薄明宮の奪還

ria

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第3部.リムウル 第2章

3.裁き

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「あの夜、ギメリックがとうとう石を見つけたのだと知ってぼくは、彼にもそう言ったよ。

 いつものように君に会いに行って、石を持っていた彼と会ったんだ。

 彼は、『頼まれなくてもお前を殺すつもりだ』と言って怒ったけど……ぼくにはわかる。

 彼は優しいから……ぼくがこういう形で存在していると知って動揺していたし、きっと最後の瞬間まで迷うんじゃないかと思う。

 たけどその迷いがシビアな魔力戦で彼の弱みになったらと思うと、心配なんだ……。

 フレイヤの涙の力がいくら強大だとしても、それを使う者の心の強さが、結局は勝敗を左右するだろうから……。

 だから、彼に伝えて欲しい、ぼくはこの6年ほどの間、自身を助ける方法を色々探ってみたけどやっぱり見つからなかった。それに……」


再びアイリーンを見つめたティレルの澄んだ青い瞳には、強い意志の光が宿っていた。


「あいつは裁きを受けるべきだ。

 どう言い訳することもできない……許されざる悪行を、重ねてきたのだから。

 ……ぼくは何もできなかった。ただ見ていることしか……ぼくこそが、あいつの死を一番望んでいるんだ」


ティレルはそう言うと、穏やかな目で空を見上げた。

何かを待つようなその仕草に、つられてアイリーンもそちらを見る。

月のない夜空には降るような満天の星が浮かんでいた。

その天の一角にキラリと金色の光が走ったかと思うと、その光は見る見るうちに大きくなってこちらへ向かってくる。


魔力の気配は隠されていた。

けれどアイリーンにはすぐにわかった。ギメリックが近づいてくるのだと。

彼女は恐怖に駆られて叫んだ。

「ティレル、逃げて!!」


ティレルは優しく微笑んで、彼女を見下ろした。

「大丈夫だよ。きっと君を心配して、彼も体から抜け出してきたんだ、戦っている暇なんてないよ。

 ……彼はあんな風だから、魔力を持つ人々には恐れられるし、そうじゃない人からも誤解されやすいけど……

 ぼくは知ってる、彼はとても優しい人だ……。

 君は彼を信じて、全てをまかせればいい」


「ティレル! どうしてそんなこと……あなたを愛してる、誰よりも好きよ。

 本当のあなたに会いたいの、魂だけじゃなく……」


「ぼくも、愛してるよ、アイリーン……君に会ってからずっと、君はぼくのたったひとつの慰めだった……」


ティレルがもう一度、アイリーンの額に口づけたとき。
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