90 / 207
第十章 大地の谷
大地の谷 第十節
しおりを挟む
夜深くなった谷に、木々や草花の間で飛び舞う小さな光と、空に浮ぶ優しい月の明かりが暗い夜を穏やかに綴ろう。エウトーレ達が提供した小屋の寝室で、ラナは頬杖をついては外の月明かりを見つめていた。コンコンと、寝室のドアが軽く叩かれる。
「どなた?」
「僕ですよラナ様」
「レクス殿?どうぞ入って」
ドアが開かれ、日常服で両手にコップを持って入るレクスはラナを見た途端に軽く固まる。
「? どうかした?」
「あ、いや、なんでもないよ」
純白のネグリジェの上にカーティガンを羽織ったラナの姿に一瞬見とれたと、さすがに今は言えないとレクスは思いながらも、片方のコップを彼女の前に置いた。
「これ…ココアミルクね?いきなりどうしたの?」
「いやあ、だってほら、今日は一日中吹雪の中を行軍してたんだから、ラナちゃんも寝る前に暖かい飲み物が欲しいかなと思ってね。エウトーレ殿に頼んで用意してもらったんだ」
「なるほど、気が利くのね、ありがとうレンくん」
普段とはまた少し違った笑顔でコップを取って、お互いミルクを一口つける。ココアミルクの暖かさが芳醇な香りとともに体の奥へと流れ、一日の疲れを癒していく。
「ふぃ~。やっぱ登山後の温かいミルクは生き返るよね」
「本当にね」
また一口すするラナ。
「…ふふ」
「? どうしたのラナちゃん」
「別にたいしたことじゃないわ。ただ、やっぱりレンくんがこうして気遣いしてくれると気がとても楽になれるから嬉しいと思っただけ」
心からの率直な感想だと分かるような笑みに、レクスも明るい笑顔を見せる。
「そりゃまあ、今までずっとラナちゃんを忘れてたからね。それらの分も纏めてご奉仕しなきゃ。司令官の健康状態に気を配るのも軍師の務めだし」
「殊勝な心掛けね、感心したわ」
子供の頃のように笑い合いながら、二人はココアミルクの温かみを満喫する。
「それにしても本当に不思議な谷だね。エウトーレ殿達のこともそうなんだけど、ここにいるだけで色んな悩みを忘れそうになるくらい穏やかになれるっていうか」
「そう?私としては穏やか過ぎて逆に落ち着かないけど」
「…それ、さっきエウトーレ殿との話も理由の一つ?」
「どうでしょうね。確かに彼らの理念というのは賛同しかねるけど、元々じっとしてはいられない性分だから」
「勇ましく前へ進むのがラナちゃんなんだからね」
不敵に笑うラナ。
「そういうレンくんはどうなの?ガリアという女神の理念については」
「う~んまあ、半々ってところかなあ。そもそも僕、他人の考えには基本的に干渉しない主義だし、面倒くさいから」
気だるそうに肩をすくめるレクスにラナが苦笑する。
「適当ね…まあ、それがレンくんらしくもあるけど」
「そーそー、適当ってのが僕のモットーだね」
「それ、自慢して言うことなの?」
「…違うよねやっぱ」
二人が小さく笑う。
「それにしてもガリア様かあ…まさか僕達の知らないとこに四人目の女神の話が出てくるだなんて。これちょっと世間に大きな騒ぎにならない?創世の女神がまた一人でてきたからさ」
「それはないと思うわ。リアーヌ殿達も言ったでしょ、彼女達にその信仰を広めるつもりはないって。ガリアの女神による第四勢力が国とかを主張するのなら別だけど、自分の権力体系に支障さえでなければ貴族階級ではさして騒がないわ。歴史学者や魔法界の方なら結構な騒ぎになりそうね」
「う~む確かに…リアーヌ殿たちのあの口振りじゃ寧ろガリア様の件は世間には忘れて欲しい感じだったし。ガリア様を源とする魔法も今は谷の民たちしか使えないからねぇ」
「ええ。民間も元の教義に完全に馴染んでるから、たとえこの話が広がっても実感は沸かずにせいぜいおとぎ話止まりになると思う。実際、レンくんもガリア様の話を聞いてもすぐにピンとは来なかったでしょ?」
「まあね。広まってもちょっとした地方信仰が起こるぐらいかな。…ラナちゃんは太陽の女神の巫女としては特に感じることはないの?」
「ええ。確かに私はエテルネ様の巫女だけれど、私はあくまで私だもの。女神様の真実がどうであれ、私はただ自分の信念に基づいて動くだけよ。ガリア様の理念を私は受け入れないのと同じにね」
「…そういう所がまた、エテルネ様の巫女らしいと僕は思うけどね」
ラナはどこか誇りそうに微笑む。
「でもラナちゃんの言う通り、真相はどうであれ、僕たちがやるべきことは大して変わらないよね」
「そういうこと。ここのことよりも教団を倒すことが私たちには何よりも大事よ。そのためにも一日も早くエステラ王国に辿り着かないと」
少し顔をしかめるラナを見て、レクスは気を紛らわすように話題を変える。
「まっ、それはそうなんだけどさ、一晩ぐらいリラックスしても罰は当たらないよ。今回の件がなくとも、皇国の第一帝位継承者としての生活は大変なものだよね?」
「え?…そうね、確かに大変と言えば大変ね。今の皇族内で直系かつ正統な後継者は父上の一人娘の自分しかいないから。父上に兄弟はないし、母上もオズワルドしか兄弟がなくて、オズワルドは何故か妻を取ることに積極的ではなかったから」
「三国でも血統を最も重視するヘリティア皇国としては珍しい状況だよね。直系後継者が一人だけだなんて、大臣や諸侯たちはエイダーン様に子をもっと儲けるように進言しなかったの?」
「父上は結構の堅物だったのよ。母上が病で子供を産めない体になっても、いくら諸侯達が進言しても側室を作らなかった。だから小さい頃から私に偽りの好意を示すもの、策を弄して図ろうとするものはそれはもう一杯いたわ。誠実な騎士や、真に忠義の心をもった人もいるけど、それらを一人一人分別して対処しなければならないのは、まあしんどいと言えばしんどいわね」
「唯一の皇位継承者である君の信頼を勝ち取れば、将来の安泰が保証されたも同然だからね。おまけに今は太陽の巫女の身分も明らかになってるし、帝都に戻ったら間違いなく大勢のアプローチがくるんじゃない?プロポーズも含めて」
冗談口調で言うレクスに、ラナは実に悩ましそうに手を額に当てて長いため息をした。
「はあ~、言わないでよ。想像するだけで頭が痛くなるわ。ただでさえ母上から早めに良き夫を探しなさいとよく迫られてるから」
「あははは、そりゃ辛いよね」
それでも、嫌そうな表情はすぐラナの顔から消えた。
「まあ面倒は面倒だけど、嫌って言う訳でもないわ。私は皇女として、巫女として生まれた以上、元よりその責務を全うする覚悟はできてるから。皇族の血脈を存続させるために皇国に益となる人との結婚も含めてね」
「…気高いラナちゃんらしいね」
一瞬高鳴る胸を必死に押さえては、いつものような平然そうな笑顔の維持に努めるレクスであった。
それを見抜いたのかは定かではないが、今までに見ない、どこか女性らしい艶やかな笑顔をラナは見せた。
「…でも、そうね。どうせ結婚するなら、ちゃんと気持ちが通じ合って心を許せる相手の方が、私としても嬉しいかな」
それを聞いてレクスは踊る心をまたも無理やり抑え込む。
「へえ、ラナちゃんってそういうロマンチストな一面もあるんだね。ちょっと意外」
普段からは考えられないような、いじらしい女性らしく不満そうに口を尖らせるラナ。
「貴方ねえ、私を血も涙もないなにかと思ってるの?私だって夢ぐらいは見るわよ」
「うん、そうだよね。ごめん、これはさすがに僕が悪いな」
頭を掻いて少し気持ちを落ち着かせ、いつもの調子を取り戻すようにレクスがにへらと笑いながら問うた。
「ちなみにさあ、さっきラナちゃんが言ってた結婚の相手、僕が立候補しても良い?」
「あなたが?」
わざとらしそうに目を大きく見開くラナ。
「そそ、帝都で競争相手が増える前に、まず先手をうってアプローチしたくてね」
「先手必勝ってこと?積極的なのは嫌いじゃないけど…どうかしらねえ?」
「へっ、だめなの?愛称で呼び合って、裸の付き合いもしたのに普通に脈ありだと思ったけど」
茶目っ気な感じで語るレクスに、ラナは目を細めて少し愚痴るような口調でコップを見せつける。
「よく言うわよ。裸だったのは貴方で私は一応下着着てたし、前にも言ったけど、女性との大事な約束を長らく忘れて苦労をかけさせた癖に、このココアミルク一杯だけで心を勝ち取ろうとするなんて調子よすぎない?そもそもアプローチとしてムードを盛り上げる工夫を一切してない時点で大減点よ」
「うぐっ、痛いところつくなあ」
レクスは少し罰が悪そうに頭を掻く。
「まあ、下着姿とか、誰にでも見せていい訳ではないのは確かだけどね…」
「なに?」
「なんでもないわ」
「? とにかく、以前の埋め合わせと一緒に、これからは自分がラナちゃんの結婚相手に似合う人であることを必ず証明するよ」
胸を誇らしげに張るレクス。
「あらそう、ま、一応の期待はしておくわ。せいぜいがんばりなさい」
適当に相槌を打ってるわりには、ミルクを飲むコップで隠れる彼女の笑顔はとても嬉しそうなものだった。
「このココアミルク、中々美味いわね。おかわりしたいぐらいよ」
そう聞いてレクスは早速起き上がって、ルーネウス流の礼儀正しいおじきをしては手を優雅に差し出す。
「差し支えなければ、僕がおかわりさせてあげましょうか、麗しいご婦人様?」
正式の場でも十分通用する、非のうちのない作法にラナは少し面白おかしく感じてはくすりと笑う。
「やっぱ本当はちゃんとできるんじゃないの貴方」
そうだよねたいなみたいなニッコリな笑顔を見せるレクスに、ラナはコップを手渡す。
「それじゃお願いするわ。素敵な殿方」
******
ドーネとエウトーレと別れ、自分用の双剣を腰に着けて自室へと戻ろうと村の道を歩いていたウィルフレッドは、ふと前方から軽く鼻歌を歌ってるレクスが見えてきた。
「レクス」
「あ、ウィルくん。ここで何してるの?」
「いや、ちょうど部屋に戻ろうとするところなんだ。…なんだか妙に嬉しそうだな、何かあったのか?」
「まあちょっとね」
いつもとは少し違う雰囲気のレクスの笑顔にウィルフレッドは気になるも、それを笑顔で茶化すのは相変わらずと彼は思った。
「あれ、これ新しい剣なの?」
「ああ、ドーネがヌトの装甲を素材に作ってくれた奴だ」
ウィルフレッドは鞘から剣を一本抜き出して見せる。
「あの鉄を素材にっ?そりゃ凄い切れ味だろうね」
剣をマジマジ見つめるレクスに、ウィルフレッドは同じく神器を見つめていた時のアイシャを思い出す。
「…レクス、一つ聞いて良いか?」
「うん?いいよ」
「今日、神器の件についてエウトーレと話してた時、アイシャはかなり真剣な表情になっていたな。それに何か理由があるのか?」
「ああ…ウィルくんだとそのあたりの事情ってちょっと分かりにくいよね。ウィルくんの部屋は僕と同じ小屋だよね。屋内の玄関で説明するよ。ここ寒いしさ」
「そうだな。助かる」
――――――
小屋の玄関に置いてある社交用の机に二人が座り、レクスは蝋燭や魔晶石の照明をつける。
「さてと、ウィルくんはエウトーレ殿が説明してた神器の覚醒条件、覚えてる?」
「確か神器が兆しを見せた時、巫女が対応した神器を信頼する勇者に渡せば覚醒するって言ってたな」
「そそ。ミーナ殿によれば、これは魔術的に過去の出来事を真似ることにもなるんだけど、その過去の出来事の詳細はウィルくんも知ってるよね」
「千年前の邪神戦争だったな。三女神が神器を彼女達が選び出した勇者に与えて、それで邪神ゾルドを封印したという…」
「そうだね。そして三女神信仰や三勇者の伝承は、僕達にとっては世界の成り立ちに関わるほど重要なものだから、アイシャ様たちが神器を与えられる対象はそれだけに凄く名誉なことは理解できるよね?」
ウィルフレッドは頷く。
「ああ、だから何故アイシャが深刻そうな顔をしているのが理解できないんだ。神器を与えられるのはとても名誉的なことだろう?俺の世界ならともかく、この世界でそういう名誉をもらえるのは良いことじゃないのか?」
レクスが苦笑する。
「確かにここはウィルくんの世界ほど複雑そうにはないけど、それほど単純って訳でもないよ。一番問題なのはアイシャ様の身分にあるのさ」
「どういうことだ?」
「いいかいウィルくん。順位は後ろだけど、アイシャ様は王位継承権を持つルーネウス王国の第三王女で。一国のお姫様だよね」「ああ」
「そしてアイシャ様は月の女神の魂の力を授けられた、大きなカリスマ性を持つ女神の巫女でしょ」「ああ」
「伝承で、神器を授けられた勇者は三国の創始者になってたよね。これらを組合わせると少しは気付くはずだよ。アイシャ様に神器を授けられた人にどのような意味を持たせてしまうのか」
アオトの本から見てきたおとぎ話、そしてここに来て見て、エリネ達から聞いてきた話を基に、ウィルフレッドは想像力を必死に働かせた。女神から勇者に授けられる神器、勇者により作られた国、その国の姫であるアイシャ達。
「…まさか…」
「気付いたね?そんなアイシャ様に勇者として選ばれた人はただの名誉ある戦士になるだけじゃない。そのまま王族の一員入りになり、場合によっては継承権の資格を得られてもおかしくはないんだ。そしてその相手が男性であれば…きっと迫られるんだろうね。その人との結婚を」
信じられないような表情を浮かべるウィルフレッド。
「迫られるのか?誰に?」
「そりゃ一杯いるよ、国の大臣貴族とか、民からもそういう期待を大きく寄せられるんだろうね。だって建国の祖と同じように女神の巫女に選ばれた人なんだよ?大臣や貴族は国の権力を高める目的で、民はかつての伝説と女神伝承の再現という崇拝で、その人と結ばれるよう全面的に押してくるだろうね。それだけの象徴性が巫女と神器にはあるんだ」
おとぎ話で似たような話は確かに見たことあるが、実例を目の当たりにしてさすがにウィルフレッドも驚きを禁じえなかった。自分の世界では婚姻による権力固めの概念なんて既に存在しないのだから。カトーやアリス、そしてカイの両親の身分違いの恋を聞いた時と同じぐらいの強いカルチャーショックだった。
「! そうか…アイシャとカイ…」
「うん。ウィルくんも二人のことに気付いてるんだね。うまく進展してるかは本人達しか分からないけど、アイシャ様、恐らく人選をカイくんにと考えてるんだろうね」
「けどそれなら身分違いの二人は正々堂々と一緒にいられるから寧ろ良いことじゃないのか?」
「まあね。平民のカイくんが勇者となれば、アイシャ様と並べても遜色ないから、ある意味カイくんとアイシャ様が結ばれる一番にして唯一の道になる。でも忘れないでウィルくん、その場合、カイくんはそのまま王族入りとなり、王国での政治闘争に否が応でも巻き込まれることになる。順位はかなり後ろになるけど、カイにもまた継承権を持つ可能性が出てくるよ」
ハッとするウィルフレッド。
「こっちの王族の生活もあまり楽なもんじゃないよ?ルーネウスは礼儀作法にも煩いから、平民出身のカイくんが果たしてそれに適応できるかは疑問だし、なにより一番の問題は、邪神教団との戦いでカイは常に最前線へ出なければならなくなる。万が一だけど、邪神ゾルドと対峙する必要が出た場合なら尚更ね」
「そ、そうか…それだけでカイは危険に身を晒すことになるんだな」
「やっと理解したようだね。アイシャ様は心配なんだよ、カイくんを選ぶことで彼に自分と同じ危険と闘争に巻き込まれるのが。例え女性を選んだ場合で結婚を避けても、その人が邪神と対峙する危険性、王族入りによる権力争いは決して避けられない問題だ。そりゃ神器を渡す人選には真剣になるよ。勿論、相手が信用できるかできないかという基本的な問題もあるけどさ」
ようやく神器の人選の意味の重大さを理解したウィルフレッドは口を僅かに開いては、カイとアイシャのことを思った。
「…やっぱウィルくんにとっては凄く理解できないことかな?こういうの」
「まあ、こちらは自由恋愛が基本だから、少しは…。ただ、カトーやアリスの件もあるし、なんとなく理解はできる。…にしても、状況や程度加減は違っても、悩みや問題というのは世界が違っても存在するのだな」
「あはは、そうだね。まあ違う文化背景の世界を見比べる自体意味があるかどうかだけど、共通点と言うのはやっぱ多少はあるそうだ。ウィルくんを見れば分かるだし」
「俺を、か?」
少し困惑するウィルフレッドにレクスは微笑む。
「実は最初から会った時、ウィルくんは僕達とどこか違う違和感みたいなのを感じられたけど、あのカイくんとエリーちゃんが懐いてたんだからね。類は友を呼ぶっていうけど、お互いに共通点がないと誰かが懐くことなんて滅多にないでしょ」
「そうだろうか…」
「そういうものだよ」
笑顔で自分の肩を叩くレクスにウィルフレッドも小さく笑顔を返す。
「そういえばさっきの話。ラナも同じようなことになるのか?」
「ラナ様?そうだね、ラナ様は元より皇国唯一の皇位正統後継者だから事情は少し違うけど、似た悩みは持ってるんだろう。まあ二人の巫女の身分が公開された以上、例え神器の話がなくとも二人にアプローチする人はこれからどんどん増えるから、カイくんにはがんばってもらわないとね。二人が上手くいくかどうかは本人たち次第なんだから」
「…そうだな」
少し深呼吸するウィルフレッド。
「説明してくれてありがとう、レクス。時間をかけてすまなかったな」
「気にしないで、僕もこうして話して努力する決心を改めて確認できたしさ」
「君が努力を?」
「あはは、こっちの話だよ」
いつものような笑顔のレクスにごまかされた気もするが、彼はこれ以上聞くことはなかった。
「俺はそろそろ部屋に戻る。おやすみ、レクス」
「おやすみウィルくん」
自室へと戻るウィルフレッドを見送って、レクスは小さく呟く。
「そう、僕もこれからがんばらないとね、ラナちゃんのためにも」
【続く】
「どなた?」
「僕ですよラナ様」
「レクス殿?どうぞ入って」
ドアが開かれ、日常服で両手にコップを持って入るレクスはラナを見た途端に軽く固まる。
「? どうかした?」
「あ、いや、なんでもないよ」
純白のネグリジェの上にカーティガンを羽織ったラナの姿に一瞬見とれたと、さすがに今は言えないとレクスは思いながらも、片方のコップを彼女の前に置いた。
「これ…ココアミルクね?いきなりどうしたの?」
「いやあ、だってほら、今日は一日中吹雪の中を行軍してたんだから、ラナちゃんも寝る前に暖かい飲み物が欲しいかなと思ってね。エウトーレ殿に頼んで用意してもらったんだ」
「なるほど、気が利くのね、ありがとうレンくん」
普段とはまた少し違った笑顔でコップを取って、お互いミルクを一口つける。ココアミルクの暖かさが芳醇な香りとともに体の奥へと流れ、一日の疲れを癒していく。
「ふぃ~。やっぱ登山後の温かいミルクは生き返るよね」
「本当にね」
また一口すするラナ。
「…ふふ」
「? どうしたのラナちゃん」
「別にたいしたことじゃないわ。ただ、やっぱりレンくんがこうして気遣いしてくれると気がとても楽になれるから嬉しいと思っただけ」
心からの率直な感想だと分かるような笑みに、レクスも明るい笑顔を見せる。
「そりゃまあ、今までずっとラナちゃんを忘れてたからね。それらの分も纏めてご奉仕しなきゃ。司令官の健康状態に気を配るのも軍師の務めだし」
「殊勝な心掛けね、感心したわ」
子供の頃のように笑い合いながら、二人はココアミルクの温かみを満喫する。
「それにしても本当に不思議な谷だね。エウトーレ殿達のこともそうなんだけど、ここにいるだけで色んな悩みを忘れそうになるくらい穏やかになれるっていうか」
「そう?私としては穏やか過ぎて逆に落ち着かないけど」
「…それ、さっきエウトーレ殿との話も理由の一つ?」
「どうでしょうね。確かに彼らの理念というのは賛同しかねるけど、元々じっとしてはいられない性分だから」
「勇ましく前へ進むのがラナちゃんなんだからね」
不敵に笑うラナ。
「そういうレンくんはどうなの?ガリアという女神の理念については」
「う~んまあ、半々ってところかなあ。そもそも僕、他人の考えには基本的に干渉しない主義だし、面倒くさいから」
気だるそうに肩をすくめるレクスにラナが苦笑する。
「適当ね…まあ、それがレンくんらしくもあるけど」
「そーそー、適当ってのが僕のモットーだね」
「それ、自慢して言うことなの?」
「…違うよねやっぱ」
二人が小さく笑う。
「それにしてもガリア様かあ…まさか僕達の知らないとこに四人目の女神の話が出てくるだなんて。これちょっと世間に大きな騒ぎにならない?創世の女神がまた一人でてきたからさ」
「それはないと思うわ。リアーヌ殿達も言ったでしょ、彼女達にその信仰を広めるつもりはないって。ガリアの女神による第四勢力が国とかを主張するのなら別だけど、自分の権力体系に支障さえでなければ貴族階級ではさして騒がないわ。歴史学者や魔法界の方なら結構な騒ぎになりそうね」
「う~む確かに…リアーヌ殿たちのあの口振りじゃ寧ろガリア様の件は世間には忘れて欲しい感じだったし。ガリア様を源とする魔法も今は谷の民たちしか使えないからねぇ」
「ええ。民間も元の教義に完全に馴染んでるから、たとえこの話が広がっても実感は沸かずにせいぜいおとぎ話止まりになると思う。実際、レンくんもガリア様の話を聞いてもすぐにピンとは来なかったでしょ?」
「まあね。広まってもちょっとした地方信仰が起こるぐらいかな。…ラナちゃんは太陽の女神の巫女としては特に感じることはないの?」
「ええ。確かに私はエテルネ様の巫女だけれど、私はあくまで私だもの。女神様の真実がどうであれ、私はただ自分の信念に基づいて動くだけよ。ガリア様の理念を私は受け入れないのと同じにね」
「…そういう所がまた、エテルネ様の巫女らしいと僕は思うけどね」
ラナはどこか誇りそうに微笑む。
「でもラナちゃんの言う通り、真相はどうであれ、僕たちがやるべきことは大して変わらないよね」
「そういうこと。ここのことよりも教団を倒すことが私たちには何よりも大事よ。そのためにも一日も早くエステラ王国に辿り着かないと」
少し顔をしかめるラナを見て、レクスは気を紛らわすように話題を変える。
「まっ、それはそうなんだけどさ、一晩ぐらいリラックスしても罰は当たらないよ。今回の件がなくとも、皇国の第一帝位継承者としての生活は大変なものだよね?」
「え?…そうね、確かに大変と言えば大変ね。今の皇族内で直系かつ正統な後継者は父上の一人娘の自分しかいないから。父上に兄弟はないし、母上もオズワルドしか兄弟がなくて、オズワルドは何故か妻を取ることに積極的ではなかったから」
「三国でも血統を最も重視するヘリティア皇国としては珍しい状況だよね。直系後継者が一人だけだなんて、大臣や諸侯たちはエイダーン様に子をもっと儲けるように進言しなかったの?」
「父上は結構の堅物だったのよ。母上が病で子供を産めない体になっても、いくら諸侯達が進言しても側室を作らなかった。だから小さい頃から私に偽りの好意を示すもの、策を弄して図ろうとするものはそれはもう一杯いたわ。誠実な騎士や、真に忠義の心をもった人もいるけど、それらを一人一人分別して対処しなければならないのは、まあしんどいと言えばしんどいわね」
「唯一の皇位継承者である君の信頼を勝ち取れば、将来の安泰が保証されたも同然だからね。おまけに今は太陽の巫女の身分も明らかになってるし、帝都に戻ったら間違いなく大勢のアプローチがくるんじゃない?プロポーズも含めて」
冗談口調で言うレクスに、ラナは実に悩ましそうに手を額に当てて長いため息をした。
「はあ~、言わないでよ。想像するだけで頭が痛くなるわ。ただでさえ母上から早めに良き夫を探しなさいとよく迫られてるから」
「あははは、そりゃ辛いよね」
それでも、嫌そうな表情はすぐラナの顔から消えた。
「まあ面倒は面倒だけど、嫌って言う訳でもないわ。私は皇女として、巫女として生まれた以上、元よりその責務を全うする覚悟はできてるから。皇族の血脈を存続させるために皇国に益となる人との結婚も含めてね」
「…気高いラナちゃんらしいね」
一瞬高鳴る胸を必死に押さえては、いつものような平然そうな笑顔の維持に努めるレクスであった。
それを見抜いたのかは定かではないが、今までに見ない、どこか女性らしい艶やかな笑顔をラナは見せた。
「…でも、そうね。どうせ結婚するなら、ちゃんと気持ちが通じ合って心を許せる相手の方が、私としても嬉しいかな」
それを聞いてレクスは踊る心をまたも無理やり抑え込む。
「へえ、ラナちゃんってそういうロマンチストな一面もあるんだね。ちょっと意外」
普段からは考えられないような、いじらしい女性らしく不満そうに口を尖らせるラナ。
「貴方ねえ、私を血も涙もないなにかと思ってるの?私だって夢ぐらいは見るわよ」
「うん、そうだよね。ごめん、これはさすがに僕が悪いな」
頭を掻いて少し気持ちを落ち着かせ、いつもの調子を取り戻すようにレクスがにへらと笑いながら問うた。
「ちなみにさあ、さっきラナちゃんが言ってた結婚の相手、僕が立候補しても良い?」
「あなたが?」
わざとらしそうに目を大きく見開くラナ。
「そそ、帝都で競争相手が増える前に、まず先手をうってアプローチしたくてね」
「先手必勝ってこと?積極的なのは嫌いじゃないけど…どうかしらねえ?」
「へっ、だめなの?愛称で呼び合って、裸の付き合いもしたのに普通に脈ありだと思ったけど」
茶目っ気な感じで語るレクスに、ラナは目を細めて少し愚痴るような口調でコップを見せつける。
「よく言うわよ。裸だったのは貴方で私は一応下着着てたし、前にも言ったけど、女性との大事な約束を長らく忘れて苦労をかけさせた癖に、このココアミルク一杯だけで心を勝ち取ろうとするなんて調子よすぎない?そもそもアプローチとしてムードを盛り上げる工夫を一切してない時点で大減点よ」
「うぐっ、痛いところつくなあ」
レクスは少し罰が悪そうに頭を掻く。
「まあ、下着姿とか、誰にでも見せていい訳ではないのは確かだけどね…」
「なに?」
「なんでもないわ」
「? とにかく、以前の埋め合わせと一緒に、これからは自分がラナちゃんの結婚相手に似合う人であることを必ず証明するよ」
胸を誇らしげに張るレクス。
「あらそう、ま、一応の期待はしておくわ。せいぜいがんばりなさい」
適当に相槌を打ってるわりには、ミルクを飲むコップで隠れる彼女の笑顔はとても嬉しそうなものだった。
「このココアミルク、中々美味いわね。おかわりしたいぐらいよ」
そう聞いてレクスは早速起き上がって、ルーネウス流の礼儀正しいおじきをしては手を優雅に差し出す。
「差し支えなければ、僕がおかわりさせてあげましょうか、麗しいご婦人様?」
正式の場でも十分通用する、非のうちのない作法にラナは少し面白おかしく感じてはくすりと笑う。
「やっぱ本当はちゃんとできるんじゃないの貴方」
そうだよねたいなみたいなニッコリな笑顔を見せるレクスに、ラナはコップを手渡す。
「それじゃお願いするわ。素敵な殿方」
******
ドーネとエウトーレと別れ、自分用の双剣を腰に着けて自室へと戻ろうと村の道を歩いていたウィルフレッドは、ふと前方から軽く鼻歌を歌ってるレクスが見えてきた。
「レクス」
「あ、ウィルくん。ここで何してるの?」
「いや、ちょうど部屋に戻ろうとするところなんだ。…なんだか妙に嬉しそうだな、何かあったのか?」
「まあちょっとね」
いつもとは少し違う雰囲気のレクスの笑顔にウィルフレッドは気になるも、それを笑顔で茶化すのは相変わらずと彼は思った。
「あれ、これ新しい剣なの?」
「ああ、ドーネがヌトの装甲を素材に作ってくれた奴だ」
ウィルフレッドは鞘から剣を一本抜き出して見せる。
「あの鉄を素材にっ?そりゃ凄い切れ味だろうね」
剣をマジマジ見つめるレクスに、ウィルフレッドは同じく神器を見つめていた時のアイシャを思い出す。
「…レクス、一つ聞いて良いか?」
「うん?いいよ」
「今日、神器の件についてエウトーレと話してた時、アイシャはかなり真剣な表情になっていたな。それに何か理由があるのか?」
「ああ…ウィルくんだとそのあたりの事情ってちょっと分かりにくいよね。ウィルくんの部屋は僕と同じ小屋だよね。屋内の玄関で説明するよ。ここ寒いしさ」
「そうだな。助かる」
――――――
小屋の玄関に置いてある社交用の机に二人が座り、レクスは蝋燭や魔晶石の照明をつける。
「さてと、ウィルくんはエウトーレ殿が説明してた神器の覚醒条件、覚えてる?」
「確か神器が兆しを見せた時、巫女が対応した神器を信頼する勇者に渡せば覚醒するって言ってたな」
「そそ。ミーナ殿によれば、これは魔術的に過去の出来事を真似ることにもなるんだけど、その過去の出来事の詳細はウィルくんも知ってるよね」
「千年前の邪神戦争だったな。三女神が神器を彼女達が選び出した勇者に与えて、それで邪神ゾルドを封印したという…」
「そうだね。そして三女神信仰や三勇者の伝承は、僕達にとっては世界の成り立ちに関わるほど重要なものだから、アイシャ様たちが神器を与えられる対象はそれだけに凄く名誉なことは理解できるよね?」
ウィルフレッドは頷く。
「ああ、だから何故アイシャが深刻そうな顔をしているのが理解できないんだ。神器を与えられるのはとても名誉的なことだろう?俺の世界ならともかく、この世界でそういう名誉をもらえるのは良いことじゃないのか?」
レクスが苦笑する。
「確かにここはウィルくんの世界ほど複雑そうにはないけど、それほど単純って訳でもないよ。一番問題なのはアイシャ様の身分にあるのさ」
「どういうことだ?」
「いいかいウィルくん。順位は後ろだけど、アイシャ様は王位継承権を持つルーネウス王国の第三王女で。一国のお姫様だよね」「ああ」
「そしてアイシャ様は月の女神の魂の力を授けられた、大きなカリスマ性を持つ女神の巫女でしょ」「ああ」
「伝承で、神器を授けられた勇者は三国の創始者になってたよね。これらを組合わせると少しは気付くはずだよ。アイシャ様に神器を授けられた人にどのような意味を持たせてしまうのか」
アオトの本から見てきたおとぎ話、そしてここに来て見て、エリネ達から聞いてきた話を基に、ウィルフレッドは想像力を必死に働かせた。女神から勇者に授けられる神器、勇者により作られた国、その国の姫であるアイシャ達。
「…まさか…」
「気付いたね?そんなアイシャ様に勇者として選ばれた人はただの名誉ある戦士になるだけじゃない。そのまま王族の一員入りになり、場合によっては継承権の資格を得られてもおかしくはないんだ。そしてその相手が男性であれば…きっと迫られるんだろうね。その人との結婚を」
信じられないような表情を浮かべるウィルフレッド。
「迫られるのか?誰に?」
「そりゃ一杯いるよ、国の大臣貴族とか、民からもそういう期待を大きく寄せられるんだろうね。だって建国の祖と同じように女神の巫女に選ばれた人なんだよ?大臣や貴族は国の権力を高める目的で、民はかつての伝説と女神伝承の再現という崇拝で、その人と結ばれるよう全面的に押してくるだろうね。それだけの象徴性が巫女と神器にはあるんだ」
おとぎ話で似たような話は確かに見たことあるが、実例を目の当たりにしてさすがにウィルフレッドも驚きを禁じえなかった。自分の世界では婚姻による権力固めの概念なんて既に存在しないのだから。カトーやアリス、そしてカイの両親の身分違いの恋を聞いた時と同じぐらいの強いカルチャーショックだった。
「! そうか…アイシャとカイ…」
「うん。ウィルくんも二人のことに気付いてるんだね。うまく進展してるかは本人達しか分からないけど、アイシャ様、恐らく人選をカイくんにと考えてるんだろうね」
「けどそれなら身分違いの二人は正々堂々と一緒にいられるから寧ろ良いことじゃないのか?」
「まあね。平民のカイくんが勇者となれば、アイシャ様と並べても遜色ないから、ある意味カイくんとアイシャ様が結ばれる一番にして唯一の道になる。でも忘れないでウィルくん、その場合、カイくんはそのまま王族入りとなり、王国での政治闘争に否が応でも巻き込まれることになる。順位はかなり後ろになるけど、カイにもまた継承権を持つ可能性が出てくるよ」
ハッとするウィルフレッド。
「こっちの王族の生活もあまり楽なもんじゃないよ?ルーネウスは礼儀作法にも煩いから、平民出身のカイくんが果たしてそれに適応できるかは疑問だし、なにより一番の問題は、邪神教団との戦いでカイは常に最前線へ出なければならなくなる。万が一だけど、邪神ゾルドと対峙する必要が出た場合なら尚更ね」
「そ、そうか…それだけでカイは危険に身を晒すことになるんだな」
「やっと理解したようだね。アイシャ様は心配なんだよ、カイくんを選ぶことで彼に自分と同じ危険と闘争に巻き込まれるのが。例え女性を選んだ場合で結婚を避けても、その人が邪神と対峙する危険性、王族入りによる権力争いは決して避けられない問題だ。そりゃ神器を渡す人選には真剣になるよ。勿論、相手が信用できるかできないかという基本的な問題もあるけどさ」
ようやく神器の人選の意味の重大さを理解したウィルフレッドは口を僅かに開いては、カイとアイシャのことを思った。
「…やっぱウィルくんにとっては凄く理解できないことかな?こういうの」
「まあ、こちらは自由恋愛が基本だから、少しは…。ただ、カトーやアリスの件もあるし、なんとなく理解はできる。…にしても、状況や程度加減は違っても、悩みや問題というのは世界が違っても存在するのだな」
「あはは、そうだね。まあ違う文化背景の世界を見比べる自体意味があるかどうかだけど、共通点と言うのはやっぱ多少はあるそうだ。ウィルくんを見れば分かるだし」
「俺を、か?」
少し困惑するウィルフレッドにレクスは微笑む。
「実は最初から会った時、ウィルくんは僕達とどこか違う違和感みたいなのを感じられたけど、あのカイくんとエリーちゃんが懐いてたんだからね。類は友を呼ぶっていうけど、お互いに共通点がないと誰かが懐くことなんて滅多にないでしょ」
「そうだろうか…」
「そういうものだよ」
笑顔で自分の肩を叩くレクスにウィルフレッドも小さく笑顔を返す。
「そういえばさっきの話。ラナも同じようなことになるのか?」
「ラナ様?そうだね、ラナ様は元より皇国唯一の皇位正統後継者だから事情は少し違うけど、似た悩みは持ってるんだろう。まあ二人の巫女の身分が公開された以上、例え神器の話がなくとも二人にアプローチする人はこれからどんどん増えるから、カイくんにはがんばってもらわないとね。二人が上手くいくかどうかは本人たち次第なんだから」
「…そうだな」
少し深呼吸するウィルフレッド。
「説明してくれてありがとう、レクス。時間をかけてすまなかったな」
「気にしないで、僕もこうして話して努力する決心を改めて確認できたしさ」
「君が努力を?」
「あはは、こっちの話だよ」
いつものような笑顔のレクスにごまかされた気もするが、彼はこれ以上聞くことはなかった。
「俺はそろそろ部屋に戻る。おやすみ、レクス」
「おやすみウィルくん」
自室へと戻るウィルフレッドを見送って、レクスは小さく呟く。
「そう、僕もこれからがんばらないとね、ラナちゃんのためにも」
【続く】
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる