時空調査団物語

ソウト

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第2の調査

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 チームのメンバー全員が有意義な休暇を過ごすことができたようで安心した。みんなの元気な顔を見ることができた。今は、次の調査の準備に精を出している。準備の段階から抜かりなくやっておくことが肝要だ。
 次の調査は1年を見込んでいる。本格的な調査に乗り出すことになるわけだ。1年という期間はただ日常を過ごすだけならあっという間なのだろう。しかし、日常から離れて家族とも会えない、通常とは異なる時代へ行って1年を過ごすというのは簡単なことではないはずだ。メンバーのメンタルケアにも気を配らなければならない。
 チームのリーダーとして、私にできることを精一杯頑張りたいと思う。みんなが私のことを慕ってついて来てくれるのが、何よりもありがたいことだ。その分、リーダーシップを発揮して成果を出したいところだろう。


 調査への出発式当日を迎えた。今日は楓も休みということで、見送りに来てくれた。楓は私のことを誇りだと言ってくれた。
 メンバーの方に視線をやると、すごくたくましくて頼もしい姿があった。初めての調査に出発した時よりも随分と成長しているようだ。メンバーはこれまでの経歴を考慮して、時空一等兵から時空中尉までの階級が割り当てられた。私はリーダーとして時空大佐の階級を拝受することとなった。
 時空調査軍のトップである時空参謀だが、実は私の父である。父は敏腕研究者で、タイムシップ号を設計した人物である。公私を混同することなく、勤務中は親子など関係ないという態度だ。ただしその一方で休憩中や移動中などの気を抜けるタイミングでは、たとえ周囲に人がいようとも気にすることなく話しかけてくる。勤務中はすごくかっこいいのが、それ以外での親バカっぷりと言ったらこっちまで恥ずかしくなってしまう。


 準備が整ったところで、順次シップに乗り込んだ。エンジンが始動して総員の点呼が完了したのちに、私が出発の号令をかけた。シップの外ではみんなが手を振ってくれている。今回の任務も、しっかりとやり遂げたい。
 徐々にシップはスピードを上げていく。そして一定の速度になったところで時空トンネルが開いて、その中へと入っていった。今回の調査の舞台となるのは、平安時代前期だ。数多くの文学作品が生まれ、宮廷文化が栄えた時代である。
 トンネルの出口が見えてきた。いよいよ調査開始だ。トンネルを出る際の衝撃に備えて低い姿勢をとった。今回は前ほど揺れることはなかった。機関手も操縦の訓練を日々行なっている。メンバーの成長はやっぱり嬉しいものだ。
 無事にトンネルを抜けると、ステルス状態になった。そのまま上空から観察することにした。一番栄えているであろう京の都は最後にしようと思っている。まずは日本各地を回ってみることにした。なお他国との調査範囲の境界は、現代における各国の境界に基づくことになっている。つまり、アイヌや琉球も聖清帝国の調査範囲ということだ。


 アイヌや琉球については古代から中世にかけての記録が残っていない。近世の記録も一部が残るのみだ。そのため、直接目の当たりにできるこの機会は素晴らしいことなのだ。是非とも充実した報告書を作りたいと思う。
 上空から観察していると、地域によって発展の度合いが大きく異なっていることがよく分かる。やはり京に近い地域の方がより発展している。この当時は他地域との交流はないとされてきた。通信手段がなかったと考えられているからだ。もちろん行政同士の連絡手段はあった。人や馬が公文書を運んでいた。しかし、農民がそれを利用する財力はないというのが現在の定説である。
 実際にその定説通りなのかは、自分達の目で見て判断するしかない。周囲を注意深く観察していた。京から離れれば離れるほどに、どんどん発展していない地域になっていき、大きな建物などもない。まずは現在では北東州と呼ばれている地域、21世紀ごろには東北地方よろばれていたエリアから調査する。平安時代が始まってすぐの時にはいわゆる「蝦夷」と呼ばれる民族が支配していた。そこから十年経たないうちに朝廷の支配が及んだとされている。
 朝廷が平定する際には当然武力衝突があった。それは記録として残っている。「シャクシャインの乱」と呼ばれるものである。蝦夷勢力側を悪く見る意見が多いが、私個人としては自分達の生活を守るために必死になったのではないかと思っている。そういったところも明らかでにきればと思い、平安時代の最初期にやって来たのだ。


 程なくして、戦いが起こる前の戦場にたどり着いた。朝廷勢力と蝦夷勢力が共に睨み合っている。一触即発の状況だ。いつ攻撃を仕掛けるかお互いにうかがっているのだろう。朝廷側の陣はというと、時の天皇から受けた勅旨をもとに勇み立っている。一方の蝦夷側はというと、自分達の生活を守るのだと意気込んでいる。やっぱりそうなのだ。自分達の生活を守る、この一点のために戦いを受けて立ったのだ。
 それは当然のことだろう。だれしも自分達の安寧、家族が大事なのだ。それは朝廷側とて同じはずなのだ。分かりあうことは出来ないのだろうか。しかし、だからといって、部外者である我々が干渉することは許されない。調査のために観察するしかないのだ。それが今すべき任務なのだから。
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