の罪は、この世界に"無断で侵入"し、神の創造物を汚したこと。」

 「だから――」

 「死をもって償え。」

 ラティヌスの指が軽く弾かれると同時に――

 俺の身体は、天井へ向かって猛スピードで吹き飛ばされた。

 衝撃音と共に、視界が真っ白に染まる。
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