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第3部.リムウル 第4章
8.洞窟
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アイリーンはゆっくりと歩を進めながら、洞窟の中を見回した。
“何だか……私、この場所を知っているような気がする……”
それとも過去を旅した間に見た景色のうちの、一つだったろうか?
もう少しよく思い出そうと、目を閉じて考え込んだとき。
背後に、ギメリックのものではない、魔力の気配を感じた。
「誰っ?!」
少しおびえながら振り返ってみると、洞窟の入り口に黒いシルエットが見える。
「あ……、お、おれ……」
おずおずと中へ踏み込んで来た少年は、もじもじしながら口ごもった。
見覚えのある顔を見て、アイリーンはホッとした。
「あなたは……」
最初に会ったのは、ラザールの通りでぶつかった時だと思い出す。
「……この村の人だったのね」
「おれ、ポルっていうんだ。あっ、ねぇちゃんの……カーラの弟だよ!」
「まぁ、そうだったの……」
言われてみれば、二人はとても良く似ている。
「ありがとう。あなたが、私たちを助けてくれたのね?」
微笑みを浮かべてお礼を言うアイリーンに、ポルは真っ赤になってうつむいた。
「いやっ、そんな、おれ……、ねぇちゃんとゲイルに知らせただけで……なんもしてないし……それより、体はもういいの?」
「ええ、おかげで、随分よくなったわ。だから探検しに来たんだけど……ここ、すごく大きな洞窟ね?
村の人は何かに使っているの?」
「ううん。ここは……聖地だから」
「聖地?」
「そうだよ。ホラ、そこに石碑があるだろ?」
振り返ってみると、確かにポルの言う通り、小さな石碑が立っている。
周りの岩にまぎれてよくわからなかったが、明らかに他の岩とは違い、人の手がかかっているようだ。
垂直に削られた表面がそれを物語っている。
「ねぇちゃんがヴァイオレット様から聞いたって言ってた。
ここはエンドルーア王朝最大の危機を救った白竜と、その白竜が育てた王女が暮らした場所だって。
だからこの地の霊力はどこよりも強いんだ」
「白竜……ホワイトドラゴン……」
“今はもう滅びてしまった……懐かしい友達……”
アイリーンは石碑の表面に彫り込まれた、薄れ、消えかけた文字の上に指を滑らせた。
そのとたん、降り注いでくる記憶の雨に打たれ、軽いめまいを感じてよろめく。
「だっ大丈夫?!」
あわてて支えようとするポルの声も耳に入らず、アイリーンはつぶやいた。
「……我が庇護者にして我が師、そして最愛の友、リーラニールよ……安らかに……」
「え……読めるの?! これ、古代エンドルーアのルーン語で、長老だって知らないって言ってたのに」
“だってこの文字は……私が、刻んだのだから……”
しかし役にも立たない前世の記憶のことなど、口に出すべきではないのだ、たぶん……。
アイリーンはそう思い、丸い目をさらに丸くして驚いているポルを見て、困ったように首をかしげた。
「さぁ……だけど、わかるの。リーラニールって、ここで死んだホワイトドラゴンの名前よ……」
“何だか……私、この場所を知っているような気がする……”
それとも過去を旅した間に見た景色のうちの、一つだったろうか?
もう少しよく思い出そうと、目を閉じて考え込んだとき。
背後に、ギメリックのものではない、魔力の気配を感じた。
「誰っ?!」
少しおびえながら振り返ってみると、洞窟の入り口に黒いシルエットが見える。
「あ……、お、おれ……」
おずおずと中へ踏み込んで来た少年は、もじもじしながら口ごもった。
見覚えのある顔を見て、アイリーンはホッとした。
「あなたは……」
最初に会ったのは、ラザールの通りでぶつかった時だと思い出す。
「……この村の人だったのね」
「おれ、ポルっていうんだ。あっ、ねぇちゃんの……カーラの弟だよ!」
「まぁ、そうだったの……」
言われてみれば、二人はとても良く似ている。
「ありがとう。あなたが、私たちを助けてくれたのね?」
微笑みを浮かべてお礼を言うアイリーンに、ポルは真っ赤になってうつむいた。
「いやっ、そんな、おれ……、ねぇちゃんとゲイルに知らせただけで……なんもしてないし……それより、体はもういいの?」
「ええ、おかげで、随分よくなったわ。だから探検しに来たんだけど……ここ、すごく大きな洞窟ね?
村の人は何かに使っているの?」
「ううん。ここは……聖地だから」
「聖地?」
「そうだよ。ホラ、そこに石碑があるだろ?」
振り返ってみると、確かにポルの言う通り、小さな石碑が立っている。
周りの岩にまぎれてよくわからなかったが、明らかに他の岩とは違い、人の手がかかっているようだ。
垂直に削られた表面がそれを物語っている。
「ねぇちゃんがヴァイオレット様から聞いたって言ってた。
ここはエンドルーア王朝最大の危機を救った白竜と、その白竜が育てた王女が暮らした場所だって。
だからこの地の霊力はどこよりも強いんだ」
「白竜……ホワイトドラゴン……」
“今はもう滅びてしまった……懐かしい友達……”
アイリーンは石碑の表面に彫り込まれた、薄れ、消えかけた文字の上に指を滑らせた。
そのとたん、降り注いでくる記憶の雨に打たれ、軽いめまいを感じてよろめく。
「だっ大丈夫?!」
あわてて支えようとするポルの声も耳に入らず、アイリーンはつぶやいた。
「……我が庇護者にして我が師、そして最愛の友、リーラニールよ……安らかに……」
「え……読めるの?! これ、古代エンドルーアのルーン語で、長老だって知らないって言ってたのに」
“だってこの文字は……私が、刻んだのだから……”
しかし役にも立たない前世の記憶のことなど、口に出すべきではないのだ、たぶん……。
アイリーンはそう思い、丸い目をさらに丸くして驚いているポルを見て、困ったように首をかしげた。
「さぁ……だけど、わかるの。リーラニールって、ここで死んだホワイトドラゴンの名前よ……」
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めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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