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第2部.アドニア〜リムウル 第1章
6.盗賊
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昼間の疲れのため、アイリーンはぐっすり眠っている。
しかし、なかなかの根性だ、とエリアードは彼女を評価していた。
彼に注意されてからおとなしく歩くことに専念した彼女だったが、何時間も歩き続けることなどむろん初めてのことだっただろう。
昼の休憩時間が来るより前に、すでに彼女はそうとう疲れた様子をうかがわせていた。
午後になると笑顔も口数もめっきり減り、やがて足の痛みに歯を食いしばって、それでも一言も弱音を吐かずに歩き続けたのだ。
昨夜よりもさらに疲れた様子で眠っている彼女を起こすのは忍びなかったが、そうも言っていられない状況だった。
エリアードはアイリーンを揺すってそっと声をかけた。
「アイリーン様、起きて下さい」
「ん……なに……?」
アイリーンは眠そうに目をこすった。
「こちらへ近づいてくる複数の人間がいます。おそらく盗賊でしょう」
「えっ!」
アイリーンはたちまち眠気もふっとんだ様子で、不安そうに彼を見上げた。
「ご心配にはおよびません。ですが万が一にもあなた様に危険が及ばないよう、しばらく木の上に隠れていて下さい」
一つうなずくと、彼女はすぐに立ち上がった。飲み込みが早い。
エリアードの足手まといになってはいけないと悟っていた。
エリアードは彼女の体を軽々と抱き上げ、自分の右肩に座らせた。
人の手の届く範囲に下枝のない木を選んで歩み寄る。
その間に、エリアードは早口でささやくように、様々な事態を想定した指示を与えた。
「念のため、弓矢に気をつけて。
もし射かけてこられたら、できるだけ幹の裏にまわって体を縮めていて下さい。
それから、何があっても、決して声を立てたり、気を失って木から落ちたりしないで下さい。
もし私がやられたと思ってもですよ」
「……はい」
アイリーンは緊迫した空気に、体をこわばらせてうなずいた。
するとエリアードは彼女を見上げ、安心させるように笑顔を見せた。
薄暗い中に、白い歯がひらめく。
「大丈夫、敵を油断させるためにそういう手をつかうこともあるという話です」
余裕すら感じられる彼の態度に力づけられ、不安が和らぐのを感じた。
しかしそれよりもアイリーンをホッとさせたのは、初対面の時以来の彼の笑顔だった。
“この人は……私を安心させるために笑顔を作るのね。
あの時も、今も……本心からの笑顔じゃないみたい。
でもそれでもいい……その気遣いをしてくれることがありがたいもの”
彼女がエリアードの助けを借りて樹上に身を隠すと、彼はその木から数本離れた木の下に立ち、襲撃者たちを待ち受けた。
やがて夜陰に乗じてこそこそとやってきた彼らは、獲物がすでに彼らを迎え撃つ体制を整えていることに驚いたようだった。
しかし所詮、多勢に無勢と高をくくった様子で、近づいてくる。
見るからに恐ろしげな、屈強な男が6人だった。
「ふ~ん、戦士の格好してるだけあって、ちっとは使えるようだな」
「だがな、おめぇに用はない。連れのガキを出しな」
しかし、なかなかの根性だ、とエリアードは彼女を評価していた。
彼に注意されてからおとなしく歩くことに専念した彼女だったが、何時間も歩き続けることなどむろん初めてのことだっただろう。
昼の休憩時間が来るより前に、すでに彼女はそうとう疲れた様子をうかがわせていた。
午後になると笑顔も口数もめっきり減り、やがて足の痛みに歯を食いしばって、それでも一言も弱音を吐かずに歩き続けたのだ。
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エリアードはアイリーンを揺すってそっと声をかけた。
「アイリーン様、起きて下さい」
「ん……なに……?」
アイリーンは眠そうに目をこすった。
「こちらへ近づいてくる複数の人間がいます。おそらく盗賊でしょう」
「えっ!」
アイリーンはたちまち眠気もふっとんだ様子で、不安そうに彼を見上げた。
「ご心配にはおよびません。ですが万が一にもあなた様に危険が及ばないよう、しばらく木の上に隠れていて下さい」
一つうなずくと、彼女はすぐに立ち上がった。飲み込みが早い。
エリアードの足手まといになってはいけないと悟っていた。
エリアードは彼女の体を軽々と抱き上げ、自分の右肩に座らせた。
人の手の届く範囲に下枝のない木を選んで歩み寄る。
その間に、エリアードは早口でささやくように、様々な事態を想定した指示を与えた。
「念のため、弓矢に気をつけて。
もし射かけてこられたら、できるだけ幹の裏にまわって体を縮めていて下さい。
それから、何があっても、決して声を立てたり、気を失って木から落ちたりしないで下さい。
もし私がやられたと思ってもですよ」
「……はい」
アイリーンは緊迫した空気に、体をこわばらせてうなずいた。
するとエリアードは彼女を見上げ、安心させるように笑顔を見せた。
薄暗い中に、白い歯がひらめく。
「大丈夫、敵を油断させるためにそういう手をつかうこともあるという話です」
余裕すら感じられる彼の態度に力づけられ、不安が和らぐのを感じた。
しかしそれよりもアイリーンをホッとさせたのは、初対面の時以来の彼の笑顔だった。
“この人は……私を安心させるために笑顔を作るのね。
あの時も、今も……本心からの笑顔じゃないみたい。
でもそれでもいい……その気遣いをしてくれることがありがたいもの”
彼女がエリアードの助けを借りて樹上に身を隠すと、彼はその木から数本離れた木の下に立ち、襲撃者たちを待ち受けた。
やがて夜陰に乗じてこそこそとやってきた彼らは、獲物がすでに彼らを迎え撃つ体制を整えていることに驚いたようだった。
しかし所詮、多勢に無勢と高をくくった様子で、近づいてくる。
見るからに恐ろしげな、屈強な男が6人だった。
「ふ~ん、戦士の格好してるだけあって、ちっとは使えるようだな」
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皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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