堕ちた令嬢と冥界の契約

第42話 蛇風呂の試練

クロエ・ハートフィリアは、異国の貴族の手に渡り、猿に躾けられるという屈辱的な生活を強いられていた。貴族やその子供たち、さらにはメイドたちからも嘲笑され、芸をさせられる日々は彼女の心を蝕んでいた。そんな中、さらに酷い余興として、新たな試練が彼女に課されることになった。

ある晩、貴族の屋敷では再び大きな宴が催され、貴族たちが集まっていた。美酒とご馳走がふるまわれ、楽しげな雰囲気が屋敷全体に満ちていた。その宴の中で、貴族の主人はさらなる刺激的な余興を用意していた。

「みなさん、先日の鰻風呂の余興は楽しんでいただけただろう。しかし、今日はもっと面白いものを用意している」

貴族たちは歓声を上げ、次にどんな余興が行われるのか期待していた。主人はクロエを指差し、にやりと笑みを浮かべた。

「この娘には、今日は特別に『蛇風呂』を体験してもらおう」

その言葉を聞いた瞬間、クロエの心は凍りついた。彼女はすでに鰻風呂で屈辱的な体験をさせられたばかりだったが、今度はさらに恐ろしい蛇風呂に入れられるというのだ。蛇は冷血で、長い体をくねらせながら獲物に巻きつくという特性がある。それを想像するだけで、クロエの体は震えた。

すぐに大きな浴槽が用意され、その中には何匹もの蛇がうごめいていた。大小さまざまな蛇が絡み合い、浴槽の中で蠢いていた。見た目だけでも恐ろしいその光景に、クロエは後ずさりしようとしたが、首輪の呪いが彼女の体を縛りつけて動きを封じていた。

「さあ、入れ！」

主人の命令が下され、猿たちがクロエを無理やり蛇風呂の前に連れて行った。彼女は必死に抵抗しようとしたが、何もできず、ついに蛇の蠢く浴槽の中に押し込まれた。

冷たい蛇の皮の感触がクロエの体を包み込んだ瞬間、蛇たちが彼女の存在に気づき、次々と彼女の体に近づいてきた。細長い蛇の体が、クロエの肌に巻きつき始め、その冷たい鱗が彼女の全身を這い回った。

「いやっ……！やめて……！」

クロエは叫び声を上げたが、蛇たちは彼女の叫びなど気にすることなく、無心に体に絡みついてきた。蛇たちは本能的に、彼女の体の隙間や柔らかい部分に巻きつこうとし、彼女の腕や足、腰に次々と絡みついた。

貴族たちはその光景を興奮した様子で見守っていた。

「見ろ、蛇が彼女に巻きついているぞ！」

「これは面白い、まるで獲物を捕らえるようだ！」

クロエは必死に逃れようとしたが、蛇の冷たい体が彼女を押さえつけ、自由を奪っていった。蛇たちはクロエの体を締めつけるようにして、まるで彼女を獲物として扱っているかのようだった。その感触は冷たく不快で、彼女の体をぞわぞわとした感覚が襲った。

蛇たちは、特にクロエの脇の下や膝裏、首筋といった体の柔らかい部分に巻きつき、彼女の動きを完全に封じ込めようとしていた。細い蛇の体が、まるで縄のように彼女を締め上げ、逃げ場を奪っていく。

「もう……耐えられない……！」

クロエは心の中で叫び、涙を堪えた。蛇たちが彼女の体に絡みつくたびに、彼女の体は固まっていき、恐怖と屈辱が心を締め付けていた。冷たい蛇の感触が彼女の全身を包み込み、彼女は無力なままその屈辱に耐えるしかなかった。

「これは素晴らしい芸だな！さすが、猿に躾けられた娘だ！」

貴族たちは笑い声を上げ、クロエの苦しむ姿を楽しんでいた。彼らにとって、彼女はただの娯楽の対象でしかなく、彼女の恐怖や苦しみはまったく気にかけられていなかった。

時間が過ぎるたび、クロエの体力は限界に近づいていた。蛇に巻きつかれ、締めつけられる感覚は彼女の呼吸を困難にし、冷たい蛇風呂の中で彼女の体は震え続けた。それでも、彼女は首輪の呪いによって動きを封じられており、何もできずにその屈辱を味わい続けるしかなかった。

「これが……私の運命なの……？」

クロエは心の中で自問し、涙を流した。かつて誇り高い侯爵令嬢だった彼女が、今や蛇に絡まれ、貴族たちの嘲笑にさらされるだけの存在になってしまった。