決戦の夜が明ける ~第3堡塁の側壁~

独立国家の作り方

文字の大きさ
43 / 103
小さな革命

第42話 密 約

しおりを挟む
昭三「僕は佳奈さんを諦めない。男が一度決めたことだ、師団長と話を付ける。」

経塚「やめとけ、どう考えても分が悪い。お前、下手すれば犯罪者として扱われるぞ!。」

昭三「しかし、今は逃げ隠れする時じゃないよ、捜索隊は今も不毛に探し続けているんだろ、まさか学校にいるとは思わないだろうし。」

経塚「わかった、それならオレが当直を呼んでくるから、まっててくれ。」

昭三「いや、その必要はない、直接話を付ける。ただお願いがある。これから一般回線で師団長と直接交渉する。その状況を校内に流して欲しいんだ。」

 放送設備は当直室にある。これには少し他のメンバーと連携して当直室を空ける必要があった。

経塚「了解、なんとか考えてみる。」

 そう言うと経塚は再び生徒舎の方向へ走り去っていった。

昭三「大丈夫、佳奈さんは心配しないで・・・。佳奈さん、お父さんの電話番号、教えてくれるね?これから僕はお父上と大事な話があるから。」

 佳奈は携帯端末を取り出し、昭三に手渡した。

佳奈「お願いします、信じてますから。」

 龍二達6名は防大に到着すると、緊急登庁を終えた学校長の元へアポも取らずに部屋へ向かった。

「何だ貴様ら、学校長へは庶務室を通せと言っているだろ!」

 総務部の職員に止められたが、緊急事態であることを告げると、逆に学校長の方が、廊下に顔を出し、彼らを校長室へと招き入れた。

校長「そろそろ来る頃だと思ってたよ。上条佳奈さんのことでいいのかな?」

 一同はどうして学校長がそのことを知っていたのかが不思議でならなかったが、事態の緊急性のほうが今は重要であった。

龍二「・・・恐らく、学校長のお話から察して、この度の一件が、当方の身内により引き起こされたこともご承知のことと思います。」

 その時、その場にいた他の5名は一瞬耳を疑った。それは生徒会メンバーしか知り得ない事実と認識していたからである。 しかし、この二人の会話には自分たちがまだ知り得ない何かがあるのかが掴めずにいた。

校長「今、第一師団長の元へ、監事が赴いている。どういう意味か解るかな?」

 龍二は全てを察した様子であった、が他の5人にはさっぱり要領を得ないでいた。

龍二「全てお見通しとおいう訳ですね。それでは一つお願いがあります、生徒会に学校長命による特別権限をお与えいただけませんか?」

校長「なるほど、そうか、・・・。わかった。国防大学校校長命として行動命令を発刊しよう。この通知で、軍の行動に干渉出来る権限を与える。生徒会最初にして最大の試練となるかもしれないね。頑張って取り組んでくれたまえ。」

 短い会話であったが、大いなる成果であった。一同は校長室を出ると、一斉に龍二の所に集まった。

清水「なに、なに、一体何なのあなたは?学校長と一学生がなんであんな会話が成立するわけ?隠していることすべて白状しなさい!」

 それは一同、同様に聞きたい内容であった。

龍二「ここでは人の目がありますから、一度学生室に戻りましょう。」

 そうして一同は真夜中の学生室に入り、暖をとった。優が、お茶の準備をしながら龍二は学生室長の席に座った。

清水「へー、すごいね。生徒会って一部署を構えてるんだ、これは予想外・・・。」

 清水はニコリと笑い、国防大学校OBとして何かを察した様子であった。清水達が在校していた頃には考えられない状態である。それは恐らく三枝龍二がトリガーとなっていることはすぐに気付いた。そして先程の校長との会話も、何か大きな組織ぐるみの臭いがするのであった。


城島「さあ、それじゃあ説明してもらおうか三枝。」

龍二「そうだな、、まずこの学校の監事は、前第1師団長だということ。監事が東京練馬の第一師団へ赴いたということの意味は、この件を国防大学校である程度解決する何かを期待しているということ。これらを示している。そして軍の情報網は、既に上条佳奈さんと昭三が何らかの係わりをもっていることまで既に把握している。学校長はこの生徒会を使ってこの一連の騒動に何とか幕引きを図らせたいという思いが感じられた。自分で発案した組織だからな。大きな実績を期待しているんだろうよ。」

 一同はそんな龍二の観察眼に関心した様子であったが、龍二はこの時、上層部は更にその上を期待していると感じていたが、この時生徒会メンバーにはそのことに触れずにいた。
 そんな中、優が各員に紅茶を入れて持ってきた。

清水「あら、私にまで、本当に君はよく気が付く子ね!ガサツなどこかのだれかさんと違い、しっかり者だわ!」

 清水がそう言うのも無理はない。紅茶の入れ方も本格的であり、テーブルの中央には、小洒落たお菓子も添えられており、女子のハートをいかにもくすぐりそうなところを、ちゃんと心得ていた。もちろん当の優自身は全くそんなことを意識していたわけではないが、いつも家でやっているように普通に出しただけであった。

優「でも、具体的に何をすればいいのかな?」

龍二「そだな・・・、まず昭三達と接触しなければならないことは確かだが・・・。」

 そんな行き詰まった所に、訓練部から意外な報告が入った。

「室長、上条佳奈の居場所が判明しました、陸軍工科学校内です。大変申し上げにくいことですが・・・、弟さん、昭三さんも一緒のようです。」

 事態が急転し始めたことを、その場の全員が認識した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。 ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。 この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。 未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。 そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。

【シスコン】シスターコントロール ~兄のダンジョン探索を動画サイトで配信して妹はバズりたい!~【探索配信】

釈 余白(しやく)
キャラ文芸
 西暦202x年、日本を襲った未曾有の大災害『日本列島地殻変動』により日本での生活環境は一変してしまった。日本中にダンジョンと呼ばれる地下洞窟が口を開き、周辺からは毒ガスが噴出すると言った有様だ。  異変から約一年、毒ガスの影響なのか定かではないが、新生児の中に毒ガスに適応できる肺機能を持った者たちが現れ始めていた。さらにその中の数%には優れた身体能力や頭脳を持つ者や、それだけでなく従来とは異なった超能力と言える特殊な異能力を持つ者もいた。  さらに八十年ほどが過ぎて二十二世紀に入ったころには人々の生活は落ち着き、ダンジョンを初めとする悪辣な環境が当たり前となっていた。そんなすさんだ世の中、人々の娯楽で一番人気なのはダンジョンを探索する限られた者たちの様子をリアルタイムで鑑賞することだった。  この物語は、ダンジョン探索に情熱を燃やす綾瀬六雨(あやせ りくう)と、その様子を配信してバズりたい綾瀬紗由(あやせ さゆ)という、どこにでもいるごく普通の兄妹が身近な人たちと協力し楽しく冒険するお話です。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...