思い出は、あなたと共に――

思い出は、あなたと共に――

妹の手料理が大好きだった。彼女の作る食事はどれも美味しく、特にカレーライスは最高だった。妹はいつもニコニコと笑いながら、僕のために一生懸命料理を作ってくれた。だけど、それはもう過去の話だ。

彼女が突然、病気にかかってしまったのだ。最初はただの風邪だと思っていたが、病院に行ってみると白血病だと診断された。僕はその時、初めて人生の恐ろしさを知った。

彼女は治療に専念するため、しばらくの間、家を空けることになった。僕は毎日、仕事が終わると病院に通い、彼女を見舞った。彼女はいつも元気そうに振る舞ってくれたが、実際は辛い治療に苦しんでいた。それでも彼女は、僕に笑顔で話しかけてくれた。

ある日、僕が病院に行くと、彼女の部屋には看護師さんがいた。彼女は寝ているようで、呼んでも反応がなかった。看護師さんによると、治療の副作用で意識が混濁しているらしい。僕は悲しみと不安で胸がいっぱいになった。

それから数日後、彼女の容態は急変した。僕は病院に駆けつけたが、もう手遅れだった。彼女は僕の手を握りしめながら、静かに息を引き取った。

僕は彼女を失った悲しみと後悔で、自分自身を責め続けた。もっと早く病気に気付いてあげられなかったのか、もっと彼女を支えてあげられなかったのか。そんなことを考えながら、日々を過ごしていた。

それから数ヶ月が過ぎたある日、僕は彼女の遺品整理をしていた。引き出しを探っていくと、彼女が手紙を残していたことに気がついた。手紙には、彼女が病気になった時からの想いや、僕への感謝の気持ちが綴られていた。

「ありがとう。あなたがいてくれたから、私は幸せでした。今でもあなたを思い出すと、胸が熱くなる。でも、私はあなたが幸せでいることを望んでいる。私たちはいつか必ず再会するから、その時まで、あなたも頑張って生きてね」

手紙を読み終わった時、涙が止まらなかった。彼女が残してくれた手紙は、僕に勇気と希望を与えてくれた。彼女はいつも僕を支えてくれたけれど、今度は僕が彼女の分まで、頑張って生きていかなければならない。

それから、僕は彼女との思い出を胸に、新しい一歩を踏み出した。彼女が作ってくれたカレーライスを再現して、家族や友人と一緒に食事を楽しんだ。彼女が好きだった音楽を聴きながら、散歩をした。彼女が喜んでいた場所を訪れて、彼女との思い出話をした。

彼女がいなくなっても、彼女との思い出は僕の中に生き続ける。そして、彼女が望むように、僕は必死に生きていく。いつか再会できるその時まで、彼女との想い出を大切にして、前を向いて生きていくのだった。