3 / 23
陰キャぼっちアメーバと快活少女
相棒の欠如
しおりを挟む
「どこにもいない...どこ行ったのよあいつ!電話も出ないし!」
冒険者協会の前でキレている少女ミスラ、いつもの時間になっても相棒であるソル・アズミヤが来ないため電話をしても繋がらないことに不信感を覚えた彼女は冒険者協会を訪ねると報酬金と共同物資を全て置いてどこかに行ってしまったらしい。
連続で通話とメッセージを連打しながら街中を走り回って探したが一向に見つからない。
「あいつが出て行った?私から?あんな陰キャぼっちアメーバが?あたしが居ないとろくに人と話もできないのに?はは、ありえない...ありえないから...あいつあたしが居ないと依頼も受けられないのに...」
彼女はありえないと繰り返しながら引きつった笑いを浮かべる。
ミスラはソルという人間をよく知っている。それもこの世界で一番詳しいと自負しているほど。
一人で買い物も依頼の受注も仕事もできない彼が自分のもとから去っていくなんて考えられない。
そんなことは断じてあり得ない。
「意味わかんない、なんでどこにもいないの?なんで通話もメッセージも反応ないの?」
まさか命にかかわることが起きたのかと一瞬考えたがすぐにそんな考えは払拭する。彼は私生活こそどうしようもないアメーバ野郎だがこと戦闘に関しては大抵の人間や魔物に負けることはないと断言できる。
「せっかく今日は何か奢ってやろうと思ってたのに...」
今思い出してもムカムカと腹の虫がおさまらない昨晩の出来事。
昨晩ソルと別れた後に面倒な連中に絡まれてしまった。
勇者を目指している新進気鋭の冒険者パーティー、これまで何度も勧誘を受けていたがリーダーが気にくわない上に大人数で動くのは嫌いなためずっと断ってきたのだが昨晩はかなりしつこく勧誘された。
あまりに面倒なので黙って聞いているとあいつらはついにソルの悪口を言って笑い始めたのだ。
「確かにあんたの言うとおりかもね」
性格が悪いとかではなく、単純に何をさせてもどんくさく悲観的で鬱陶しいことこの上ない時がそこそこあり、気が短い人間だとイライラすることが多々あるだろう。
正直な話リーダーの評価も頷けるし、世間から見てみればこの評価は納得だ。ミスラ自身ソルに対してクズだバカだと暴言をよく吐く。
「あいつは常に気を付けるとか、ごめんとかしか言わないし、何か言いたいことがあるのに言わないし、常にウジウジしてて腹が立つわ。ほんと、どうしようもないやつ...だけど」
その瞬間ミスラは相手のリーダーの顔面を鷲掴みにして持ち上げる。
180cmを越える体格の彼女に捕まれたリーダーはジタバタと暴れるが足が地面から離れていることとミスラの腕力によって逃れることができない。
メリメリと彼の顔が嫌な音を立て始めた時メンバーが助けようと動こうとしたがミスラの眼力に完全に腰を抜かしてしまい動けずにいた。
「あいつのことを何も知らない癖にゴチャゴチャ言わないで。あいつのことをバカにしたり貶したりして良いのもこの世界であたしだけなの。あたし以外があいつを馬鹿にするのは我慢ならないのよ!」
ミスラは男を叩き付けると男は物凄い音立てて壁に埋まった。
今まではただ絡んで来るだけだったから見逃していたが、ソルのことを面と向かって貶されては黙っていられない。
「あんた達もソルのこと笑ってたわよね」
「ひっ!!」
怯んだメンバーの男に強烈なハイキックで昏倒させ、魔法使いらしき女の腹部にボディブロウをお見舞いしてやった。
「あとはあんただけ」
「ちょ、ちょっと待ってください!すいません、ほんとすいませんでした!」
メンバーの一人がミスラの恐怖に耐えきれずその場で土下座しながら許しをこう。
しかし、ミスラはそれほど甘くはなかった。
突然ミスラの影が大きくなり見上げると、その場に路駐していた大型バイクを振り上げる彼女の姿が見えた。
「人の男にケチつけてんじゃないわよ!」
バイクは無惨にも叩きつけられた。
ちなみにソルとミスラは付き合っているわけでは無い。
ミスラ自身自分が無意識で口走った言葉に一瞬顔を赤くするがすぐにそれを払拭する。
「あたかもソルが弱いみたいに言うけど、あんた達程度ならあいつ一人でも充分よ。ソル・アズミヤはぼっちで陰キャで挙動不審でバカで童貞だけど、あんた達よりはよっぽど強いってことを覚えてなさい」
ミスラは吐き捨てるように言ってその場を去った。
ちなみにバイクの持ち主には元値の倍額払ったらしい。
そんなことが昨晩あったため今日くらいは優しくしてあげようと思っていたのにこのありさまだ。
「たくっ、ちょっと優しくしてやろうと思ったらこういうことするんだから...」
色々考えた結果、何か頼みごとをされて断れないままどこかに連れていかれてしまったという説が一番納得ができる。返信がないのは電話が壊れたか本体の魔力が尽きたかどちらかだろう。
そうに違いない。
そうやって無理やり言い聞かせて仕方なく今日は一人で依頼を受けに行くことにした。
帰ってきたらいつもの倍は説教してやると心に決めて。
冒険者協会の前でキレている少女ミスラ、いつもの時間になっても相棒であるソル・アズミヤが来ないため電話をしても繋がらないことに不信感を覚えた彼女は冒険者協会を訪ねると報酬金と共同物資を全て置いてどこかに行ってしまったらしい。
連続で通話とメッセージを連打しながら街中を走り回って探したが一向に見つからない。
「あいつが出て行った?私から?あんな陰キャぼっちアメーバが?あたしが居ないとろくに人と話もできないのに?はは、ありえない...ありえないから...あいつあたしが居ないと依頼も受けられないのに...」
彼女はありえないと繰り返しながら引きつった笑いを浮かべる。
ミスラはソルという人間をよく知っている。それもこの世界で一番詳しいと自負しているほど。
一人で買い物も依頼の受注も仕事もできない彼が自分のもとから去っていくなんて考えられない。
そんなことは断じてあり得ない。
「意味わかんない、なんでどこにもいないの?なんで通話もメッセージも反応ないの?」
まさか命にかかわることが起きたのかと一瞬考えたがすぐにそんな考えは払拭する。彼は私生活こそどうしようもないアメーバ野郎だがこと戦闘に関しては大抵の人間や魔物に負けることはないと断言できる。
「せっかく今日は何か奢ってやろうと思ってたのに...」
今思い出してもムカムカと腹の虫がおさまらない昨晩の出来事。
昨晩ソルと別れた後に面倒な連中に絡まれてしまった。
勇者を目指している新進気鋭の冒険者パーティー、これまで何度も勧誘を受けていたがリーダーが気にくわない上に大人数で動くのは嫌いなためずっと断ってきたのだが昨晩はかなりしつこく勧誘された。
あまりに面倒なので黙って聞いているとあいつらはついにソルの悪口を言って笑い始めたのだ。
「確かにあんたの言うとおりかもね」
性格が悪いとかではなく、単純に何をさせてもどんくさく悲観的で鬱陶しいことこの上ない時がそこそこあり、気が短い人間だとイライラすることが多々あるだろう。
正直な話リーダーの評価も頷けるし、世間から見てみればこの評価は納得だ。ミスラ自身ソルに対してクズだバカだと暴言をよく吐く。
「あいつは常に気を付けるとか、ごめんとかしか言わないし、何か言いたいことがあるのに言わないし、常にウジウジしてて腹が立つわ。ほんと、どうしようもないやつ...だけど」
その瞬間ミスラは相手のリーダーの顔面を鷲掴みにして持ち上げる。
180cmを越える体格の彼女に捕まれたリーダーはジタバタと暴れるが足が地面から離れていることとミスラの腕力によって逃れることができない。
メリメリと彼の顔が嫌な音を立て始めた時メンバーが助けようと動こうとしたがミスラの眼力に完全に腰を抜かしてしまい動けずにいた。
「あいつのことを何も知らない癖にゴチャゴチャ言わないで。あいつのことをバカにしたり貶したりして良いのもこの世界であたしだけなの。あたし以外があいつを馬鹿にするのは我慢ならないのよ!」
ミスラは男を叩き付けると男は物凄い音立てて壁に埋まった。
今まではただ絡んで来るだけだったから見逃していたが、ソルのことを面と向かって貶されては黙っていられない。
「あんた達もソルのこと笑ってたわよね」
「ひっ!!」
怯んだメンバーの男に強烈なハイキックで昏倒させ、魔法使いらしき女の腹部にボディブロウをお見舞いしてやった。
「あとはあんただけ」
「ちょ、ちょっと待ってください!すいません、ほんとすいませんでした!」
メンバーの一人がミスラの恐怖に耐えきれずその場で土下座しながら許しをこう。
しかし、ミスラはそれほど甘くはなかった。
突然ミスラの影が大きくなり見上げると、その場に路駐していた大型バイクを振り上げる彼女の姿が見えた。
「人の男にケチつけてんじゃないわよ!」
バイクは無惨にも叩きつけられた。
ちなみにソルとミスラは付き合っているわけでは無い。
ミスラ自身自分が無意識で口走った言葉に一瞬顔を赤くするがすぐにそれを払拭する。
「あたかもソルが弱いみたいに言うけど、あんた達程度ならあいつ一人でも充分よ。ソル・アズミヤはぼっちで陰キャで挙動不審でバカで童貞だけど、あんた達よりはよっぽど強いってことを覚えてなさい」
ミスラは吐き捨てるように言ってその場を去った。
ちなみにバイクの持ち主には元値の倍額払ったらしい。
そんなことが昨晩あったため今日くらいは優しくしてあげようと思っていたのにこのありさまだ。
「たくっ、ちょっと優しくしてやろうと思ったらこういうことするんだから...」
色々考えた結果、何か頼みごとをされて断れないままどこかに連れていかれてしまったという説が一番納得ができる。返信がないのは電話が壊れたか本体の魔力が尽きたかどちらかだろう。
そうに違いない。
そうやって無理やり言い聞かせて仕方なく今日は一人で依頼を受けに行くことにした。
帰ってきたらいつもの倍は説教してやると心に決めて。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる