68 / 103
第1堡塁の戦い
第67話 心 酔
しおりを挟む
そんな空気を察して、優が囁いた
「、、、そうだよ、三枝君が、我々の指揮官がそうだということは、皆で貫こう、きっと今回も、三枝君には策があるんだよ。」
優はいつもそうだった、龍二を信じて疑わない、そんな姿勢が周囲に伝わり、龍二を信じてみようという気持ちにさせるのだ。
それは優が龍二に絶大な信頼を置いているからに他ならない。
そんな優を、不思議な感触で見つめるのは幸であった、男同士の友情なのか、その正体が今一つ見えないでいた。
たしかにそれは無理もない話だったかもしれない、優の龍二に対する感情は、友情を越え、心酔に近いものがあった。
二人がまだ、高校サッカーで無名だった時代から、優は龍二のことをよく理解していた。
それは単純に、選手としての質の高さだけではなく、寡黙でありながら、些細な人間関係も、個人の能力や癖すらも見逃さず、驚くほどに適材適所に人事をまとめ上げ、弱小無名だったサッカー部を一気に全国区へ伸し挙げたのは、三枝龍二の采配の勝利でもあったのだ。
その域は、単にチーム内の人事に収まらず、校内、校外に至る人材発掘、人事配置にまで及んでいた。
しかし、それはほんの一部の人間にしか理解できていないだろう、それほど彼の人並み外れた運動能力とサッカー選手としてのセンスが目立っていたのである。
そんな中、優だけは陰日向なく1年生の頃から龍二を見続けてきた、それもマネージャーと選手の両方を兼務してきた優だからこそ理解が出来る事なのかもしれない。
優だけは気付いていたのである、龍二が非凡なのは、その個々としての才能ではなく、采配が天才的なのである。
どんなに困難な状況であっても、なぜか自然とそうなってしまったように、それは違和感なく、たとえば高校サッカーで無名であったチームが、全国大会に出場したとしても、なんとなく周囲は納得してしまう不思議な説得力。
それは、紆余曲折あったとしても、最後の最後にはしっかりと最良の方向性に向いてしまう、結果に出てしまうというスマートさである。
しかし、そこにはとてつもない思考の葛藤と、凡人が1分間で考える数倍から数十倍の速度で思考を伸展させ結論に至るプロセスがあることを、優だけは理解しているのである。
それは、軍隊の世界、特に戦術の世界では、とても有利であることも、優は理解出来ていた。
むしろ、優自身は、龍二のこの思考回路が戦上手《いくさじょうず》であることに、一番最初に気付いた友人であったのかもしれない。
それ故に、今回の空挺降下作戦に、何もしていないように見えて、そこには深い考えがあることに確信を持っていた。
実は、優自身も人並み外れた思考回路の持ち主である。
彼自身も気付いてはいるが、優の思考回路は自身が考えるより遙かに戦術向きな思考回路であった。
その優が考える、大凡《おおよそ》こうだろうと考える方向性の遙か上を行ってしまうのが龍二の思考である。
それ故に、優はこの龍二の沈黙に対し、絶大な信頼をもってサポートしようとするのである。
優は、国防大学校に入学するまで、龍二が慌てたところをほとんど見たことが無かった。
いや、本当はあったのかもしれないが、ポーカーフェイスで上手に周囲に悟らせ無かっただけなのかもしれない。
あの龍二に弱点があるとは、高校時代には予想すらしてこなかったのである。
「、、、そうだよ、三枝君が、我々の指揮官がそうだということは、皆で貫こう、きっと今回も、三枝君には策があるんだよ。」
優はいつもそうだった、龍二を信じて疑わない、そんな姿勢が周囲に伝わり、龍二を信じてみようという気持ちにさせるのだ。
それは優が龍二に絶大な信頼を置いているからに他ならない。
そんな優を、不思議な感触で見つめるのは幸であった、男同士の友情なのか、その正体が今一つ見えないでいた。
たしかにそれは無理もない話だったかもしれない、優の龍二に対する感情は、友情を越え、心酔に近いものがあった。
二人がまだ、高校サッカーで無名だった時代から、優は龍二のことをよく理解していた。
それは単純に、選手としての質の高さだけではなく、寡黙でありながら、些細な人間関係も、個人の能力や癖すらも見逃さず、驚くほどに適材適所に人事をまとめ上げ、弱小無名だったサッカー部を一気に全国区へ伸し挙げたのは、三枝龍二の采配の勝利でもあったのだ。
その域は、単にチーム内の人事に収まらず、校内、校外に至る人材発掘、人事配置にまで及んでいた。
しかし、それはほんの一部の人間にしか理解できていないだろう、それほど彼の人並み外れた運動能力とサッカー選手としてのセンスが目立っていたのである。
そんな中、優だけは陰日向なく1年生の頃から龍二を見続けてきた、それもマネージャーと選手の両方を兼務してきた優だからこそ理解が出来る事なのかもしれない。
優だけは気付いていたのである、龍二が非凡なのは、その個々としての才能ではなく、采配が天才的なのである。
どんなに困難な状況であっても、なぜか自然とそうなってしまったように、それは違和感なく、たとえば高校サッカーで無名であったチームが、全国大会に出場したとしても、なんとなく周囲は納得してしまう不思議な説得力。
それは、紆余曲折あったとしても、最後の最後にはしっかりと最良の方向性に向いてしまう、結果に出てしまうというスマートさである。
しかし、そこにはとてつもない思考の葛藤と、凡人が1分間で考える数倍から数十倍の速度で思考を伸展させ結論に至るプロセスがあることを、優だけは理解しているのである。
それは、軍隊の世界、特に戦術の世界では、とても有利であることも、優は理解出来ていた。
むしろ、優自身は、龍二のこの思考回路が戦上手《いくさじょうず》であることに、一番最初に気付いた友人であったのかもしれない。
それ故に、今回の空挺降下作戦に、何もしていないように見えて、そこには深い考えがあることに確信を持っていた。
実は、優自身も人並み外れた思考回路の持ち主である。
彼自身も気付いてはいるが、優の思考回路は自身が考えるより遙かに戦術向きな思考回路であった。
その優が考える、大凡《おおよそ》こうだろうと考える方向性の遙か上を行ってしまうのが龍二の思考である。
それ故に、優はこの龍二の沈黙に対し、絶大な信頼をもってサポートしようとするのである。
優は、国防大学校に入学するまで、龍二が慌てたところをほとんど見たことが無かった。
いや、本当はあったのかもしれないが、ポーカーフェイスで上手に周囲に悟らせ無かっただけなのかもしれない。
あの龍二に弱点があるとは、高校時代には予想すらしてこなかったのである。
0
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる