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第2堡塁の衝撃
第86話 空軍の通信だな
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上条師団長の目の前に、美味しそうな子羊の群れが自ら進んで来たように感じられた。
それは、決定的な将棋の一手に近い感触だった。
上条師団長は確信した、、、、龍二は誤った一手を撃って来た。
それが、一般的な部隊による機甲戦力の推進であれば、むしろ褒められたものだっただろう。
しかし、この異色な戦いにあって、三枝龍二の取った行動は、師団が準備した最強の一手によって全滅の憂いに置かれたのである。
「三枝司令、少しおかしな通信を傍受しました、、、、どうしますか?」
「どうしたの経塚君、何か変な事でもあった?」
優が、経塚が傍受した通信に興味を示した。
これまでの戦いに圧倒され、発言の機会を失って来た経塚だったが、それは聞きなれない通信であった。
「経塚生徒、構わないから音声をスピーカーに回してくれ」
龍二がそう言うと、指揮所内に、英語の音声が流れ始めた。
「、、、、あれ、これは空軍の通信だな、一般回線だ、よく傍受出来たな」
英語が得意な城島が、その音声を聞いてすぐに空軍の無線であることを察した。
その内容には、投爆地点の座標や、空域統制に関する情報が含まれていたからである。
龍二はその時、すぐさま敵第2堡塁からの砲撃情報を優に当たらせた。
そして、龍二は少し笑ったのである。
「さすが、上条師団長だな、もう見破られたか」
指揮所にいた、生徒会参謀部一同は、少し不思議そうな顔をした。
なぜなら、解らないからだ。
ようやく自分たちにも理解可能な範囲で作戦が動き出したと喜んでいた矢先、再び混沌とした思考の駆け引きが開始されたのである。
「え、なに、どうゆうことなの?」
とうとう幸が痺れを切らして聞いてきた。
「上条師団長は、ただ者ではない、ということだよ」
いやいや、龍二も十分にただ者ではない、とツッコミを入れたくなる一同であったが、益々よく解らない。
「おい、もう少し解るように説明してくれ、なんだか三枝と上条師団長の間で、テレパシーで通じているみたいで気持ちが悪いぞ」
城島がそう言うのも無理はない、、、、あの龍二が、作戦指揮中に、笑ったのである。
「、、、、そうだな、すまない、だが、もう来るぞ、上条師団長の一手が、、、。優、レーダーに、敵攻撃機の機影が、そろそろ現れるはずだ、見ててくれ」
優は、まさか、と感じていた、先ほどの空軍の無線が入ったとはいえ、それは同盟国軍のものと感じていたからに他ならない。
しかし、それが米軍などの同盟国軍のものの発したものではない事を、この指揮所で気付いていた者が他にもいた。
城島である。
「おいおい、それマジか?、だとしたら、かなりの勢力でくるぞ!」
城島は、本場の英語を幼少期から聞いていたため、ネイティブの英語と日本人の英語は、雑音の多い無線を介してであっても、それは見破る事が出来た。
それ故に、一番最初に龍二の発言を、理解出来たのである。
「おい、それが本当なら、ルール違反じゃないのか?、いずれにせよ、味方部隊は第1堡塁と第2堡塁の中間地点まで進んでいるぞ、それも一本道を、長い隊列を組んでな!、おい、戦車部隊に連絡、速やかに第1堡塁に戻れと!」
城島の言う事は最もである。
しかし、その行動を、またもや龍二は制止するのである。
憤慨する城島と、龍二の間に、不穏な空気が流れる。
それは、決定的な将棋の一手に近い感触だった。
上条師団長は確信した、、、、龍二は誤った一手を撃って来た。
それが、一般的な部隊による機甲戦力の推進であれば、むしろ褒められたものだっただろう。
しかし、この異色な戦いにあって、三枝龍二の取った行動は、師団が準備した最強の一手によって全滅の憂いに置かれたのである。
「三枝司令、少しおかしな通信を傍受しました、、、、どうしますか?」
「どうしたの経塚君、何か変な事でもあった?」
優が、経塚が傍受した通信に興味を示した。
これまでの戦いに圧倒され、発言の機会を失って来た経塚だったが、それは聞きなれない通信であった。
「経塚生徒、構わないから音声をスピーカーに回してくれ」
龍二がそう言うと、指揮所内に、英語の音声が流れ始めた。
「、、、、あれ、これは空軍の通信だな、一般回線だ、よく傍受出来たな」
英語が得意な城島が、その音声を聞いてすぐに空軍の無線であることを察した。
その内容には、投爆地点の座標や、空域統制に関する情報が含まれていたからである。
龍二はその時、すぐさま敵第2堡塁からの砲撃情報を優に当たらせた。
そして、龍二は少し笑ったのである。
「さすが、上条師団長だな、もう見破られたか」
指揮所にいた、生徒会参謀部一同は、少し不思議そうな顔をした。
なぜなら、解らないからだ。
ようやく自分たちにも理解可能な範囲で作戦が動き出したと喜んでいた矢先、再び混沌とした思考の駆け引きが開始されたのである。
「え、なに、どうゆうことなの?」
とうとう幸が痺れを切らして聞いてきた。
「上条師団長は、ただ者ではない、ということだよ」
いやいや、龍二も十分にただ者ではない、とツッコミを入れたくなる一同であったが、益々よく解らない。
「おい、もう少し解るように説明してくれ、なんだか三枝と上条師団長の間で、テレパシーで通じているみたいで気持ちが悪いぞ」
城島がそう言うのも無理はない、、、、あの龍二が、作戦指揮中に、笑ったのである。
「、、、、そうだな、すまない、だが、もう来るぞ、上条師団長の一手が、、、。優、レーダーに、敵攻撃機の機影が、そろそろ現れるはずだ、見ててくれ」
優は、まさか、と感じていた、先ほどの空軍の無線が入ったとはいえ、それは同盟国軍のものと感じていたからに他ならない。
しかし、それが米軍などの同盟国軍のものの発したものではない事を、この指揮所で気付いていた者が他にもいた。
城島である。
「おいおい、それマジか?、だとしたら、かなりの勢力でくるぞ!」
城島は、本場の英語を幼少期から聞いていたため、ネイティブの英語と日本人の英語は、雑音の多い無線を介してであっても、それは見破る事が出来た。
それ故に、一番最初に龍二の発言を、理解出来たのである。
「おい、それが本当なら、ルール違反じゃないのか?、いずれにせよ、味方部隊は第1堡塁と第2堡塁の中間地点まで進んでいるぞ、それも一本道を、長い隊列を組んでな!、おい、戦車部隊に連絡、速やかに第1堡塁に戻れと!」
城島の言う事は最もである。
しかし、その行動を、またもや龍二は制止するのである。
憤慨する城島と、龍二の間に、不穏な空気が流れる。
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