その失踪事件には 〇〇人が関与している

独立国家の作り方

文字の大きさ
31 / 85
細谷 淳平

第30話 細谷 淳平 ⑩

しおりを挟む
「解らないわ、考えた事もないし。それがどうかしたの?」
 
 高坂さんは、人型ルアーの話を知ってはいたが、周囲にそんな人物が居るか興味すら無いと言った感じだ。

「うん、あのさ、ちょっと飛躍した話なんだけど、貴美の病気って、今の科学力では無理でも、それを超えた科学力なら、治療が出来るんじゃないかって」

 再び「?」と言う顔をする二人。それでも島崎さんが少し怖い顔で俺に聞いてくる。

「・・ねえ、それって、貴美ちゃんを宇宙人に釣ってもらうって事でいいんだよね」

「・・・・ああ」

 俺の返事を聞いて、少しすると今度は高坂さんがとても怒った口調で俺を責め立てる。

「細谷くん! あなた、それじゃあ貴美ちゃんの気持ちはどうなるの? 細谷君、貴美ちゃんの旦那さんになったんじゃないの? 宇宙人に釣られるって、それって別れるって事? おかしいよ! どうしてそんな事言うの? 貴美ちゃんが他の男子とキスするって事なんだよ、貴美ちゃん、あんなに嬉しそうにして・・」

 また高坂さんを泣かせてしまった。少し間を置いて、島崎さんが冷静に怒りをぶつけてきた。

「細谷君さ、さすがにそれは無いと思うんだ。都市伝説なんかのために、貴美ちゃん傷つけるのやめて。もう時間が無いのよ、それに貴美ちゃん、細谷君の事が好きなの、本当に大好きなの! 解ってあげて」

「それでも、俺は貴美が生きている未来を選びたい、俺だって辛い、俺以外の男に触れられるなんて我慢出来ない・・・・それでも俺は、貴美が生きていてくれる方が、可能性が僅かでもあるのなら、それに賭けたい」

 すると、島崎さんが本気で怒って俺に向かって来た。
 拳を振るわせながら、今にも殴りかかりそうな勢いで。

「いい加減にして! 貴美ちゃんを傷つけるなって言ってんの! 人型ルアーなんて存在しない! そんなふざけた事で貴美ちゃん傷つけたら、私、あなたの事を一生許さない、永遠に恨んでやるんだから!」

 泣いていた高坂さんが、慌てて止めに入る。
 こっちだって怒りたい。でも、今俺がそれを言ったら売り言葉に買い言葉になってしまう。だから我慢した。
 結局、俺たちは結論が出ないまま解散した。
 なんだって、島崎さんはあんなに怒ったんだろう。
 携帯を見ると、メールが2件入っていた。
 一つは貴美から、もう一つは・・高坂さんからだった。
 ・・高坂さん?
 たった今まで一緒だったのに、なんでメール?
 そこには、もう一度会いたいと書かれていた。
 貴美のメールは少し後回しにして、俺は高坂さんと会う事を優先した。こんな孤立状態でも、やはり誰かに聞いてもらいたい。俺の心も無限に広い訳では無いのだから。

「高坂さん」

 さっき3人で会った時、もう夕焼け時だったから、こうして高坂さんと再び会った時には、もうかなり薄暗い時間帯になっていた。
 少し目を腫らした高坂さんは、少し話がしたいと俺を近くの公園へ誘った。
 ・・なんだか今日は公園と縁がある日だ。

「どうしたの? さっき会ったばかりなのに」

「うん、今日中に話しておかなければいけないと思って」

 どうしたんだろう、それならさっき話せばいいのに。

「島崎さんが居たらダメな話なのかな?」

「うん・・そう、だね。ちょっと人には聞かれたくないかな」

 そう言うと、高坂さんは公園のベンチに座る。丁度そのタイミングで街灯に灯が点いた。

「なに? 珍しいね、そんなにあらたまって」

「うん、実はね・・」

 高坂さんは、重い口を開く。そして、俺は衝撃的な事実を聞く事になる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...