俺は人間である

でんでん

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第二話

虎とは言っても。

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**虎吉視点**

幸せだ。

可愛い黒芭が、目の前にいる。
白月とやらも、悪いやつではなさそうだ。

なんといっても、ここは明るい。

物理的にも明るいが、もっと明るいなにかがある。

太陽よりも俺を照らしてくれる笑顔がある。

なんて、幸せなんだ。

だが寝る時俺は不幸になる。
たとえ、黒芭が横にいても。

―――――――――――――

ある家で俺は生まれた。

母親は、堂々とした虎猫。
俺が一番の末っ子だから、すごく可愛がられた。

幸せだったんだ。このときは。

あるとき、たくさんの人間が兄弟を離ればなれにした。

全員は飼えないということで、引き取ってもらうそうだ。

いやだよ。やめて。俺らはものじゃない。

人間は嫌いじゃないけど、俺らはまだ一緒にいたい。

勝手に決めないで。俺らの人生だ。

そんな思いが通じる訳もなく、俺らは離ればなれになる。

諦めがつく。しょうがないな。皆、幸せになれよ。

俺も、幸せになるから。

俺を引き取ったのは、人が良さそうな太めの女の人。
...よろしくな。

その人と暮らす日々は、のどかで幸せだった。
笑顔が素敵な、俺の宝物。

そんな日々は、続かなかったけど。

神経質そうな男が来た。

女の人と男は、なにかもめているようだ。

男はすごい形相で、女の人に殴りかかった。

待て!俺の宝物を傷つけるな!

必死で守ろうとしたら、俺も殴られた。

体が、破裂したみたいに痛かった。
俺の宝物は、動かなくなっていた。

その後俺は、真っ暗な袋に入れられた。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

なにも見えない、聞こえない。

いきなり、体に痛みがはしる。

...男は、俺が入っている袋を蹴っていた。

痛すぎて、声がでない。

「あの女!死ねば金は俺のものなのに!猫が来たから長生きするだと!?ふざけんな!」

そんなことをいって、男はいなくなった。

今は真冬。体力のなくなった俺には、つらすぎる。

寒い寒い。暗くて怖い。

助けて助けて助けて助けて

 ――――――――――――――


夜になると、いつも思い出す。
たまたま生き延びれたが、死ぬ可能性もあっただろう。

だから、俺は人間が嫌いだ。

黒芭は、俺に優しくしてくれたから、好きだ。

単純だけど、しょうがない。

寒くて暗いあの夜に、手をさしのべてくれた黒芭。

あなたを、俺のものにしたい。

あなたの温もりを、独り占めしたい。

虎とは言っても、俺は弱いんだ。

こんな俺を愛してくれませんか?

大好き。黒芭。
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