僕は平凡に生きたい

15

文字の大きさ
上 下
37 / 162
学園生活

1

しおりを挟む
「あ、そうだ。これ佳乃ちゃんにあげる」


そう言って渡されたのはさっき京くんが貰ってた特典。


「え!?でもこれ京くんが貰ったんだよ?」

「俺あんまり食堂行かないし、佳乃ちゃんに使ってほしいんだよね」

「えぇ…うーん…でも、俺なんも返せるものないし…」

「いいのいいの。佳乃ちゃんが使わなかったら捨てるだけだし」

「それは流石にもったいない気がする!」

「でしょ?だから貰ってくれると有難いな~」

「…じゃあ……でも使いたくなったら言ってね?すぐ返すね?」

「ん」


取り敢えず受け取ったけど俺も使わない気がする…。
もし使うときは京くん、ついてきてくれたりしないかなぁ…。
や、それじゃあ意味ないのか…。

受け取ったカードを見ながら唸る俺に京くんは、そんなに悩んじゃう?と笑った。
そんな京くんをチラリとみて、ぼそぼそと呟く。


「…俺、食堂行くなら京くんとが、いいなぁ…って…」

「どうして?」

「…だって…京くんだけが俺の頼りだし…」


利用してるみたいであんまり言いたくないけど。
知り合いが京くんしかいない今、1人は不安すぎる。
今までもなんだかんだ1人で過ごしたことは少ない。
…俺、こんなんで本当に大丈夫かな…。

その時、ぎゅっと繋がれた手に力を込められた。
び、びっくりした、違和感なくなってて忘れてたけどまだ繋いでたんだった…。


「京、くん…?」

「…佳乃ちゃん、」


俺の名前を呼ぶと京くんは口をつぐんだ。
今たぶん、ものすごくきょとんとした顔をしていると思う。
首を少し傾げながら京くんを見上げる。


「どうしたの…?」

「……、…ううん、食堂、一緒に行くよ」

「ほんと?ありがとう!俺、本当に心細くって…」


一瞬辛そうな顔をしたように見えたけど、本当に一瞬すぎて俺の見間違いだったかもしれない。
他に言いたいことがあったんだろうけど、話したくないことを無理に聞いてもだよね…。


「京くん、教室ついたよ?」

「……」

「手、はなそ?」

「……」

「京くん?」


京くんが喋らなくなっちゃった。
俺どうしたらいいの???????
こういう時男同士だとどう声かけるの!?

と、とりあえず!


グイッ

「きょーうーくん!」

「っ!?」

「ほら、ついたから、はなそ?」

「っ…わか、った…」


繋がれた手を引っ張って下から覗き込むように京くんと目を合わせて、にこりと微笑む。
顔を赤くして京くんは手を離した。


「ふふ、とりあえず入ろ!」

「ん」


あ、自己紹介のとき何言うか全然考えてないや。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

その舌先で俺を愛して

BL / 連載中 24h.ポイント:526pt お気に入り:11

異世界での監禁デスゲームが、思っていたものとなんか違った

BL / 連載中 24h.ポイント:475pt お気に入り:844

優しい庭師の見る夢は

BL / 連載中 24h.ポイント:631pt お気に入り:2,438

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,290pt お気に入り:91

無自覚副会長総受け?呪文ですかそれ?

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:241

奏歌月種

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:20

処理中です...