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第3部.リムウル 第3章
18.ポル
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「やっぱりそうか……くそ~何で、入れないんだ、このっ!!」
泉から少し離れた森の中で、ポルは怒りに任せて木の幹に蹴りを入れていた。
「ポル! 何やってるんだ?」
灌木の茂みから顔をのぞかせたゲイルが、あきれたように声をかける。
「あっ……兄き! この奥に小屋があるって言ってたけど、結界があって入れないじゃないかよ!!」
朝、目を覚ますと、すでに家の中に姉の姿はなかった。
ポルは姉がギメリックたちの様子を見に行ったのだろうと見当をつけ、自分も泉までやってきたのだ。
そこから先は姉の魔力の気配をたどって森に分け入ったのだが……。
気がつくと姉の気配は消え、森のはずれまで歩いていた。
あわてて引き返してみたが、やはり小屋などどこにもない。
魔力の知覚を総動員して探った結果、わかったのは、どうやら村の結界の中にもう一つ、結界が存在するらしいということだった。
無意識にそこを迂回してしまい、どうしても中に入れないのだ。
「ありゃ……お前の魔力でも入れないのか? ふぅん、さすがだなぁ……」
「何感心してるんだよ! おかしいじゃないか、おれより魔力が弱いねぇちゃんが入れて、おれが入れないなんて……。
それにおれ、今までこんなとこに結界があるなんて、全然知らなかったぞ!」
食ってかかるように言いつのるポルを、まぁまぁとなだめるように、ゲイルは笑って言った。
「仕方ないさ、ヴァイオレット様と皇太子殿下がこの村を出て行ったとき、お前、まだ2歳だったし。
でもヴァイオレット様のことは知ってるだろう? 年に一度は帰ってこられていたから……」
「そりゃぁ、知ってるけど……」
紫の貴婦人と呼ばれたその人とは、数えるほどしか会っていないはずだが、よく覚えている。
とても印象的な魔力の波動の持ち主だったからだ。
強さと柔らかさ、温かさと冷たさ、威厳と慈悲が同居しているような……。
強大な魔力に、恐ろしさを感じると同時に惹き付けられた……。
「カーラは特別だったからな。ここの結界の効力が、カーラにだけかからないように始めから設定されてたんだろう」
「特別って、どういうことだよ?」
姉が妙にギメリックのことに詳しかったことを思い出しながら、ポルは尋ねる。
「強い魔力を持った女の子ってことで、ヴァイオレット様は随分カーラを気にかけていた。
大人になっても魔力を保持するのは彼女だけだと、わかっていたんじゃないかな。
それもあってヴァイオレット様は、自分たちと村の者たちの橋渡しというか、ちょっとした使いやなんかを時々、カーラに頼んでいたんだ。
その頃から、敬称つけると嫌がられるからと、カーラは歳の近い皇太子殿下とは名前で呼び合って、ごく普通に接していたようだ。
カーラが使いに出かけている間、よく俺がお前の面倒みてやってたんだぜ。
お前、チビのくせによく食ってさぁ、魔力のイタズラもひどかったし、ホント手を焼かされたよ」
「チビって言うな!」
とたんにむくれるポルの体に手をかけて、ゲイルはくるりと彼を村の方へと向き直らせるとその背中を押した。
「とにかく、村へ帰ろう。長老が呼んでるぞ、わかってんだろ?」
「……」
泉から少し離れた森の中で、ポルは怒りに任せて木の幹に蹴りを入れていた。
「ポル! 何やってるんだ?」
灌木の茂みから顔をのぞかせたゲイルが、あきれたように声をかける。
「あっ……兄き! この奥に小屋があるって言ってたけど、結界があって入れないじゃないかよ!!」
朝、目を覚ますと、すでに家の中に姉の姿はなかった。
ポルは姉がギメリックたちの様子を見に行ったのだろうと見当をつけ、自分も泉までやってきたのだ。
そこから先は姉の魔力の気配をたどって森に分け入ったのだが……。
気がつくと姉の気配は消え、森のはずれまで歩いていた。
あわてて引き返してみたが、やはり小屋などどこにもない。
魔力の知覚を総動員して探った結果、わかったのは、どうやら村の結界の中にもう一つ、結界が存在するらしいということだった。
無意識にそこを迂回してしまい、どうしても中に入れないのだ。
「ありゃ……お前の魔力でも入れないのか? ふぅん、さすがだなぁ……」
「何感心してるんだよ! おかしいじゃないか、おれより魔力が弱いねぇちゃんが入れて、おれが入れないなんて……。
それにおれ、今までこんなとこに結界があるなんて、全然知らなかったぞ!」
食ってかかるように言いつのるポルを、まぁまぁとなだめるように、ゲイルは笑って言った。
「仕方ないさ、ヴァイオレット様と皇太子殿下がこの村を出て行ったとき、お前、まだ2歳だったし。
でもヴァイオレット様のことは知ってるだろう? 年に一度は帰ってこられていたから……」
「そりゃぁ、知ってるけど……」
紫の貴婦人と呼ばれたその人とは、数えるほどしか会っていないはずだが、よく覚えている。
とても印象的な魔力の波動の持ち主だったからだ。
強さと柔らかさ、温かさと冷たさ、威厳と慈悲が同居しているような……。
強大な魔力に、恐ろしさを感じると同時に惹き付けられた……。
「カーラは特別だったからな。ここの結界の効力が、カーラにだけかからないように始めから設定されてたんだろう」
「特別って、どういうことだよ?」
姉が妙にギメリックのことに詳しかったことを思い出しながら、ポルは尋ねる。
「強い魔力を持った女の子ってことで、ヴァイオレット様は随分カーラを気にかけていた。
大人になっても魔力を保持するのは彼女だけだと、わかっていたんじゃないかな。
それもあってヴァイオレット様は、自分たちと村の者たちの橋渡しというか、ちょっとした使いやなんかを時々、カーラに頼んでいたんだ。
その頃から、敬称つけると嫌がられるからと、カーラは歳の近い皇太子殿下とは名前で呼び合って、ごく普通に接していたようだ。
カーラが使いに出かけている間、よく俺がお前の面倒みてやってたんだぜ。
お前、チビのくせによく食ってさぁ、魔力のイタズラもひどかったし、ホント手を焼かされたよ」
「チビって言うな!」
とたんにむくれるポルの体に手をかけて、ゲイルはくるりと彼を村の方へと向き直らせるとその背中を押した。
「とにかく、村へ帰ろう。長老が呼んでるぞ、わかってんだろ?」
「……」
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読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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