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冬休みに入り、受験勉強も追い込みに入っている中、クリスマスに倉本と二人でヘアカットショーへと出掛けた。時間までぶらっとデートを楽しみ、昼から開催されるショーへと向かう。
入口で渡されたプログラムを受け取って席へと向かう中、俺は今日の目的が早々に無くなったことを知った。
黎明の男性ヘアモデルが no name じゃなかったのだ。プログラムに記されていたのは陣という名前。誰だよと思いながらも、TSUKASAさんのカットショーを素直に楽しもうと気持ちを切り替える。倉本も残念だったわねと俺に気遣ってくれる。優しい彼女だと思う。思うけど、正直それだけ。綺麗だと思うけど、それだけ。好きかどうかは……未だよくわかっていない。絶対に誰にも言えないけど。
ヘアショーは男性部門と女性部門があり、男性のヘアカットから始まった。TSUKASAさんとタッグを組んでいるモデルはプログラムによると『陣』という男性だ。だけど、ショー開始早々、会場は静かにざわついた。例に漏れず隣の倉本もだ。
「ちょっと……あの人JINじゃない?」
確かに『陣』という名前だが、そんなに有名人なのかと、モニターでTSUKASAさんのヘアモデルが抜かれるのを待つ。そしてその端麗な容姿がスクリーンに表示された途端、会場は疑心を確信へと変え、声をあげた。
「JINだ!」
「JINがなんで!?」
にわかにざわめき始める会場で、俺もようやくこの『陣』の正体が分かった。最近テレビで見かけるようになり始めたモデル上がりのタレント『JIN』だったのだ。
「JINさんって確か、元々黎明のヘアモデルしてたよね」
倉本がぼそりと新情報を教えてくれる。
そうだったんだ! 全然知らなかった! ということは、no name は JIN の後釜ってことか。
そう思うと、なんだかちょっと気に食わないと思えた。けどそれ以上に腹が立ったのは、JINの持つオーラが no name のそれとよく似ていたからだ。いつもはテレビでおバカキャラに騒ぎ立てているJINなだけに、それは殊更俺の癇に障った。
「面白くないな」
「そう? すごくオーラがあって私は no name より好きかな。モデルとして尊敬してる」
よくもまぁ no name を崇拝している俺の前でそんなこと言えたな。悪気はないんだろうけど、今のところ倉本より no name に恋してる俺には禁句だぞ、それ。
ムスッとしてしまった俺に、倉本はその後必死にゴマをすったが、正直もう聞く耳は持てなかった。
入口で渡されたプログラムを受け取って席へと向かう中、俺は今日の目的が早々に無くなったことを知った。
黎明の男性ヘアモデルが no name じゃなかったのだ。プログラムに記されていたのは陣という名前。誰だよと思いながらも、TSUKASAさんのカットショーを素直に楽しもうと気持ちを切り替える。倉本も残念だったわねと俺に気遣ってくれる。優しい彼女だと思う。思うけど、正直それだけ。綺麗だと思うけど、それだけ。好きかどうかは……未だよくわかっていない。絶対に誰にも言えないけど。
ヘアショーは男性部門と女性部門があり、男性のヘアカットから始まった。TSUKASAさんとタッグを組んでいるモデルはプログラムによると『陣』という男性だ。だけど、ショー開始早々、会場は静かにざわついた。例に漏れず隣の倉本もだ。
「ちょっと……あの人JINじゃない?」
確かに『陣』という名前だが、そんなに有名人なのかと、モニターでTSUKASAさんのヘアモデルが抜かれるのを待つ。そしてその端麗な容姿がスクリーンに表示された途端、会場は疑心を確信へと変え、声をあげた。
「JINだ!」
「JINがなんで!?」
にわかにざわめき始める会場で、俺もようやくこの『陣』の正体が分かった。最近テレビで見かけるようになり始めたモデル上がりのタレント『JIN』だったのだ。
「JINさんって確か、元々黎明のヘアモデルしてたよね」
倉本がぼそりと新情報を教えてくれる。
そうだったんだ! 全然知らなかった! ということは、no name は JIN の後釜ってことか。
そう思うと、なんだかちょっと気に食わないと思えた。けどそれ以上に腹が立ったのは、JINの持つオーラが no name のそれとよく似ていたからだ。いつもはテレビでおバカキャラに騒ぎ立てているJINなだけに、それは殊更俺の癇に障った。
「面白くないな」
「そう? すごくオーラがあって私は no name より好きかな。モデルとして尊敬してる」
よくもまぁ no name を崇拝している俺の前でそんなこと言えたな。悪気はないんだろうけど、今のところ倉本より no name に恋してる俺には禁句だぞ、それ。
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