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エペ村視察編
5.フォレストクラブ討伐
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エペ村に来た翌日、俺達はフォレストクラブの討伐に出発する。討伐隊は、俺、シャリリーゼ、エミリカ、ラコーニコフら護衛騎士五人、冒険者四人の計十二名だ。
だが、出発前にコラッドが渋い顔で尋ねる。
「ローレンス様、そのメイドも連れていくのですか」
エミリカはいつもどおりの給仕服を着ており、これから魔物を討伐するようには見えない。
シャリリーゼが肯定した。
「ええ、そのつもりです。エミリカは私の侍女ですから」
「しかし……、いえ、はっきり申させていただきます。メイドなど邪魔になるだけです。このメイドの不手際が原因で討伐隊が全滅するおそれすらあります。どうか連れていくのはおやめください」
「貴方の言うことはよくわかりました。要するに、ただの女中ごときでは足手まといにしかならないということですね?」
「はい」
コラッドは頷く。貴族の横暴にもそれが危険につながるならはっきりと物を言うことのできる男か。厄介なくらい有能なやつだ。
だがコラッドの危惧は思い過ごしにしかならない。
シャリリーゼは無邪気に手を合わせて提案する。
「なら見せたほうが早いですね。ポーラ、エミリカに一撃入れてみてください。彼女の一撃を防げるなら討伐に同行させても問題ないでしょう。駄目ならエミリカは村に置いていきます」
「はい、それなら……」
コラッドはちらりとポーラのことを見る。ポーラは頷いた。
「わかりました。では、行きます」
そう言うが否や、ポーラは大地を滑るようにしてエミリカへ駆ける。
速い。十歩ほどの距離が瞬く間になくなり、ポーラの拳がエミリカの腹へと打ちこまれる。
が、直前でポーラの拳は止まる。それは彼女の配慮などではない。
ポーラの首には短剣が突きつけられていた。エミリカは無機質な瞳で自身が短剣を突きつけた相手の様子を観察する。
はらりとエミリカの黒髪が揺れる。ポーラの額から冷たい汗が落ちた。
「馬鹿な……」
その結末にポーラのみならず、コラッドらも驚きを隠せていなかった。
「エミリカ」
シャリリーゼが声をかけると、エミリカは何事もなかったかのように短剣を懐に収めた。
「どうです、私の侍女は? 護衛くらいにはなるでしょう?」
「……わかりました」
コラッドは首を縦に振らざるをえない。
「ゴールドマン家のメイドはすごいのですね……」
「さすがにあれが基準じゃない。エミリカはリーゼのお気に入りで特別だ」
冷や汗をぬぐうポーラが呟きに、俺は苦笑する。
先の動きを見る限り、本気のポーラとエミリカなら互角の勝負にはなるだろう。あの結果はポーラが所詮メイドという油断が心のどこかにあったからだ。あくまで冒険者としての力量はポーラのほうが上だ。エミリカはあくまでメイドなのだ。
「そうですか。よかった、それなら引退を決意しないですみそうです」
ポーラがばつの悪そうな微笑は、飼いならされた野生の獣を連想させる。俺は一番よいポーラの愉しみ方を考えながら、唇を舌で湿らせた。
鬱蒼と木々が生い茂り陽光を遮るので、魔の森は薄暗い。気が滅入ってくる。
原因はわかっていないが魔の森では奥に進むほど動植物が育ちやすい。また、外縁にはほとんど魔物がいないし、いたとしても大して強くない。そのため、豊富な食料を求めて魔の森の外縁に足を踏み入れる村民も多い。
フォレストクラブが出没したのも魔の森の外縁だ。しかし、フォレストクラブは本来魔の森の中ほどに生息している魔物だ。外縁に出没することはありえない話ではないがかなり珍しい。亜種といい、今回の件はどこか異常だ。
昨日発見した痕跡のある地点から、フォレストクラブの行方を捜す。
討伐隊は、斥候役のポーラが先行し、探索に慣れているコラッドとイニーチャが前に、その後ろを騎士に護衛されながら、俺、シャリリーゼ、エミリカ、そして魔術師のクッキ、が続くという隊列だ。
しばらくしてポーラが新しい痕跡を発見する。バラバラに食い散らかされた熊の死体だ。
「やはり、フォレストクラブは群れのまま行動しているみたいですね。足跡も複数あります」
イニーチャが右頬の傷をなぞりながら言う。
「この熊は殺されてからさほど時間が経っていません。獲物はまだ近くにいる可能性が高いです」
「わかった。これからは細心の注意を払って動こう」
蟹ごときに奇襲を受けるのも癪だ。俺はイニーチャの忠告を受けとめた。
「いました」
先行していたポーラが隊列に戻ってくる。
「ここから五十歩ほど離れた茂みの奥にフォレストクラブの群れがいます。数は十一。風下なのでまだこちらの存在には気づいていません」
「亜種は?」とコラッドが尋ねる。
「赤の混じったのが一匹いたのでそれがおそらく亜種。ただ奥にいたから最初に亜種を狙い撃ちするのは難しそう」
「亜種を取り逃がすことはしたくないが、それ以上に数が脅威だ。まずは先制で叩いて数を減らすべきだ」
俺の言葉にコラッドが同意する。
「確かにそうですね。では、魔法によって先制したあと、それよりできた隙を突いて攻撃しましょう」
クッキが静かに青い魔石のついた杖を構える。
俺とシャリリーゼもそれぞれ魔石が柄に埋めこまれた儀礼剣と魔石のあしらったブローチに意識を向ける。
まず俺が影幕をわざわざ詠唱する。黒いのっぺりとした影が十一匹のフォレストクラブの眼を覆う。
「行きます!」
シャリリーゼもわざわざ詠唱して、ウィンドカッターを発動させる。
同時にクッキもアイスランスを詠唱する。
風の刃と氷の槍が乱れ飛び、突然に視覚を奪われ混乱の最中にあるフォレストクラブを襲う。風の刃のほとんどはフォレストクラブの甲羅に弾かれて終わったが、いくつかの氷の槍はフォレストクラブの甲羅の隙間に突き刺さった。
まっさきに仕掛けたのはコラッドだった。気勢をあげて戦斧を振りかぶり、フォレストクラブの脳天に叩きつける。ベキョッという鈍い音と共にフォレストクラブの甲羅が砕けて黄色い体液が飛び散った。
フォレストクラブの甲羅は固く、並の腕では傷をつけるだけで終わる。やはりコラッドは優秀な冒険者だ。
仲間がやられたことを察した近くのフォレストクラブが、音を頼りにコラッドに襲う。そこに立ちはだかるは大盾。イニーチャがフォレストクラブの闇雲に突き出された大鋏を防ぐ。
大鋏を弾かれたことで生まれた一瞬の隙をポーラが見逃すはずもなかった。大鋏のある右脚の関節にナイフをねじこみ、大きな傷を作る。
自慢の脚が傷ついたことにひるんだフォレストクラブを氷の槍が追撃する。フォレストクラブは左の鋏を振って氷の槍を弾く。しかし、辛うじてクッキの魔法を防いだフォレストクラブを待っていたのはコラッドの戦斧であった。
無慈悲な戦斧は名もなきフォレストクラブの命を切り倒した。
だが、出発前にコラッドが渋い顔で尋ねる。
「ローレンス様、そのメイドも連れていくのですか」
エミリカはいつもどおりの給仕服を着ており、これから魔物を討伐するようには見えない。
シャリリーゼが肯定した。
「ええ、そのつもりです。エミリカは私の侍女ですから」
「しかし……、いえ、はっきり申させていただきます。メイドなど邪魔になるだけです。このメイドの不手際が原因で討伐隊が全滅するおそれすらあります。どうか連れていくのはおやめください」
「貴方の言うことはよくわかりました。要するに、ただの女中ごときでは足手まといにしかならないということですね?」
「はい」
コラッドは頷く。貴族の横暴にもそれが危険につながるならはっきりと物を言うことのできる男か。厄介なくらい有能なやつだ。
だがコラッドの危惧は思い過ごしにしかならない。
シャリリーゼは無邪気に手を合わせて提案する。
「なら見せたほうが早いですね。ポーラ、エミリカに一撃入れてみてください。彼女の一撃を防げるなら討伐に同行させても問題ないでしょう。駄目ならエミリカは村に置いていきます」
「はい、それなら……」
コラッドはちらりとポーラのことを見る。ポーラは頷いた。
「わかりました。では、行きます」
そう言うが否や、ポーラは大地を滑るようにしてエミリカへ駆ける。
速い。十歩ほどの距離が瞬く間になくなり、ポーラの拳がエミリカの腹へと打ちこまれる。
が、直前でポーラの拳は止まる。それは彼女の配慮などではない。
ポーラの首には短剣が突きつけられていた。エミリカは無機質な瞳で自身が短剣を突きつけた相手の様子を観察する。
はらりとエミリカの黒髪が揺れる。ポーラの額から冷たい汗が落ちた。
「馬鹿な……」
その結末にポーラのみならず、コラッドらも驚きを隠せていなかった。
「エミリカ」
シャリリーゼが声をかけると、エミリカは何事もなかったかのように短剣を懐に収めた。
「どうです、私の侍女は? 護衛くらいにはなるでしょう?」
「……わかりました」
コラッドは首を縦に振らざるをえない。
「ゴールドマン家のメイドはすごいのですね……」
「さすがにあれが基準じゃない。エミリカはリーゼのお気に入りで特別だ」
冷や汗をぬぐうポーラが呟きに、俺は苦笑する。
先の動きを見る限り、本気のポーラとエミリカなら互角の勝負にはなるだろう。あの結果はポーラが所詮メイドという油断が心のどこかにあったからだ。あくまで冒険者としての力量はポーラのほうが上だ。エミリカはあくまでメイドなのだ。
「そうですか。よかった、それなら引退を決意しないですみそうです」
ポーラがばつの悪そうな微笑は、飼いならされた野生の獣を連想させる。俺は一番よいポーラの愉しみ方を考えながら、唇を舌で湿らせた。
鬱蒼と木々が生い茂り陽光を遮るので、魔の森は薄暗い。気が滅入ってくる。
原因はわかっていないが魔の森では奥に進むほど動植物が育ちやすい。また、外縁にはほとんど魔物がいないし、いたとしても大して強くない。そのため、豊富な食料を求めて魔の森の外縁に足を踏み入れる村民も多い。
フォレストクラブが出没したのも魔の森の外縁だ。しかし、フォレストクラブは本来魔の森の中ほどに生息している魔物だ。外縁に出没することはありえない話ではないがかなり珍しい。亜種といい、今回の件はどこか異常だ。
昨日発見した痕跡のある地点から、フォレストクラブの行方を捜す。
討伐隊は、斥候役のポーラが先行し、探索に慣れているコラッドとイニーチャが前に、その後ろを騎士に護衛されながら、俺、シャリリーゼ、エミリカ、そして魔術師のクッキ、が続くという隊列だ。
しばらくしてポーラが新しい痕跡を発見する。バラバラに食い散らかされた熊の死体だ。
「やはり、フォレストクラブは群れのまま行動しているみたいですね。足跡も複数あります」
イニーチャが右頬の傷をなぞりながら言う。
「この熊は殺されてからさほど時間が経っていません。獲物はまだ近くにいる可能性が高いです」
「わかった。これからは細心の注意を払って動こう」
蟹ごときに奇襲を受けるのも癪だ。俺はイニーチャの忠告を受けとめた。
「いました」
先行していたポーラが隊列に戻ってくる。
「ここから五十歩ほど離れた茂みの奥にフォレストクラブの群れがいます。数は十一。風下なのでまだこちらの存在には気づいていません」
「亜種は?」とコラッドが尋ねる。
「赤の混じったのが一匹いたのでそれがおそらく亜種。ただ奥にいたから最初に亜種を狙い撃ちするのは難しそう」
「亜種を取り逃がすことはしたくないが、それ以上に数が脅威だ。まずは先制で叩いて数を減らすべきだ」
俺の言葉にコラッドが同意する。
「確かにそうですね。では、魔法によって先制したあと、それよりできた隙を突いて攻撃しましょう」
クッキが静かに青い魔石のついた杖を構える。
俺とシャリリーゼもそれぞれ魔石が柄に埋めこまれた儀礼剣と魔石のあしらったブローチに意識を向ける。
まず俺が影幕をわざわざ詠唱する。黒いのっぺりとした影が十一匹のフォレストクラブの眼を覆う。
「行きます!」
シャリリーゼもわざわざ詠唱して、ウィンドカッターを発動させる。
同時にクッキもアイスランスを詠唱する。
風の刃と氷の槍が乱れ飛び、突然に視覚を奪われ混乱の最中にあるフォレストクラブを襲う。風の刃のほとんどはフォレストクラブの甲羅に弾かれて終わったが、いくつかの氷の槍はフォレストクラブの甲羅の隙間に突き刺さった。
まっさきに仕掛けたのはコラッドだった。気勢をあげて戦斧を振りかぶり、フォレストクラブの脳天に叩きつける。ベキョッという鈍い音と共にフォレストクラブの甲羅が砕けて黄色い体液が飛び散った。
フォレストクラブの甲羅は固く、並の腕では傷をつけるだけで終わる。やはりコラッドは優秀な冒険者だ。
仲間がやられたことを察した近くのフォレストクラブが、音を頼りにコラッドに襲う。そこに立ちはだかるは大盾。イニーチャがフォレストクラブの闇雲に突き出された大鋏を防ぐ。
大鋏を弾かれたことで生まれた一瞬の隙をポーラが見逃すはずもなかった。大鋏のある右脚の関節にナイフをねじこみ、大きな傷を作る。
自慢の脚が傷ついたことにひるんだフォレストクラブを氷の槍が追撃する。フォレストクラブは左の鋏を振って氷の槍を弾く。しかし、辛うじてクッキの魔法を防いだフォレストクラブを待っていたのはコラッドの戦斧であった。
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