神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

文字の大きさ
62 / 70
第3章 魔法大学ザザン

第62話 教室での喧嘩

しおりを挟む
◆ハルカ視点

 私は、いつものように、夜明けとともに目を覚ました。
 いつものように大浴場へ行き、いつものようにフルーツ牛乳を飲む。

 でも、今日は少しだけ違う。

 それは――レンがいるということ。

 部屋の前で深呼吸をしてから、ノックを二回。

 (昨日は驚いたけど、もう大丈夫。お兄ちゃんと旅していたときは、よく目にしていたことだし……生理現象なんだから、仕方ない。)

 でも、毎朝、あんな状態になるなんて……男の人って大変なんだね。

 しばらくすると、慌てたように、レンが扉を開けた。
 顔が少し赤い。昨日のこと、やっぱり気にしてるのかな?

「おはよう!レン! 朝ごはん食べよう! 今日は、中庭の掲示板にクラス編成の発表があるから、早めに見に行こうよ!」

「おはよう。相変わらず、ハルカは早起きだね。」

 レンは、昨日と違い、すでにローブに着替えていた。
 ……ふふっ、やっぱり気にしてるんだ。

◆レン視点

 食堂へ向かうと、さすがに昨日のような嫌がらせをするバカはもういなかった。
 食事の時間は、意外にも穏やかで、落ち着いていた。

 ハルカは楽しそうに食べながら、どこか懐かしそうに俺を見ている。

「……どうした?」

「ううん、なんでもない。」

 微笑む彼女を見て、俺は深く考えないことにした。

◆掲示板前

 中庭に着くと、数人の新入生が掲示板に群がっていた。
 隙間に入り、クラス分けを確認する。

「やった、同じクラスだね!」

「そうみたいだな。」

 クラスは全部で五つに分かれていたが、ハルカと同じクラスで安心した。
 俺たちは、「第一塔」 の教室へと向かった。

教室にて

 扉を開けた瞬間、俺たちの意識は教室の中央にいる一人の男へと吸い寄せられた。

 ツルッパゲの筋肉ダルマ が、なぜか上半身裸で腕立て伏せをしていたのだ。
 滝のように汗を流し、力強くカウントを刻んでいる。

「99998……99999……100000!」

 俺とハルカは思わず顔を見合わせる。

(……何なんだ、こいつ。)

 教室の空気は、何だか妙に蒸し暑い。

 筋肉の熱気か!?

「100008……ん?」

 筋肉ダルマは、俺たちに気づいた瞬間、スッと立ち上がった。
 鋼のような肉体から、汗が滴る。

「やあ、君たちも同じクラスなのかい? 私の名前はマッスル・ロバート! よろしく!」

 満面の笑みで、手を差し出してきた。

 ……いや、手が汗でびしょびしょだぞ。

 俺もハルカも、そっと手を後ろに引っ込めた。

「お、俺はレンだ……よろしく。で、何してるんですか?」

「何って、筋トレ だけど?」

 胸筋をピクピクと動かしながら、マッスルが答えた。

「待っているだけじゃ筋肉に申し訳なくてね! はっはっは!」

 ハルカが俺の後ろに隠れた。

 うん、気持ちはわかる。

「……そうですか。頑張ってください。」

「ありがとう!」

 マッスルは満足そうに頷き、再び腕立て伏せを開始した。

 教室内にはすでに十人ほどの生徒がいた。
 その中に、見覚えのある金髪の美青年がいた。

(……アルバート?)

 昨日、新入生代表として挨拶していた男だ。
 彼はすでに三人の派手な女子生徒 に囲まれ、質問攻めにあっていた。

 俺とハルカは、一番後ろの席に並んで座った。

赤髪の男

 しばらくすると、一人の男が入ってきた。
 赤い髪に糸目の細身の男 だった。

 そいつは、まっすぐ俺の隣に来ると、口元を緩めた。

「隣、座ってもかまへんか?」

「ああ、別に。」

「おおきに! ワイの名前は イアン・アングレイ や! よろしゅうな!」

 馴れ馴れしく、俺の肩をポンと叩く。

「レンはんの入試試験、見とったで! いやー、びっくりしたわ!」

「モノ好きだな。」

「当たり前や! こんな怪しい奴、見逃せるかいな!」

 イアンが楽しそうに笑う。

突然の挑発

 「お前ら、さっきからうるせーぞ!」

 教室の前方で、机を蹴り飛ばしながら立ち上がる男がいた。

 金髪を刈り上げ、顔の右側に刺青を入れた大男 だった。
 身長は二メートルを優に超えている。

「テメェ、学長のコネで入ったんだってな?」

 俺を鋭く睨みつけながら、ズカズカと近づいてくる。

「魔力ゼロのくせに、合格なんてふざけんなよ。」

 周囲の生徒たちが興味深げに俺たちを見ていた。
 一部の女生徒は、薄ら笑いを浮かべている。

 イアンが苦笑しながら、間に入る。

「まぁまぁ、穏やかにいきましょ――」

 ドンッ!

 イアンが突き飛ばされ、後ろの机にぶつかった。

「へっ、チビが。 ところでよ、お前の連れの女……可愛いじゃねぇか。」

 大男がハルカのほうに手を伸ばす。

(……殺すぞ。)

 俺の中の何かが、弾けた。

「触るな。」

 バキッ!!

 俺が大男の右腕を掴んだ瞬間、骨が砕ける音が響いた――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...