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元売れっ子?ラノベ作家、異世界へ立つ
火を確保しましょう
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「ふぁ、ふぁぁ~~」
木の上で大きく伸びをする。
時間を確認すると朝の7時。
2度寝するには寝床が硬すぎるので仕方なしに木から降りる。
折角健康的に早起きもデキタシネ……。
今日は朝から火熾しをする。
まずは湖の畔まで歩く。
湖の畔で最初にすることは朝食だ。
ラピスの実を腕輪から取り出し、皮を剥いて頬張る。
うん、美味い。
美味いんだけど、少し味に飽きてきた。
今日は火を確保して別の食べ方を確立したい。
腕輪の中から拳大の石を20個ほど取り出す。
これはここまで移動するときに拾った石だ。
なぜ湖の畔で拾わないのか。
危険だからだ。
この湖の周辺にあるものは良くも悪くも濃縮魔力水の影響を受けている。
まあ、石がマジックアイテムに変わったり、果実が良い意味で特殊な実になっていたりと良いことばかりのように思えるが、実はそうではない。
昨日の石のナイフが良い例だ。
鑑定ではそこらへんの鋼鉄の剣より切れ味は良いとなっていたが、それは間違いだ。
まあ、この異世界の鉱石が地球の鉱石より性質が圧倒的に良いということなら別なのだが、石が鉄並みに変化したとしても放り投げられただけで地面に突き刺さったりはしない。
10cm以上も。
そう、鑑定結果よりも効果が強すぎるのだ。
そして影響を与える速さ。
高々1~2時間で水が石に浸透するなど有り得ない。
そう考えると、この付近に落ちている石を火を制御するのに使うのは危険すぎるからだ。
何故湖から離れたところで火を熾さないのか?
うん、周辺が森と足元に生えている草しかないからだ。
延焼されてたまるものか。
折角見つけた安定した拠点候補なのに……。
石をサークル状に並べ、その中にラピスの実の皮をほぐして入れ、その上に地球から持ってきた雑誌を数枚千切り乗せる。
最後に小枝を中央に積む。
「さてさて、タコ糸でもあれば簡単なのだがね。
ま、手でやっても成功していたので出来るとは思うが……」
私は手で擦る方法で火をつけたことはなかった。
挑戦はしたのだが途中で挫折したのだ。
その後、糸を使った方法では成功している。
ただし、今はその糸が無い。
正直地球から持ってきたものを解体すれば紐などは手に入るが今はまだその時ではない。
そこまでは切羽詰まってはいないからだ。
さて、まずは昨日作った発火させる為の道具である木を用意する。
これは本来ならば木の板を用意し、それに非貫通の穴を開け使いたいところだが、流石に木の板は作ることが出来ないのでなるべく平らな木の破片を用意し穴を開けた。
昨日のうちに開けてあるのでその工程は省略。
次にその木に開けた穴(直径1cm程度、まあ適当だが)へラピスの実の皮をほぐしたものと木くずを入れる。
最後に穴に嵌る程度の直径で長さが30cm程度の棒を用意し、開けた穴の中に突っ込む。
準備は完了した。
私は細長い棒を一気に擦り上げた。
ゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
30秒ほど全力で擦っていると少しだけ煙が上がる。
いい加減腕が疲れてきた。
我慢し更に擦る。
ゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
微妙に赤いものがラピスの実の皮から見えた。
一気に力が抜ける。
失敗だった。
それから都合3回、同じことを繰り返し、火を熾すことに成功した。
まだ安定してはいないが、今現在私の目の前には赤々とした火が揺れている。
数日ぶりの暖かさに全身の力が緩む。
どうやら身体を解したと思っていても上手く解れてはいなかったようだ。
やっぱり暖かいってサイコー!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
やばい、テンションが振り切ってしまった。
でもこれで手でも火を熾すことが可能だと分かった。
さて、ラピスの実を調理してみよう。
まず、今まで腕輪の中にため込んでいた石と木、落ち葉、数個のラピスの実などを取り出す。
木。
基本的には30cm以内の乾いた物だ。
これを薪として利用する。
火が大きくなり過ぎないように調整しながら薪をくべる。
枝
細い枝。
一応湖で洗い、ラピスの実を剥いたものを突き刺す。
落ち葉
乾いたものしか集めていないので、少しずつ焚火にくべる。
サークル状の石の中からはみ出ないように気を使いながら数枚ずつ投入。
なぜ数枚ずつかというと、一番最初に大量に入れたら煙のみが出て、火が消えかけたからだ。
慌てて落ち葉を取り除き、雑誌を数枚追加でくべて火が消えるのを防いだ。
焚火の火がある程度維持できるようになると、ラピスの実の皮を剥き、木の枝に突き刺し地面に突き立て石で固定する。
暖かい火の横に座ってラピスの実が焼けるのを待つ。
ラピスの実から滴る果汁がジュウっという音を立てなんとも言えない芳醇な香りが辺り一面に広がった。
この匂いは、最初にラピスの実を掘り出した時に嗅いだ匂いよりも遥かに強烈な匂いになり、私の胃袋を刺激し続けている。
このまま生焼けで食べても十分に美味しそうなのだが、それでは面白くないので腹の音を聞きながらじっと待っている。
香ばしい香りが辺りを漂い、口の中には唾液が溢れ出す。
その間に何かすればよいのだろうが、この香しい匂いにその場から足が離れないのだ。
どうせ昼に近いし、このまま昼食をとることにした。
うん、匂いに負けただけなんだけれどね。
ラピスの実に程よく色が付いたので地面に刺した棒を取り口へと運ぶ。
「うまっ!」
生で食べたときよりも雑味が飛び、更に洗練された味。
生でも美味かったのにまだ雑味があったのかと驚いた。
そして不思議なことに食感は生で食べたときのままだ。
普通ならば硬くなったり、食感が変わったりするものだがそれすらも無い。
むしろ独特の香りが付き洗練された味に加え、香りも膨れ上がっていた。
その場で5個ほど食べてしまった。
普段は3個で限界になる果実を5つ。
多分果汁が滴り落ちたことで軽くなったのだろう。
「はぁ、食べた食べた。
しかし火があるだけでこうも違うとは……」
私は今、目の前に火が在ることに感謝して暫く温まることにした。
木の上で大きく伸びをする。
時間を確認すると朝の7時。
2度寝するには寝床が硬すぎるので仕方なしに木から降りる。
折角健康的に早起きもデキタシネ……。
今日は朝から火熾しをする。
まずは湖の畔まで歩く。
湖の畔で最初にすることは朝食だ。
ラピスの実を腕輪から取り出し、皮を剥いて頬張る。
うん、美味い。
美味いんだけど、少し味に飽きてきた。
今日は火を確保して別の食べ方を確立したい。
腕輪の中から拳大の石を20個ほど取り出す。
これはここまで移動するときに拾った石だ。
なぜ湖の畔で拾わないのか。
危険だからだ。
この湖の周辺にあるものは良くも悪くも濃縮魔力水の影響を受けている。
まあ、石がマジックアイテムに変わったり、果実が良い意味で特殊な実になっていたりと良いことばかりのように思えるが、実はそうではない。
昨日の石のナイフが良い例だ。
鑑定ではそこらへんの鋼鉄の剣より切れ味は良いとなっていたが、それは間違いだ。
まあ、この異世界の鉱石が地球の鉱石より性質が圧倒的に良いということなら別なのだが、石が鉄並みに変化したとしても放り投げられただけで地面に突き刺さったりはしない。
10cm以上も。
そう、鑑定結果よりも効果が強すぎるのだ。
そして影響を与える速さ。
高々1~2時間で水が石に浸透するなど有り得ない。
そう考えると、この付近に落ちている石を火を制御するのに使うのは危険すぎるからだ。
何故湖から離れたところで火を熾さないのか?
うん、周辺が森と足元に生えている草しかないからだ。
延焼されてたまるものか。
折角見つけた安定した拠点候補なのに……。
石をサークル状に並べ、その中にラピスの実の皮をほぐして入れ、その上に地球から持ってきた雑誌を数枚千切り乗せる。
最後に小枝を中央に積む。
「さてさて、タコ糸でもあれば簡単なのだがね。
ま、手でやっても成功していたので出来るとは思うが……」
私は手で擦る方法で火をつけたことはなかった。
挑戦はしたのだが途中で挫折したのだ。
その後、糸を使った方法では成功している。
ただし、今はその糸が無い。
正直地球から持ってきたものを解体すれば紐などは手に入るが今はまだその時ではない。
そこまでは切羽詰まってはいないからだ。
さて、まずは昨日作った発火させる為の道具である木を用意する。
これは本来ならば木の板を用意し、それに非貫通の穴を開け使いたいところだが、流石に木の板は作ることが出来ないのでなるべく平らな木の破片を用意し穴を開けた。
昨日のうちに開けてあるのでその工程は省略。
次にその木に開けた穴(直径1cm程度、まあ適当だが)へラピスの実の皮をほぐしたものと木くずを入れる。
最後に穴に嵌る程度の直径で長さが30cm程度の棒を用意し、開けた穴の中に突っ込む。
準備は完了した。
私は細長い棒を一気に擦り上げた。
ゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
30秒ほど全力で擦っていると少しだけ煙が上がる。
いい加減腕が疲れてきた。
我慢し更に擦る。
ゴリゴリ
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微妙に赤いものがラピスの実の皮から見えた。
一気に力が抜ける。
失敗だった。
それから都合3回、同じことを繰り返し、火を熾すことに成功した。
まだ安定してはいないが、今現在私の目の前には赤々とした火が揺れている。
数日ぶりの暖かさに全身の力が緩む。
どうやら身体を解したと思っていても上手く解れてはいなかったようだ。
やっぱり暖かいってサイコー!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
やばい、テンションが振り切ってしまった。
でもこれで手でも火を熾すことが可能だと分かった。
さて、ラピスの実を調理してみよう。
まず、今まで腕輪の中にため込んでいた石と木、落ち葉、数個のラピスの実などを取り出す。
木。
基本的には30cm以内の乾いた物だ。
これを薪として利用する。
火が大きくなり過ぎないように調整しながら薪をくべる。
枝
細い枝。
一応湖で洗い、ラピスの実を剥いたものを突き刺す。
落ち葉
乾いたものしか集めていないので、少しずつ焚火にくべる。
サークル状の石の中からはみ出ないように気を使いながら数枚ずつ投入。
なぜ数枚ずつかというと、一番最初に大量に入れたら煙のみが出て、火が消えかけたからだ。
慌てて落ち葉を取り除き、雑誌を数枚追加でくべて火が消えるのを防いだ。
焚火の火がある程度維持できるようになると、ラピスの実の皮を剥き、木の枝に突き刺し地面に突き立て石で固定する。
暖かい火の横に座ってラピスの実が焼けるのを待つ。
ラピスの実から滴る果汁がジュウっという音を立てなんとも言えない芳醇な香りが辺り一面に広がった。
この匂いは、最初にラピスの実を掘り出した時に嗅いだ匂いよりも遥かに強烈な匂いになり、私の胃袋を刺激し続けている。
このまま生焼けで食べても十分に美味しそうなのだが、それでは面白くないので腹の音を聞きながらじっと待っている。
香ばしい香りが辺りを漂い、口の中には唾液が溢れ出す。
その間に何かすればよいのだろうが、この香しい匂いにその場から足が離れないのだ。
どうせ昼に近いし、このまま昼食をとることにした。
うん、匂いに負けただけなんだけれどね。
ラピスの実に程よく色が付いたので地面に刺した棒を取り口へと運ぶ。
「うまっ!」
生で食べたときよりも雑味が飛び、更に洗練された味。
生でも美味かったのにまだ雑味があったのかと驚いた。
そして不思議なことに食感は生で食べたときのままだ。
普通ならば硬くなったり、食感が変わったりするものだがそれすらも無い。
むしろ独特の香りが付き洗練された味に加え、香りも膨れ上がっていた。
その場で5個ほど食べてしまった。
普段は3個で限界になる果実を5つ。
多分果汁が滴り落ちたことで軽くなったのだろう。
「はぁ、食べた食べた。
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