キミがボクにくれたもの

ユキナ

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神様がくれた贈りもの

素晴らしい世界を

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ーーあれから、どの位経ったのだろう。


ボクはずっと暗闇の中にいた。


ボクは……星になったのかな?


そうは思えない……。


ボクはただ……暗闇の中を漂っているみたい。


だけど何でだろう?


ずっと暗闇なのに……どうしてこんなにも安心するんだろう?


まるでキミがずっと側にいる様な……。


ボクは星になったはずなのに……。


キミを近くに感じるのは何故だろう?


ただ暗闇の中、ゆらゆらと揺られて……。


でも、とても心地良くて……暖かいよ。


ボクは暗闇から抜け出して、その時うっすらと声が聴こえてきたんだ。













「元気な男の子ですよ」


ボクを抱き上げる……懐かしい掌とその温もりを。


「生まれてきてくれてーー」


“ありがとう”


ーーて、ああ!?


この声は!!


少しだけど目が見える!


本当に少しだけど……でも分かる!


明るい世界……そして、ボクの目の前で優しく微笑む人を。


ああ……神様はボクの願いを叶えてくれた!


ずっと見たかった、この世界とキミーー


“また会えたね” 


暗闇の中、ずっとキミを感じてたのは……キミのお腹の中にいたからなんだね。


またキミと一緒に居る事が出来るなんてーー


ボクのもう一人のお母さんだったキミ。


でも今度は……本当のお母さんとして。


“ボクを産んでくれて、ありがとう”


ボクを包み込む、その温もりが心地良い。


まだ夢を見ているみたい。


神様が叶えてくれた……夢。


「この世界へようこそ」


ずっとボクに話し掛けてくれた声。


ううん、夢じゃない。


本当に素晴らしい世界を。


これはきっと、神様が叶えてくれた……願いーー


キミには幸せを。
そしてボクには始まりを。


また、よろしくね。


そしてーー










“初めまして、お母さん”






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