そばにいてほしい。

2

「え……」


そこには幼馴染と笑い合いながらアクセサリーを見ている恋人がいた。

具合、悪いわけじゃなかったんだ。
オレとの約束を反故にしてまで、幼馴染といたかったんだ。

いつも幼馴染の具合が悪いからと約束をキャンセルされていたけど、本当はただ遊びたかっただけなのかな。
別に、言ってくれればいいのに。
言ってくれたら──。

立ち尽くしているオレの視線が気になったのか、彼の目線がこちらを向く。

瞬間、しまった、という顔をする彼をこれ以上見ていたくなくてオレは背を向けた。
追ってくるかもしれないと思って走ったけれど、幼馴染がいるからそれはないかと思って少し早歩きする程度に緩める。

案の定彼は追ってこなくて、オレはこんな時でさえ優先されないんだと少しだけ涙が出た。
涙が出て、その次に笑いが込み上げてきた。


「……ばかみたい」


無駄に彼に期待して、裏切られて。
彼にとってはただの遊びなのに。